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15.魔の目覚め/死の律動

二百九十八話 朽ち果てる喪失の楽園:轟く死の疾走

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198話 楽園は朽ち死の駆動が轟く

「我が走りは風を!光を!そして世界の壁すらも超える!全てを振り切るのだ!」
その眼孔に青い炎が灯り膝の間に青い炎が車輪を形作る、そして炎が勢いを増した
所で奴がハンドルを握ると、後ろから尾のように車体を越える長さをした紫色の炎
がバヴォンと空気を叩き焼く様に噴き出す、奴が顔を向けその顎が開く
「我が名はヘルズエンジェル、スピードに狂いその景色に魅了されし者!その果て
に待つは死と言う結末のみ、いざ俺と言う死・・・振り切ってみせよ!」
その右手に持つ槍剣を構え直していたと同時にブウォンと音が聞こえると背部の炎
が吹き出し肥大化する、今までと変わらない突撃をして来ているが・・・いや徐々に
速度が増している?なんとか奴の右側に行かない様にその突撃を避ける、この初速
はさっきまでと変わらない程だったがやはり加速して行っている、グォンと聞こえ
て来た事で奴の行った方へ振り返れば、右手の槍剣を地面に突き刺し馬?車体?を
体事浮かす事で半回転しこっちへと向き直った・・・さっきの馬と違い振り返って来る
までの時間の余裕が無くなったと言う事か、これに加えて加速までして来るとなれ
ばこれからの回避は一気に難しくなるな、常に自己加速を掛けた状態でないと反応
出来なくなる、だがそれも直ぐに追いつかなくなるんだろうが・・・加速状態で突撃を
避けれたものの脚に槍剣を引っ掛けられ転ばされた、体勢を整える余裕はまだある
加速していて良かった、取り敢えず目眩しを兼ねて聖弾を連続して4発撃ち込んで
何かしら効果があるか試す、2発は車体に弾かれたが1発は本体に当たった・・・まぁ
流石にこの程度では威力的にも目眩しの効果も無さそうだ、やっぱり魔人だから光
とか聖と言ったアンデッド種やゴースト種に多く共通する弱点ってのが無いんだな
まぁ自分だって弱点も耐性も持って無いんだから、そっちの属性に弱点が無いのは
魔人共通なんだろう・・・それにあいつの場合当たった時のあの弾かれ方からすると
耐性を持っている感じがする、こうなると使える魔法は時魔法と空間転移だけか?
時魔法も自分にしか効果が無いのしかないし・・・まだなんとか加速で凌げている間
に有効打を与える方法を探っていくしかないか、その限界を過ぎたら勝ち目は無い
「クククッ、困っているなナ?出来る事もそうあるまい?」
奴はこっちの実力を把握しているのか?いや身体能力の差や戦闘経験での把握か?
「俺のバイクは頑丈だ、お前に壊す手段はなかろうよ」
手札が無い事もバレているか、そもそも有効打が無い事も気付いていそうだ
「フゥン・・・お前はどうあがこうが俺には勝てん、絶対的な力の差があるのだ」
前から向かって来るそれをなんとか避けるもすぐ隣を走り去ったその風圧に体が押
される、さっきまでより僅かだが避けるのが遅れた、確実に速くなってきているな
それに右手に持っていた杖剣が無くなっている・・・バイクに格納したのか?
「だがこれからもっと加速していくぞ?お前ではもう避けれんほどまでな」
背部の炎が一際強く煌めき大きく噴き出す、軽く浮き後部をその勢いで流すかのよ
うにして方向転換の速度も上がってきているし、その方法も都度変えて来ている
「クハハ!俺がスピードに殺されるか!はたまたお前が先に死ぬか!お前を殺せぬ
なら俺が死ぬ!どちらかが死ぬまでのデッドリフト・チキンレース!」
そうして幾度も交差している間に、反応が鈍かった左腕が巻きこまれ吹き飛ばされ
速度に反応が追いつけなくなれば避ける事が出来なくなり、右脚を潰されそのまま
地面とホイールの間で引き千切られ、遂には風圧だけで転ばされ背部の炎に右目が
焼かれ機能を失った・・・体のバランスが崩れ満足に動き回れない・・・ここが限界か
「来たぜ来たぜ来たゼェ!エキゾーストが限界点!良く生き残ってくれたァ!」
ホイールの背部の全面の・・・そして奴の眼の炎が猛り唸り声の様に聞こえて来る
「安全運転は終わりだオラァッ!スピードの限界超えるゼェー!ヒャァハハァ!」
高速で遠くに離れて行ったかと思えば、口を開いたまま口内から炎が溢れさせ見下
ろす様に顔を傾け真正面から向かって来る、速度に狂ってるな・・・
「この最ッ高な速度!愉しモうジャネェかァ!」
どうやら奴も最後を決めているようだ、奴の声が直接脳内に響いて来る、これで決
めるつもりなのだろう、今まで通りバイクを直接ぶつけるのを狙っている、直線で
向かって来ているだろうに目視では点のような物にしか見えない速度になっている
これに合わせて横に避けるのは無理、遅ければ直撃し早ければ追従される・・・なら
跳び上がればいい、上であれば奴も容易に攻めて来れないだろう、何せ操縦の制御
に集中しているのだから、もし奴が跳び上がって来た場合必ずと言っていい確率で
奴は制御を失い転倒する・・・そうすれば判定としては私の勝ちになるだろう
「オォ!」
片脚で何とか低いものの跳び上がって落下を始めた所に奴が来た、メキャリと胴が
奴の腕にめり込み頭部に右手を当て視界を防ぐ、安定を失いふらふらと強く揺れる
「何とォ!我が疾走を停めるカァ!グォォイカン!倒れるゥ」
ぐわんぐわん全身が揺れ視界も揺れる、速度が落ちて来たのか過ぎ去る景色に色が
着いて来た・・・それでも速すぎるスピードに全身が悲鳴を上げ軋んでいる
「ぬァァ!」
体が浮かんだかと思えば、地面に叩きつけられるように空気の壁に叩き付けられて
前後で潰されるような感覚の中ポトリと体が硬い何かの上に落ちる、何かガリガリ
と削るような煩わしい音を盛大に立てながら揺れている、どうやらバイクが地面を
削りながら滑っているようだ・・・バイクの上に落ちたのか、それからどれだけ進ん
だのか判らないが随分と離れた場所まで来たようだ、その跡は緑が削れ幾つもの樹
が圧し折れている事で示している・・・樹にぶつかって半ばまで埋まる事でようやく
停まったバイクから振り落とされる、終わったのか?
「オォ勝者よ、喜ぶがイイ・・・勝利に意味を見出さなければ、在るのは虚無のみよ」
左を見れば下半身と右半身を失った奴が居た、バイクも右半分が無くなっており後
部ももぎ取れたように無くなっている、奴は自分の速度で自滅したって所だろう
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