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15.魔の目覚め/死の律動

二百九十四話 喪失の楽園:金樹の守護獣

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294話 消えゆくいつかの楽園

向かって来る斬撃の余波に煽られ僅かに体勢を崩したもののそれだけで済んだ・・・
しかし余波からすると随分な威力の飛ぶ斬撃だ、あんなものが直撃すれば一撃で
行動不能になりかねない、しかも飛んでくる斬撃は先端だけでなくその軌跡にも
光が留まっている事を考えると、そこに残留している光にもまだ攻撃性能を残し
ているんだろう・・・厄介な攻撃だ、実際斬撃は消えたもののその道中には光の道と
言えるものが出来ている、これでこっちの動きを制限して来るんだろう、その光
に近づいてみれば僅かに暖かい程度ではあるが熱を感じる、この程度の熱なら熱
そのものには攻撃性能は無いだろう、だが光に似た属性は感じた・・・しかしこれは
魔法と言うより魔力の性質が近いのか?聖属性も混ざっているのだろうか・・・それ
にしては光や聖とも違う気もする、まだ別の属性が混じっているとなるとこれは
天属性?いやそんな属性は無いか?・・・だとするなら神属性か?そしてその斬撃の
痕に沿う様に跳んで来た奴の大剣による横薙ぎを地面に這う様にして避け、地面を
削る様に向かって来る追撃の蹴りを跳び過ぎない様に軽く地面を押し体を浮かして
避け距離を取る、どうやら奴も蹴りの勢いで方向を変えたのか跳んで離れていき互
いに距離を取って仕切り直し、したかと思えば奴は逆手に持っている黄金剣を順手
に持ち替えその右手を掲げだした、すると剣の刀身が金色の光を放ち奴の背後に金
色の魔法陣の様なものが浮かぶ・・・変わった魔法を使うな、魔法陣の魔法なんて今
まで見た事が無い、そもそも魔法を使うのにあんな形成陣など必要ない、形式とし
ては魔術に近いのだろうがその過程や工程は陣があるだけで中身は完全に魔法と同
じ様式なんだよな・・・生成された陣が一際強く輝くと光が集まった線となってこっち
へと向かって来た、見た目はやはり光や聖魔法に近く光の中級魔法ホワイトレイに
近そうだがかなり太いし色も違うしあれは一本のはず・・・その範囲の広い3本の黄金
の光線を横に走り避けると、大地を焼きながら追う様にして足元を追いかけてくる
そこまで威力は無いのか土の表面が少し吹き飛ぶだけで溶けている様子は無い・・・
まぁそれはこの領域の特性で頑丈なだけかもしれないが、それでも追って来る光に
は大して熱を感じないし、構成する魔力にもこの魔法は危険なものだと言う危機を
感じていない、かと言って当たる理由もないため奴の周囲を背後に回る様に少しづ
つ距離を詰めながら走る、奴の横まで来たところで光線が追尾を止め止まった・・・
どうやら魔法陣がこっちを向いていないからの様だ、いや向いていないと言うより
こっちに向けないが正しいか、生成した陣は正面しか向けないがその範囲内ならば
光線を操作して追尾出来る・・・と、追尾だけでなく任意で操作も出来ると考えた方
がいいな、光線の追尾が止まったのを確認して脚へと速攻で近付いて長刀を振る
刃がさっくりと表皮を裂いた瞬間骨で弾かれた、骨が硬い・・・いやこいつ高い斬撃
耐性があるのか?しかし表皮は通るとなると・・・表皮は本体と関係が無いのか?
弾かれた勢いのまま後ろに下がると大剣が横薙ぎに振るわれ、さっきまで居た所の
胴部分を通り過ぎていく、魔法を使いながら他の行動は出来ないと見ていいのか?
その大剣の勢いのまま半回転しこっちを向いた奴は、上段から地面へと叩き付けて
衝撃と土煙を発生させ跳んで距離を取って来た・・・この土煙は視界を妨害すために
やったんだよな、となるとこっちが奴を視認できない内に攻撃が来るはずだ、取り
敢えず右へと走り出したところで目の前を光線が塞いだ、僅かに迫って来ている
それから距離を取る様に背を向けると正面に光線、その奥にもう一本光線が見える
どうやら土煙の中央と左右に光線を撃ってきたようだ、そして左右の光線は中央の
光線に収束するように近付いている、戻っても仕方ないためもう1度振り返りその
光線を飛び越え奴へと向かう、すると光線は直ぐにこっちへと向きを変えた、いや
奴の方へ近づいているだけでこっちを追尾している訳では無い、左右の光線は変わ
らず中央へと向かっている、なんだ?あれではこっちに当たりはしない・・・なのに
止めないのは何か意味があるのか?それともこっちの攻撃が効かなかったから慢心
でもしてくれているのか・・・長刀を大剣に替えて左脚へと叩き付ける、バキャッと
言う音と共に脚が後ろへと押されて下がり、僅かに砕けたようで小さな骨の破片が
飛び散った、ただ反応が無いし効いている様子は無い・・・この程度では傷にもなら
ないと言うのか、もう1度と1回転して叩きつけたところで左端から光が近づいて来
たかと思えば視界が白い閃光に包まれた、その直後爆発音と熱と共に強烈な衝撃を
受け吹き飛ばされる、べしゃりと水の壁にぶつかって体の後ろ半分が沈んだところ
で止まった、そして流れる水に押し出される様にして地面に落とされる、既に装備
は壊れて無くなり腰布も半分以上無くなっていた、特に損傷をしていないのを確認
したベルトポーチからポーション瓶を2本取り出して片方を投げつける、奴はそれ
を横へ跳んで回避したが残念ながら中身はただの水だ、壁際に押し込まれると行動
が制限されるため今の内に奴の反対側から内側へ近付く、さっき追撃が無かった事
からあの水壁はただの壁扱いでしかなく、意図的な操作をしたり攻撃に転用は出来
ないと思っていいだろう、奴が警戒して動かない間にもう1本の瓶を開けてひしゃげ
ている左腕に掛ける、しかし回復薬では無く可燃性の無い油だ、この油には魔力の
通りを妨げる効果がある、そのためこれを魔法や魔力操作の訓練に使う事で難易度
を増し訓練を効率化するのだと言う、そしてその効果が故にほんの僅かではあるが
魔法の防御に使えない事も無い道具なのだ、期待出来る程では無いが奴の攻撃時の
余波によるダメージを幾らか軽減出来れば十分だろう、左腕は盾として機能してく
れればそれでいい・・・奴はさっきから左側を優先して狙ってきている気がするしな
マガセビを構え直すと同時に上段から大剣の振り降ろし、そして地面にめり込んだ
大剣を起点に体を横に回転させて蹴り、それを避ければ直ぐに縦回転へと移行する
なかなかトリッキーでありながら腕力に任せた強引な動きだ・・・自分にも出来そうな
動きだし今の一連の動きを参考にさせてもらおう、体勢を崩しているところに飛ん
で来た黄金剣を打ち払い長刀から大剣に変形させる、これで互いに大剣一本だ・・・
魔法を使って来ないと言う事はあの黄金剣が触媒・・・いやあの魔法を発動する魔道具
なのかもしれない、奴に回収されるのは避けた方が良いな
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