目が覚めたら異世界で草生える

みももも

文字の大きさ
32 / 89
街2

旅立ちの朝

しおりを挟む
「……。うわー、寝過ごしたー!」

 目が覚めると、すでに太陽がだいぶ高い場所まで登っていた。
 本当は日の出と同時ぐらいに旅支度を終わらせてすぐに出発する予定だったんだけど、流石に昨日深夜までおしゃべりしてた反動が来たみたい……。
 テーブルの上を見ると置き手紙が。

 アカネさんへ
 起こしに来たのですが気持ちよく寝ているようなので起こさないでおきますね。
 わたしとマリーは狩りに出かけねばならないのでお先に失礼します。
 アカネさんの幸福を祈っています。
  主人の妻 アイナ

 あの奥さん、わたしが「寝る」って言った時、「おやすみなさい、私は片付けしないとなので……」って言ってたから、わたしより寝た時間は遅いはずなのに、もう起きてしかもマリーちゃんと狩りに出かけちゃったのか。
 てか、マリーちゃんのお母さんはアイナさんって名前だったんだ……。

 って、ボーッとしてる場合じゃない。
 脱ぎ散らかした服を片付けたりしないと……あれ?
 おかしい。昨日脱ぎ散らかしたはずの服が畳まれてまとめてある。てか、服を鞄に仕舞えば今すぐ旅立てるレベルまで整理されてる⁉︎
 あ、鞄の上にも手紙が。

 あかねおねーちゃんへ
 おねーちゃんが ねぼすけさんなので
 わたしが ぜんぶ じゅんび しておきました えっへん!
 またいっしょに あそぼうね
  マリー

 ……マリーちゃん⁉︎
 マリーちゃんの手紙の字は辿々たどたどしかったけど、洋服は綺麗にたたまれてるし、よく見たら魔力の残光も感じられて清潔にもなってるみたい。
 魔導でお洗濯までしてくれたってことなのかな。
 てか、母娘おやこしてわたしの部屋に入り込んでったってこと?
 まあ、女性同士だからいっか。宿屋のおじさんが勝手に入ってきてたってなったらそれは違うけど、流石にそんなことはないみたいだし。
 とりあえずはまとめられた荷物を異空間鞄に詰め込んで、リビングにいるであろうおじさんに声をかけたら出かけることにしようかな。

「おじさん、おはようございます」
「おう起きたか、お客さん。うちの妻と娘が迷惑をかけなかったか?」
「いえそんな、むしろ助けてもらったぐらいです……っと、少しのんびりしすぎたのでもう出ますね。お世話になりました」
「ああ、こちらこそな。今出れば今日の夕方にはキャンプ地に着けるはずだ。まあ、道中気をつけてな。記憶が戻ったらまたここに寄ってくれよ!」
「はい、もちろんです」

 おじさんとの別れの挨拶を済ませて厩舎に行くと、お馬さんが出迎えてくれた。

「お待たせ、お馬さん。それじゃあ出発しよっか」
『お主よ、待っていたぞ。さあ行こう、我らの旅の幕開けである!」

 お馬さんを馬房から出した私はお馬さんを綱で引っ張って、都市に入る時に通った検問所に向かった。

「おや商人さん。荷馬車はどうしたのですか?」
「えっと、まあ。ちょっと分け合って手放したんだけど。……それより、街を出る手続きをお願いしてもいいかな」
「はい、お待ち下さい……、お待たせしました。もう大丈夫ですよ! また来てくださいね!」
「ありがとう。また寄った時はよろしくね!」

 門を抜けた私はお馬さんの馬装を整えると鞍にまたがって、お馬さんのお腹を軽くキック。合図を受けたお馬さんはパカパカと軽快に歩き出してくれた。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

異世界に転移したらぼっちでした〜観察者ぼっちーの日常〜

キノア9g
ファンタジー
※本作はフィクションです。 「異世界に転移したら、ぼっちでした!?」 20歳の普通の会社員、ぼっちーが目を覚ましたら、そこは見知らぬ異世界の草原。手元には謎のスマホと簡単な日用品だけ。サバイバル知識ゼロでお金もないけど、せっかくの異世界生活、ブログで記録を残していくことに。 一風変わったブログ形式で、異世界の日常や驚き、見知らぬ土地での発見を綴る異世界サバイバル記録です!地道に生き抜くぼっちーの冒険を、どうぞご覧ください。 毎日19時更新予定。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...