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15.魔の目覚め/死の律動

二百九十五話 喪失の楽園:忘我の守護獣

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295話[金樹の守護獣]ガーモイ・コドメント[喪失/残影]

跳び掛かりながらの上段のよる大振りな叩き付けを避けその右横から腹に薙ぎ払う
1撃を叩きこむ、だがそれを右肘で防がれ勢いに乗るかのように横に跳ぶ・・・随分と
戦い慣れしている、奴の元は騎士だろうか?付近に転がっている黄金剣へと向かい
ながらマガセビを左腋に挟む、黄金剣の柄を踏み反対側に倒してから蹴り上げ掴む
触れると判るが内部で魔力が渦を巻く様に流れて循環しているようだ・・・さてこれを
使ってみるか、魔力を流し魔力の活性化と術式の起動を行い刃を地面に突きたてる
そうすれば魔力が地面を通り奴へと向かい地中から噴き出す筈だ・・・ん?違うのか?
何も起きない、奴のあれは奴自身のスキルによるものだったのか、だがしっかりと
魔力の動きはあるし寸前まで形になっていた、なにより魔力も持っていかれている
感覚がある、私に使う権利が無いのか使い方がそもそも間違っているのか・・・それに
この黄金剣、武器としては刃引きでもされているのか刃が丸く斬撃武器としての性
能は期待出来ない、軽量だから打撃性能も筋力任せ以外では発揮しづらい、良く見
れば刀身にも意匠が多く刻まれ、赤と青の線が左右に1本づつ絡み合う様に走ってい
て装飾による突起も思ったより多く実用的で無い、こうみると実戦用ではなく儀式
や祭典に用いられる祭具なのだろう、動きを止めたからか流石にここまで何も無い
ためか、魔力も停止して何も起きないと判断した事で奴がこっちへと向かって来る
もしやさっきの攻撃も黄金剣を回収するためのものだったのか?地面から引き抜く
ように斬り上げれば黄金の斬撃が飛ぶ・・・これは剣の機能だな、しかしその斬撃の
軌跡に黄金色が残っていない、心なしか色もくすんでいるし輝きが弱いような気が
する・・・残念ながら地面から指定地点に放出するあれは奴のスキルで、剣の機能に
含まれていなかったと言う事が判明した、その魔力斬撃は大剣に軽く薙ぎ払われる
あまり威力も無ければ耐久力も無いのだろう、正面からぶつかった際に直ぐに霧散
を始めていたし拮抗する事も僅かにすら押し込む事が出来ていなかった、牽制・・・
にしても判ってしまえば意味が無い、直撃した所で気にすらしない程度では牽制に
などならない、しかし相応に魔力を使った気がするのに奴ほどの威力が出ないのは
どうしてだ?振った際の威力に応じる?いや、それなら奴もさして速く振っていた
訳では無いしそこに差は無いと思う、なら込められた魔力が足りていなかった・・・
のはあるな、実際斬撃の大きさは十分だったが異様に透明感が強かった、先に放出
してしまっていたからその分魔力が減ったんだな、それと魔力の集束が甘かったの
も理由か、形作るのが限界で簡単に霧散したのはそれが原因だろうし、大剣を横薙
ぎに振るいながら向かって来るその左腕に向かってもう1度斬撃を飛ばす、今度は
しっかりと魔力を込めてから十分に収束させて横薙ぎに放つ、今回は奴のと同じ様
に黄金色の軌跡が残っている、それに対して上段へと構え直した振り降ろしで対応
される、だがこれで良い・・・奴に同じ横薙ぎで合わせて対処出来る技能や実はあの
技が効かない特性を持っている、なんて事は無さそうなのが判明したからだ、更に
黄金剣の魔力を込めればそれを斬撃として放てるこの機能・・・これは連続で使える
と判った、もう1度返す刃の様に横薙ぎを放ち次に振り降ろし縦の斬撃を飛ばす・・・
1発目はさっきと同じように横に薙ぎ払われ、2発目は横に飛び退く事で避けられた
奴が連続して使わなかった理由は多分魔力制御だ、魔力を込めて放つと言う一連の
動作を繰り返すと、剣に残ってしまう余剰魔力が逆流してくる、それ自体はほんの
少しだが繰り返す度にその余剰魔力が蓄積してしまうようで、結果逆流する量も増
えてくると言う危険性があるのだ・・・そのせいか右腕が少し痛むし腫れた様な拡張
された様な感覚になり、右腕に力を入れると腕が大きくなった様な感覚に襲われる
完全に魔力を使い切れないのは魔力操作では無くこの剣そのものの機能だろうから
そこはどうしようも無い、右腕の違和感も魔力逆流の影響だろう、確か逆流による
影響は感覚の齟齬や消失したり魔力が通せなくなる異常からはじまり、その部位の
神経や肉が断裂する事もあれば酷ければ破裂したり腐っていく、だから魔法を使う
場合先に魔力操作を訓練し知識を学ぶ必要がある・・・だったよな、両腕がまともに
使えなくなったが魔法は脚だろうが頭部だろうが、理論的には自分の肉体や魔力を
内包し循環している物ならどこでも使えるらしい、取り敢えずマガセビを持ってい
なくても良い様に長刀に変形させ左腕に突き刺して固定する、これなら左腕も振り
回す事で武器とし機能してくれるだろう・・・そして自己加速を掛けて奴の周囲を回
り防御が緩んだ所で右腹部に魔力を込めた黄金剣を叩きこむ、剣が触れると同時に
発生した魔力の斬撃が更に発生から瞬時に炸裂し衝撃波を放つ、それが強く空気を
震わせると共に互いが弾かれる様にして距離が離れる、思ったより威力が出た・・・
斬撃の威力自体は出てないが魔力の炸裂による効果は期待出来そうだ、当てる事が
出来た奴の右肋骨が2本砕けて落ちた、それにその周囲を覆っていた皮も吹き飛ん
で上半身だけでなく下半身も膝上まで内部の骨が丸見えになった、だが残った皮が
落ちる事無く留まっている・・・重力に引かれて落ちないのは不思議だがあれはそう
言う物なのだろうと思っておく、それと首周りの葉っぱで隠れていたが肩には小型
の肩当を着けているし首元に薄い金属板の様な物を着けているのが見えた、今のだ
けでは効いていないのか痛覚が無いのかそのダメージによる反応は無い、構えると
それに合わせ奴も大剣を担ぐように構え直して来た・・・正面から大剣のみで戦うつ
もりなのか?さっきから魔法を発動する予兆も無いし魔力の動きも無い、強化系の
魔法を使えば一気に接近戦で有利に立てるだろうに、魔法を使って来ないのが不気
味だ、もしかして・・・黄金剣を触媒に使わなければ発動出来無いとでも言うのか?
互いに構え向かい合って眼を見る、そして僅かな一呼吸にも満たない時間で互いが
同時に体を沈めるようにして走り出す、横薙ぎの大剣をしゃがみ剣で上に滑らせて
凌ぎ頭上を斬らせる、左腕を振るい前のめりになっている奴の胸部へと長刀の刃を
当てて黄金剣を首へと突き刺す、そして即座に魔力を収束し炸裂させ蹴って距離を
取る、首と顔の下半分の皮が消えたが骨へのダメージはたいして無さそうだ・・・
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