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14.それは成長か退化か

二百八十八話 毒溜りの森:恐れられし樹巨人

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288話 生態能力の厄介さ

正直な所早く関心を失ってくれれば良かったのだが・・・あれから暫く経っても身動き
1つせずこっちを警戒し続けている、この状態の敵を死んだと判断していないって事
はそう言った奴との交戦経験があるのか、何かしらの方法で生死を判別しているのか
魔物固有の能力なのか植物型の能力なのか・・・しかしキンリンガムイは本当に動きが
少ない、スポア名持ちは常に揺れる様に動いていたのに、眼が光っているから起きて
居るとは思うがこれで寝ていたりするんだろうか?流石に希望的観測すぎる想像だし
それで動く気はないが、このままずっと変わらない可能性もある以上こっちから何か
しらの行動を起こさなくてはならない、かと言って動いたからどうなると言った状態
であり・・・何よりもどう動いたものか判らないと、困っているのが現状だ、そもそも
手足位しか動かす事が出来ないし武器もないし役立つ魔法もないし、の何もかもない
ないしかない有様と来た、ん?周囲を警戒し始めた?あー血が出てないから囮の人形
や幻影なりと判断したのか?突けるだけの隙は無さそうなのが困るが、この状況から
脱せる可能は上がった・・・それにしても左を見て止まっているがダンジョン内に存在
する魔物同士が戦う事はないだろうに、でも外からやってきた魔物となら戦う可能性
はあるのか、冒険者はここを嫌っているからまず来ないだろうし・・・そうなると外の
魔物が棲み着くには向いている場所なのか此処は?毒が気にならないなら特にこれと
言った害も無い場所と言える、食料に関しては・・・ロクな物がないが、植物を食料に
している奴なら向いているな、まぁそんな事はそうそうある訳がない、ダンジョンの
入口自体が大して大きくないし、魔物も好んで入ろうとはしない性質が共通している
そんな浮かんでいた考えを置こうとしたところで急激に波が発生した、貫いていた枝
が根元から折れたのか波に呑まれて流される、これは助かったと言うべきか?水面か
ら目元までを出して乱入者と思わしき者を確認する、んん?植物で出来た獣・・・か?
見た目はそんな感じだ、赤い花弁の鬣と同じ色の花弁を持つ尾に蔦の束で出来ている
体・・・動物の姿をしているが見た目は完全に植物にしか見えない、植物以外の特徴は
無いがトレント系とファイド系どっちだろうか?とは言え奴もこのダンジョンに居て
可笑しい魔物では無い、だがその魔物とキンリンガムイが互いに警戒状態になり睨み
合っている、ダンジョン内の魔物同士では争う事も警戒しあう事もない以上あれは外
からやって来た魔物と言う事になる、しかしキンリンガムイと同じほどの高さがある
体ではあの入口を潜れると思えない・・・あの魔物は[ソンブレオ]と言うようだ、レオ
はライオンっぽい姿をしているからか?まぁ名前と姿は関係ないのも多いから一々気
にしても仕方ないんだが、とは言え乱入のおかげもあってかキンリンガムイの注意が
こっちから完全に逸れたし、2体共互いを意識しあって臨戦態勢を取りだした・・・もう
こっちの事を気にしていない、ただ周囲を意識する余裕が無くなったのか既に意識外
になっているかは判別出来ない、今はまだ2体共睨みって膠着状態になっているがこ
のまま戦いが始まれば確実に巻き込まれる、今の内に離れたいところだが動けば確実
に気取られる、恐らく私はソンブレオの視界内に入ってるだろうからな・・・
「グオォォォォオァ!」
ソンブレオが咆哮を放ったかと思えばその咆哮が終わる前に、キンリンガムイに跳び
掛かり一際強くなった咆哮が終わる、その咆哮だけで水面が波打っている・・・それも
それなりに大きい波が出来る程の強さがある、衝撃波が出る程の威力があるこの咆哮
は相手の行動を妨害する役目があるのだろう、飛び掛かりを防いだキンリンガムイは
追い払う様に腕を薙ぎ払いソンブレオを押しのける、だが落ちるまでの間に尾の先端
にある花の部分から液体を発射した、キンリンガムイは真正面から受けたが効いてい
る様子は無い・・・毒や麻痺だろうか?後思ったよりキンリンガムイが素早い、格闘戦
を主とし距離が出来た時等合間に魔法なのか生態なのか判らない攻撃を挟む・・・2体共
似たような戦闘スタイルで戦っている、ただ中距離戦はキンリンガムイが有利そうだ
し近接戦も力は同じ位なのか押し合いは拮抗・・・いやソンブレオが体重を掛けてのしか
かる様に攻撃しているのに対し、キンリンガムイは腕一本を振り回すようにして薙ぎ
払っているだけだ、力もキンリンガムイが上と言う事・・・ソンブレオに勝ち目はある
のか?さっきから少しづつ削れているのに、キンリンガムイに傷と言える傷が見当た
らない、再生しているとなると圧倒的に有利だろう、弱点と思わしきあの凹んでいる
胸部へと1撃入れる事が出来れば変わるかもしれないが・・・もう無理か?最初は拮抗し
ていた速度にもう随分差が出始めているし、中距離での地面から突き出る枝を避けき
れなくなっている、そしてそれを受ける度に脚が止められ機動戦が出来ず、物量差に
抑えこまれて距離を詰めれず近接戦も出来なくなり、脚を絡め捕られると体を幾つも
の枝が貫いて持ち上げられ脚が地面を離れる、まだ僅かにもがいているが流石にもう
抜け出せないだろう、それにしても赤い血が出ているし植物を鎧のように纏っている
魔物なんだろうか、と言うかキンリンガムイは攻撃の回避以外であんまり動いていな
かったな、戦うのがうまいと言うのか?どうしたものか・・・意識されてないだろうが
大きく動けば水の音が出る以上迂闊に動けない・・・戦っているのを横目に少しづつ動
いてなんとか剣を回収出来る位置までは来れたが、この沼から上がろうとすればまず
確実に気付かれるだろう、今いる位置は最初に沈んでいた場所より外に近い位置では
あるが・・・取り敢えず際まで行くとする、仰向けになり出来る限り体が水面を出ない
よう後ろ手にマガセビを両手で持ち、沈まない様にマガセビを底に押し当て少しづつ
刻む様に進んで行く、そのおかげか見つかる事無く微動だにせず動きを止めたままの
キンリンガムイを視界に収めながら水際まで辿り着く事が出来た、膝立ちからゆっく
りと立ち上がり膝を曲げたまま緩やかな傾斜を登り水から上がる、地面を踏みしめて
一歩前に出ると枝が地面から飛び出して無作為に絡まるようにして壁を作り出す・・・
閉じ込めるための物なのか巻きこまれることは無かったし飛び越える事も容易な高さ
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