上 下
296 / 316
15.魔の目覚め/死の律動

二百九十三話 毒溜りの森/忘却の楽園:金樹の守護獣

しおりを挟む
293話 集いし願い/祈り/希望は慟哭の叫びとなりて

キンリンガムイの死体がまだ消えてないし外から来た魔物で確定か?それともまだ
死んでいないのか?はたまたここはダンジョン内と言う扱いになってないのか・・・
問題がまた増えた・・・しかし奴からも命を感じなくなった以上死んではいる筈だが
これはまだ死んでないのか?いや死に切れていないのか、しかし存在を保っている
それも生と死を共存させていると言うよりかは、死にながら生きているが近いか?
生を持ちながら中途半端にアンデッド化してしまったのか・・・死にならず生でも無
くなったことで自壊を始めている・・・いや最初に形態変化をした時からずっと自壊
していたのか?・・・そして生命力が尽きる瞬間この空間を創造した・・・って所か?
しかしどうしたら消えるんだ?発動者が死亡したのなら維持する魔力が切れれば
これも消える筈だ、なんならマガセビ探し中とっくに消えててもおかしくない・・・
確かに戦闘中さして魔力を使っていなかったのだろうが、これだけの規模を夢で
無く幻として維持するなら相応の魔力を消費するだろうに、それだけ魔力が多いと
言う事か?それにしては奴からそこまで大きな魔力を感じ取れなかったんだがなぁ
・・・いやそもそも魔力自体を感じにくくなっている、自分の感覚が鈍っているのか?
それともこの空間の影響なのか・・・やはり何かしらの効果があるんだろう、そうなる
とこれは奴固有の領域や結界って所か、そもそもキンリンガムイと言う種の情報は
幾らかある、黄金色の葉を生やす樹木型の魔物・・・最初の姿の事だ、だがそれ以降の
姿の情報は無い、討伐記録もあったのに情報が初期の姿のみと言う事は、こいつが
特異個体か根本から異なりながらキンリンガムイとして成立してしまっている魔物
と言う事になる、そもそも形態移行する魔物は結構珍しいから判明した情報は必ず
出回る、危険度が大きく変化するからな・・・死んだと思って戦闘終了した所で復活
しましたとかそう言う感じだからかなり重要な情報になる、改めて鑑定しても名前
はキンリンガムイのままなんだが・・・それにしても空間にも奴の姿にも変化が起き
る様子がない、奴がこの空間の核では無いのか?だが肉体は幾らか朽ち果てており
損傷も激しく復活する気配も無い、それに既に魂は無いのか気配が無機物に近い
まさかこの土地そのものが核なんて事は無いよな?いつまでも水の中に居たところ
で仕方ないし出るとするか、水を掻き分ける感覚と泥を踏み沈む感覚、そして水や
草や土の臭い・・・どれも現実らしい、だが少し臭いが強調され過ぎている気がする
水から上がると体にはまだふわふわとした感覚が残ったままだ、体が軽く感じる訳
では無く揺れている感覚がある訳でも無いのに・・・そのくせ体の中に溢れんばかりと
満ち満ちていたあの力の感覚が無くなっている、あれは暴走と言うより私の意識と
肉体が別れていた感じだった、体に勝手に動かれるのは困ったものだ・・・ん?何だ?
この気配は死霊・・・?いやこの気配には生も死も感じ無い、そうなると思念体か?
その気配を感じ取りどの種類に当たるかを考えていると、ドンッ!と音を発て湖の
中心に落ちて来る影が見えた、そして湖の水はそれを受け入れるかのように、又は
避けるかのようにも見えるようなそれを中心として円形に開いたまま固まっている
・・・沈み込むはずの泥は硬化でもしているのか、それが沈む事もその衝撃によって
土が跳ね上げられる事もなければ僅かな土煙すら上がらず、更に揺れるどころか何
1つとして微動だにしていない、これはまるで時が止まっているかのような状態だ
その落ちて来たものは、頭部は鹿の様な頭蓋骨に根元が捻じれた大きな太く長い角
を持ち、人間に似た骨で出来ている二足歩行で肉が無く骨ばった短い毛皮の体・・・
その体の半分近い長さを持つ角を含まなければ自分より少し大きい位、2M程の体
に右手には角と同じ程の長さのある黄金に輝く装飾の無い無骨な直剣、左手には
その体と同等の長さを持ち骨で出来た様な光を反射しない灰色の大剣、その先端は
膨らむ様に広がっており僅かに緑がかっている、しかしこの見た目でアンデッド種
じゃないのか、頭部が骨だしとてもじゃないが生きている様には見えないが・・・
[[金樹の守護獣]ガーモイ・コドメント]
よく分からない存在に場所ではあるが、鑑定はちゃんと機能してくれているようで
しっかり結果を出てくれた、しかし金樹の守護獣?キンリンガムイと何か関係があ
るのだろうか、奴は崩れたままで動く様子は無いし反応し影響は受けていないよう
だが・・・キンリンガムイは別に金樹と言う訳では無いしここに金樹なんて言われる
様な見た目の樹は見え無いが・・・落ちてきたそれを警戒していると急に大地が揺れ
だした、すると奴の後ろの地面が割れ地中から巨大な樹が伸びるように姿を露わす
だがどう見ても金樹には見えない・・・大きさが違う大きいだけの樹ではないか?葉
にも金色が見えないしこれは金樹ではなくただの大樹だろう
「ヴォォォオォォォオ!!」
ビリビリと大気を震わし体が浮く程の強力な咆哮だ、キンリンガムイより音が小さ
いのに衝撃が強く体の硬直が大きい、上位のスキルなのか同じスキルでも成長して
いるのか・・・こっちを見る奴から敵意や殺意は感じ無い、だが見る限り戦う気はあり
そうだ、前に屈んで四足獣のような体勢を取ったかと思えば、左手の大剣を肩に乗
せ背中で担ぐようにし右手は直剣を逆さに握り替え地面に着いて体を支えている
「ヴゥーーフゥー」
奴の吐いた息で周辺の空気が白く濁っている、それにどことなく空気が重くなって
居るような気が・・・?見渡せば周囲の空気が濁って澱んだように白みがかっている
そしてそのまま霧に包まれた様に湖の外の景色が掠れて消えていく、白く染まって
行く中黒い煙が混ざっていくと、いつの間にか空が暗くなり金色の星が輝いていた
しかし明るさはさっきまでと変わってない、見上げていた視線を降ろすと同時に
ドンッと叩く様な音と共に守護獣が跳び込んで来た、右手を前に出し逆手に持った
直剣を後ろに向けて大剣の刃を上にし手元を引き先端を上げている、跳ねるように
走って近付いてきて直剣の斬り上げを下がって避けた、しかしそのまま一歩近づい
て来ると振り上げた直剣を突き刺すように振り降ろして追撃を行って来た・・・
ズンと言う音と共に地面に剣がめり込むと体を捻じる、それに嫌な感覚を感じると
共に横へ走り出せば、地面を斬りながら振り上げた軌跡から黄金に輝く斬撃の飛刃
が大地の表面を裂く様にして飛んで来た
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

奴隷性活はじめます。R18

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:717

悪徳貴族になろうとしたが

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:230

錬金魔導師、魔法少女を奴隷調教する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:92pt お気に入り:371

邪神様にお誘いされたので、異世界で好き勝手します

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:113

異世界召喚されて神様貴族生活

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:510

異世界を統べるのは人ではなく竜だ

1ta
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:899

処理中です...