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15.魔の目覚め/死の律動

三百話 異界からの脱出

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300話 崩れゆく異界・境界の裂け目

大地の崩落によって遂に全てが落下を始め、その途中でそれらがまるで幻であった
かのように消えていく、しかし粒子や塵の様に分解されたように消えていった・・・
やはり何かしらで作られた世界だったのだろう、大地や木々が全て消え残っている
のは遠くに見える騎士だけだ、ただ動いていないようだし機能していないのだろう
「勝負だ、アングマール!」
何だ?
「ヴァイカーンの威信に掛けて!」
遠くから聞こえて来る
「とっととくたばりやがれ!出来損ないがっ!」
怒りと憎しみの籠った声だ
「オルドリーン!」
「ガーネイアー!」
今度は強い怒りの声が聞こえて来ると、それに返すような憎しみの声も聞こえて来
た、そして周囲から幾つもの異なる声が聞こえて来る・・・聞こえて来るのはどれも
強い意思が混ざった声だ、怒りと憎悪や悲嘆に覚悟の声が響く、この空間・・・いや
境界の奥からだ、異世界からの声だろうか?その歪から僅かに景色らしきものも見
えるが、見ているのに情報が素通りしていって記憶出来ず、景色もぼやけてしまう
他にも混ざり過ぎて聞き取れないが幾つもの声が聞こえて来る、そっちの方に行く
と恐らく境界を越えてあっちの世界に飛ばされてしまうのだろう、ここは大人しく
していれば元居た場所に戻れるはず・・・あの沼地に出れば合っている事が証明される
ふと隣を見ると何者かが隣である場所を指差していた、それは巨人の様な3M以上は
ある黒い全身鎧で特徴的な前に向いている細めで鋭角な双角、胸部には◇の紋章の
様な模様と周囲を覆う規則正しい意匠が施されており、左手を柄頭に乗せるように
掴んでいる黒い長剣を、空間に立ち地面に刺しているかのように下に向けている
その右手がある場所を示していた、それはこのまま落下する予定地では無い側面だ
・・・が、アレは信用出来る、アレの事を知っている気がする・・・いや思い出せないが
私は知っている筈だ、何故なら奴は最高位の世界の守護機構だからだ、この情報が
頭に浮かんでくるし何処か懐かしさも感じている、この感覚が正しいなら私を導い
てくれているのだろう、ならば今は大人しく示された通りにするとしよう、こんな
場所でいつまでも彷徨っていられないからな・・・示された場所への方向へ体を傾けれ
ばその方向に進んで行く、ただ風に吹かれて押される様にあちこちから見えない壁
の様な物が押し付けられて、向かうべき方向から逸らされ続けている、それは最初
に出口だと思っていた大穴の方へ誘導している気がする、となるとあそこは外れ所
がこの中からだと1番危険な場所にでも繋がっているんじゃないだろうか?いや1番
遠い所か?このまま行くと帰って来るのが難しい場所に飛ばされるか?なんとかし
て方向を直さないといけないんだが・・・偶に金属片らしきものが飛んでくるのは何
なんだ?邪魔にはならないが意識がそっちに割かれてしまう、腰布を新しくしたと
言うのにもうあの残骸に巻き込まれかけている、前のより少し短いからか避けるの
もそう難しくはないが・・・前から飛んで来た金属板を殴って逸らす
「ぐぁああーー!」
「ぐむぁああーー!」
「あぱぶっ!」
「ぎゃぶっ!」
爆発音が響いたかと思えば今度は断末魔に似た叫び声が聞こえて来た、内容的には
ふざけている様な気がしないでもないが・・・特に悲壮感等も感情の揺らぎも無いよう
だし、その爆発のなのか叩き付けられる熱風を感じる、そしてこれのおかげで軌道
修正が出来た、見えない壁を叩き方向を変え蹴って勢いを着けながら落下していく
この壁は勢いをつけて叩けば僅かだが退ける事が出来るようだ、空間が圧縮されて
出来ている壁なんだろうが、圧縮率が低いのか存在その物が不安定なのか・・・空間に
固定出来ていないから存在の揺らぎが発生しているのだろう、このまま時間を掛け
ると存在強度が補填される可能性がある、少し急ぎ目に落下し目的まで進んで行く
穴の近くまで来ると押し返して来るような向かい風が流れて来る、穴の縁を掴んで
体を穴の中に押し込み倒れ込むようにして入る、全身が入った所で重力が強くなり
勢いよく引っ張られて落ちていく、目の前に濁った薄紫色の水面が広がり空間の通
路から放り出される、僅かな落下で目前に迫っていた水に落ちる、バシャリと水を
跳ね上げる音を発てて帰還した、太腿の半分位の深さのある水中から顔を上げれば
見覚えのある毒沼と木々が見える・・・ちゃんと[毒溜まりの森]へと戻って来る事が
出来たようだ、次の[古き戦士達の墳墓]へ向かうためにも今回はもうここで切り上
げるとしよう、あの2人は・・・近くに感じはする、入口付近に居るんだろうか?既に
どれだけ時間が経っているのか判らないな、空の色は特に変わっていないから極短
時間だったのか丸1日程経ってしまっているのか・・・まぁそれは2人に会えばわかる
事だ、今どの位置に居るかも入って来た所も判らないから、2人の気配を辿るしか
ない・・・まぁこの気配を辿れば帰れるだろう、どことなく体が重いような気がする
それにさっきまでは違和感を感じ無かったのに今は体内から異物感を感じる、脳裏
に精確な形状が浮かび上がってくるし、これは格納している対象を明確に1つの物
として認識出来るようになったのか?さっきまでの違和感が無さ過ぎる方がおかし
かったんだろう、実際感覚的にも意識的にも取り出し易くなった感じがしている
・・・とは言っても流石にこんな所で出すのは止めておこう、水と泥で汚れるし木々
も邪魔だし速度も出過ぎる、ああ言った移動手段はこんな場所で使う物では無いの
だろう、あまり考えなくても向いてないのが判る、だがバイクが手に入ったおかげ
で外を移動するのが随分と楽になった・・・望んだ邂逅では無かったが悪い出会いで
は無かったな?まぁ良くは無かったがかと言って悪くも・・・いや出会いとしては悪
い方か、しかし良い物が手に入ったのだから喜ばしい、魔物達を横目に走り抜けて
出口付近まで来た、もう直ぐ近くのはずだが入口が見えない・・・いやこれは、あぁ
側面が見えていたのか・・・そう言えば横から見ると薄すぎて殆ど判らないんだった
身だしなみは・・・新しい腰布も巻いたしポーチも装備している、防具は無くなった
がまぁいい、武器はマガセビは問題無いし黄金剣は・・・格納していた体内から取り
出し亜空間倉庫に入れる、そう言えば黄金剣は異常に違和感やら異物感があったな
適合してないのかそれとも私自身との相性があんまり良くないのか?バイクの方は
かなり馴染んでるんだがなぁ・・・もはや体の一部になっている感覚だ
「ん~あーあっあ」
準備は良し、意識確認もよし、肉体も問題無し、声が少し掠れている位だな
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