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15.魔の目覚め/死の律動

二百九十九話 速度に置き去りにされた喪失の楽園

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299話 死の疾走の鼓動・再動するタマシイ

「俺ノスピードが負ける・・・いや己がスピードに負けるトわナ・・・コノ勝負ソナタノ
勝ちダ・・・流石は我等魔人のオリジナルと言ウべきカ?」
「さぁな・・・私が造られたのは最近なんだ・・・多分最新の魔人じゃないか?欠陥の」
「クククッ、ソナタは始まりにアったのダ・・・カタチを持ったのガ最近ト言うダけ」
「そうか・・・だが弱い私を魔人と認めるのか?」
「強い弱い認めル認めなイではナい、魔人とハ死を運ぶ者でハ無く死を超越しタ者
死なぬノが魔人でハ無い・・・死を失った生きテいなイ存在、死も生も持たざル異端
世界を廻すコトワリにとっテの異物で空白、ソレこそガ魔人ト言う種族なのダ・・・
まァ、ソレだけデハないダロうが俺ハ知らん」
「私はソレなのか?私は魔人として発生した訳でも至った者でもない」
「そうトも、魔人・・・そノ原型こソがソナタなのダ、始まりにある者・・・又は始まり
に形を得た物、原初の創造物でアり無と闇より現れたカタチ・・・ソナタこそが真の
そして世界の祖であり核なのダかラ、ソレダケは我等に刻まレてイル」
「そんな感覚も知識も・・・それどころか力すら無いんだがな」
「あっタらとっクに幾つもノ宇宙が消し飛んデいるゾ・・・おシゃべりハここまデだ
もウ我が持たん、さァ勝者ヨ大いナる祖よ我が力と思念、そして我がカタチに我が
存在その全テ持っテ行くがイイ」
「判った、貰って行こう兄弟」
「キョウダイでハナい・・・それハとてモおそロしイ」
形作っていた骨が塵となって崩れその全てが無かったように消滅していく、そうし
て消えて行ったそれらが光となって新たな物を形作っていく・・・丸い等身大程の光る
物体がウネウネと暫く凹凸を作りながら波打つように蠢いていると、前後に細長く
なったかと思えば光を失いながら収縮していき、見覚えのある物に似た姿を現した
・・・バイクだ、ヘルズエンジェルの使っていた物に似ているが馬の意匠は見えない
奴の場合馬の頭蓋骨だった前面にあるスカルは、ヘルズエンジェルや人間の頭蓋骨
の形状になっている、そしてその全体を構成するのは変わらず骨だが灰色がかった
暗い白色に色が変わっているし、骨の形状も動物らしさよりバイクの形状を優先し
た形状になっているためかシルエットが全体的に締まって見える、少々骨の先端の
刺々しさが増している気がするが・・・一番の違いはタイヤが出来ている事だ、彼の
時には無かった車輪が存在している、相変わらず紫色の炎が存在し同じような形状
で車輪を覆ってタイヤになっているようだが、これで性能は変わっているんだろう
か?流石に性能差まで把握出来てないからな、それにあれだけのスピードを出して
安定して操作出来る自身は無い・・・一応付近を見渡しバイクも確認してみたが彼の
使っていた杖剣は見当たらなかった、と言うかこれ以外には何もなかった、残念な
がら手に入ったのは彼からの報酬であるバイクだけの様だ、手に入ったなら取り敢
えず確認のために鑑定しておかないとな・・・鑑定に対する罠は掛かってないよな?
 [魔機マシンヘルズエンジェル]
彼の名前が着いているのか、害は無さそうだから試しに軽く動かしてみるとしよう
座ってハンドルを握ってみればなんとなく操作法が頭に浮かんでくる、そして特に
意識せずとも操作が出来ているのに気が付いた、起動させるとタイヤの炎が大きく
膨れ上がり車輪を包み込んで燃え上がる、熱量は無いのかこの炎は少し暖かい位で
脚に流れて掛かってくる炎に熱さを感じない、左右4本の僅かに肥大化している上
下で2つ連なっている排気筒は、少し静かになっているのか勢いよく炎を吐き出し
たものの煩わしい程の音では無くなっている、速度を上げて走らせると直ぐ様加速
し周囲の景色が勢いよく後ろに流れていく、この速度での操作に何故か適応出来て
いる、ハンドルの操作も速度の操作も感覚で操作出来ている気がする、と言うか感
覚以外で操作するのは起動位なんじゃないか?どれだけ動かせばどの位動くのか影
響があるのかとか、こうしたいと思えば何故か実行されるのとか・・・使っていてあ
まりにも便利すぎるし違和感も無い、まるで体の一部になったかのような感覚だ
それを楽しんでいるとは言え今はそんな暇は無いだろう、ここの守護者らしき者達
の居た所にまで戻るとしよう、黄金剣も回収しておきたいし・・・何やらこの空間も
不安定になっているような気もするし、守護者達が全滅したっぽいのになんでこの
空間が維持されているのか不思議でならないし、思うに多分ヘルズエンジェルかそ
の部下が維持を肩代わりしていたんだろうけど、リーダーの敗北した以上部下達が
どう動くか判んないし、最悪もう帰ってるかもしれないし、この空間の崩壊がもう
始まっていてもおかしくないし、崩壊したら自分がどうなるか判らないし・・・うん
まーた変な所に飛ばされるのだけは勘弁してほしいなぁ、次元や時空間の狭間に落
ちたらこの世界に戻って来れるとは限らないからな・・・流石に今更もうそれは困る
さて・・・黄金剣を落としたのはどの辺りだったか、バイクの車輪跡を辿っていけば
着くだろうけど・・・あちこち曲がっていたり交差もしている所があるせいで中々に
面倒だ、それに小さいがキシキシと軋む音が聞こえて来る、遠くから聞こえて来る
感じがするからこれは空間の軋む音だと思っていいだろう、徐々にだが音が大きく
なっている・・・崩壊が近づいていると考えるべき、遠くの空にヒビが入ったのが見
えた、思ったより崩壊が速しもうあまり余裕が無さそうだな・・・崩壊している最中
に動き回るのはマズイし早く見つけないと、あれは役に立ちそうだし何かの鍵っぽ
いから回収しておきたい・・・それから少し走った所で見つけた、僅かだが光を反射
して光ってくれていたおかげで見つける事が出来た、ただもう大地が砕け崩落を始
めている、所々土が突き上がってくるせいで真っ直ぐ走るのも難しい、見失わない
ように走りすり抜けざまに車体を大きく横に倒し左手でなんとか掴んで車体を戻す
横転同様の状態からでも復帰出来るなんてとんでもない性能だな、黄金剣を不安定
な左手から右手に持ち替え速度を落とす、このバイクは魔具扱いらしく体内に格納
出来るようだが黄金剣は違うようだ、バイクは取り込んで格納しておき剣は落とさ
ない様に握り込んでおく、マガセビは・・・まぁ突きしているままだし大丈夫だろう
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