目が覚めたら異世界で草生える

みももも

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街2

荷馬車の持ち主が現れた!

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 街についたのでまずは宿を、しかも馬小屋と荷馬車をおける駐車場付きの宿を探さなきゃ。
 ということで私とお馬さんで宿探しをすることにしたんだけど、旅の経験のない私が呆然としているとお馬さんが『この町だとあの宿に泊まることが多かった』と教えてくれたので、素直に言われた通りの宿に泊まることにした。
 というか、そもそもこの荷馬車もお馬さんも元の持ち主がいるはずだから。元の持ち主が利用していた宿を利用すればその辺りの情報も手に入るかもしれないしね。

「いらっしゃい。予約かい?」
「はい。私一人と馬一頭。あと荷馬車も置いときたいんですけど……」
「あいよ。ちと荷馬車を見せてもらうが、いいか?」
「あ、はい。外に留めてありますのでどうぞ」

 まあそりゃ、荷馬車のサイズとかによって値段も変わってくるだろうしね。宿屋のおじさんと一緒に、外に留めてある荷馬車所まで案内すると、おじさんは驚いた顔をしていた。

「こいつは。お客さん、若いのにいい馬車使ってますね。このレベルの馬車ってことは、相当儲けてますね?」
「いや、違くて。えっと……、この馬車拾い物なんだけど。おじさん、持ち主のことなにか知りませんか? やっぱり返した方がいいですよね……」

 私が「馬車と馬の持ち主を知らないか」と聞くと、宿屋のおじさんは「ウーン」と唸り声を上げて迷っています。
 私たちの他には客もいないぐらいなので、持ち主のことを知っているのかと思ったんだけど、この様子だとわからないのかな。

「心当たりはある。だが、返さなくてもいいんじゃないか? 別に暴力で奪ったってわけじゃないんだろ?」
「いやいや、そんなわけにはいかないでしょ。元の持ち主も今頃困ってるかもしれないし」
「この手の馬車には盗難防止の機能がつけられてるもんなんだが、それが作動した形跡もない。争ったような形跡もない。大体、護衛もつけずに遊びの感覚で商売してるあいつはいい客ではあったがあまりみていて楽しくもなかったからな。自業自得ってことでいいんじゃないか?」
「いや、でも……」

 拾ったものは持ち主の元に返したいという、私の日本人としての本能が……。
 とはいえ宿のおじさんは非協力的だし、私としても自分のことで手一杯だから顔も知らない人のためにそこまで頑張る気にはなれないし……。

「お客さん、どうしてもって言うならこの荷馬車、うちで預かってやってもいいぜ。持ち主が現れたら買い取ってもらえるだろうしな! 一ヶ月経っても現れなけりゃ、そんときゃ俺の方で処分してやる。個人的には現れないでいてくれた方が助かるんだがな! ハッハッハ!」
「そう言うことなら、それでお願いしよっかな。おじさん、ありがとうござ……」
「た、助けてくれ! おい、ジジイ! お前聞いた話によると昔は魔獣ハンターだったんだろ? 俺の荷馬車が魔獣に襲われちまったんだ。荷馬車を守ろうと俺も戦ったんだが……なんでここに俺の荷馬車が⁉︎」
「いいところに来たな。この人がお前さんの荷馬車をここまで運んでくれたそうだ」
「そうか、助かるぜ! ……というわけで、この馬車は返してもらうぜ! じゃあな!」

 急に現れた知らない男性は、私への感謝の一言もなしに御者台に飛び乗ってお馬さんに鞭を当てて出発しようとします。が、

「おい、なぜ動かない! おい、動け、ここから逃げるんだよ! 急げよ!」
「あの、さっき私の魔力パターンでロックかけたので……。それに、お馬さんも嫌がってます、そんな強く鞭で叩くのはやめた方がいいですよ」
「なにっ⁉︎ おまえ、他人の馬車になんて事しやがる! おい、今すぐ解除しろ!さもないと……」
「ガッハッハ! 悪いがその馬車は、すでに俺の方で買い取ってある! 返して欲しけりゃ、そうだな……、金貨3枚で許してやろう! それともこの俺と喧嘩をするつもりか?」

 ついさっきまでは「無償で返してもいいかな」って思ってたけど、こんな失礼な人に気遣いは無用だよね。
 知らない人はまだ諦めずにお馬さんに鞭を打って、ここから逃げ出そうとしているけど、当のお馬さん自身が『これぐらいであれば痛くも痒くもないので安心せよ』って言ってるぐらいだから、多分無駄な努力なんじゃないかな。
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