目が覚めたら異世界で草生える

みももも

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旅2

荷馬車に乗って

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 お馬さんによる自動運転の荷馬車は平原を快適に突き進んでいった。
 でもこれってある意味強盗行為なんじゃないかと心配だったけど、お馬さんが言うには『元の持ち主は、我を見捨てて逃げ出した時点で所有権を放棄したのと同じであろう』とのことだった。
 お馬さんにとって襲ってきた魔獣自体はたいしたことなかったけど、主人が自分を見捨てて一目散に逃げ出したことには不満を感じているみたい。
「ところで私、どうやら異世界からやってきたか記憶喪失かのどっちからしいんだけど、お馬さんはその辺りの情報を何か知らない?」
『記憶喪失か、異世界? すまぬが、人間のかかる病にはあまり詳しくなくてな。それに人間がどうかは知らぬのだが、我ら魔馬にとっては今いるこここそが唯一の世界なのでな。他の世界のことなどは……すまぬが』
「うんまあ、ダメ元だったからそれはいいんだけど。でもやっぱり知らないよね、どうしよっかな」
 人間にとっても、今いる世界が唯一の世界だと思うんだけどね。
 最悪の場合はこの状況を受け入れて残りの人生をこの世界の住人として過ごすのも一つの手段かもしれないけど、でも原因ぐらいは知っておきたいし、元の世界に戻れるものなら戻りたい。
『そういえば……なのだが。確か妖精族どもが異世界の研究をしているという話を聞いたな。世迷言と思って聞き流しておったのだが、もう少し話を聞いていれば良かったのかもしれんな』
「妖精⁉︎ 妖精にはどうやったら会えるの?」
『さて、な。奴らは神出鬼没な上に種族全体を通して人間嫌いであると聞く。普通に過ごして遭遇することはまずあり得ぬであろうから、会おうと努力しても徒労に終わることが目に見えておるぞ』
「そっか、世の中そんなに甘くないってことか。ならひとまずは記憶喪失の可能性の方を調べることにしよっかな」
『それがよかろう。さてお主よ、そんなことを言っているうちに街につきそうである。手続きの方を頼みたいのだが』
 荷馬車が都市の城門に差し掛かると、衛兵の格好をした人が鎧をカチャカチャ鳴らしながら駆け寄ってきた。

「こんにちは、商人さん。この街には商売に来たのですか? 何日ぐらい滞在される予定ですか?」
「えっと……」
『ふむ。あまり長く滞在することもなかろう。三日程度で良いのではないか?』
「だ、そうです」
「……そう、とは?」
『言い忘れておったが、我の声は普通の人間には聞き取れぬ。この場で聞こえておるのはお主だけである』
 そう言うことは、先に言ってよ‼︎
「えっと、そう、滞在予定は三日ぐらいで!」
「かしこまりました。それではお通りください」

 衛兵さんは敬礼のポーズをとって持ち場に戻っていった。
 前の街には衛兵なんてそもそも居なかったことを考えると、この街は多少は活気があるんだろうけど、私たちの他に荷馬車も見当たらないぐらいだからあまり期待はしないほうがいいのかも。
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