目が覚めたら異世界で草生える

みももも

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街2

拾った荷馬車が金貨3枚に化けた

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「ヘヘッ、毎度あり!」
「くそったれ! もってけ、ドロボー‼︎」

 結局宿屋のおじさんは、悪徳商人(仮)から金貨三枚以上を巻き上げることに成功したらしい。
 最初のうちは強気に出ていた男性も、「これからお前は『荷馬車を捨てて逃げ出した商人』と呼ばれることになるが、それでいいのか?」とか「商人ギルドに報告してもいいのか?」とか言われるうちに、心が折れちゃったみたい。
 これじゃどっちが悪者なのかわかんないけど、宿屋のおじさんいわく「これもあいつのためだから」ってことらしい。
 便利な言葉だよね。情けは人の為ならずって。まあ本来の意味は違うらしいけど。

「ということでお客さん、これがお客さんの取り分だ。宿代はこっちで勝手に引かせてもらったが……足りないと思ったら言ってくれ」
「いえいえ、そんな。十分すぎるぐらいですよ! むしろおじさんの取り分はそんなちょっとでいいんですか?」
「俺は、まああいつの悔しそうな顔が見れたからな!」

 おじさんから渡されたのは、3枚の金貨。
 この世界でのお金の価値はよくわかんないけど、手に持っただけで重みがすごい。
 金貨の表面には人の顔の絵が彫られてる。もしかしてこれが、この国の王様の顔なのかな? お金のこともそうだけど、まだまだ勉強しないといけないことがたくさんあるなぁ。

 私がお馬さんに「こんな人のもとで働くのは辛いと思うけど、頑張ってね」と挨拶して馬車のロックを解除すると、商人さんは「覚えてろー‼︎」って捨て台詞を残して走り去っていった。
 どうやらあまり学習能力は高くないみたい。
 というか(金貨がどれだけの価値があるのか知らないけど)こんな大金をポケットから出せるっていうことは、もともとお金に余裕のある人だったのかもね。
 だったらこのお金はありがたく使わせてもらうことにしようかな。

「それじゃあお客さん、これが部屋の鍵だ。とりあえず五日までならこれ以上金を取らずに留めてやれるが、何泊ぐらいするつもりなんだ?」
「えっと、街に入る時は三日って答えたんですけど……」
「てか、お客さんはそもそもなにしにこの街に来たんだ? あの荷馬車も他人のものだったってことは商売目的ってことでもなさそうだし」
「えっと……」

 さて、私が異世界からの転移者(あるいはただの記憶喪失者)であることを話すべきか、黙っておくべきか。
 別に秘密にしたいとかっていうわけじゃないけど、じゃあ例えば私が前世で知らないお客さんから「実は俺、異世界転生者なんだ……」って告白されたらどう思うだろう。絶対に「あ、こいつ、面倒くさいやつだ」って思う気がする。
 じゃあ、記憶喪失なら?
 ……それはそれで「なに言ってんだこいつ」ってなる気もするけど、異世界転移よりはマシ……なのかなぁ。

「実は私、どうやら記憶がなくなっているみたいで……。なので今は、記憶を取り戻すための手がかりを探しているんです」
「……そうか。それは大変だな。……わかった、俺も色々協力させてくれ!」

 あれ、もしかしてこの世界では記憶喪失って割と珍しい現象なのかな?
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