目が覚めたら異世界で草生える

みももも

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キャンプ

夢の中?

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「また、ここか……」
 明るいようで暗く、白いようで真っ黒な。それはきっとここが夢の中だから。全ては曖昧で私の思うがままで、何もかもが揃っているのになにも手に入らない。
 というか私の意識はまだ目が覚めていて、今も必死に翻訳作業に取り組んでいるはず。そう考えるとこれはいわゆる『白昼夢』というやつなのかな。夢には詳しく無いから知らないけれど……。

 さて、と。
 せっかくこの空間で意識がはっきりしているんだから、少し情報を整理してみようかな。客観的に私自身を観察できるのはこの空間の沢山ある利点の一つだから。
 まず大前提の確認だけど、私は異世界からの転移者であって、単純な記憶喪失では無い……はず。表に出てる私は未だに確信が持てていないみたいだけど、魂として彷徨う中で実際に幾つかの記憶も失っているからそれもしょうがないのかもね。常に自分の中に「何かを忘れてしまっている」という感覚を抱いているはずだし。

 ここには彼女わたしが魂として世界の狭間をさまよっていた時の記憶も散らかっているけれど、ここに四散している宝石たちは、表の私かのじょからは失われた記憶たち。夢でありながら決して思い出せない夢。確かにあった喪失感でしか認識できない私たちの確かな過去。
 この記憶は再び魂に戻らない限り私の中に戻ることはないけれど、いつか来るその日のために今は少しでも整理整頓しておこうかな。

 今回整理をするのはそんな、魂として彷徨っていた時の記憶たち。
 主人格あの子はすっかり忘れてしまっているけれど、逆にいえばすべての記憶は夢の中に残っているはずだから……。

 あれはそう、魂になっても強く我を保つことに成功した私は輪廻転生先の世界を見定めようとしていたんだっけ。その頃の私は魂として行動することにもだいぶ慣れてきて、積極的に移住先の世界を選ぼうとしていたんだよね。でもその時の基準の一つである「言葉が通じる世界」という条件だけがどうしても満たされなかった。
 よく考えればわかることだけど、たまたま日本語と全く同じ言葉が話されてきた外国なんていう都合の良いものがあるわけないように、日本語や英語が話されてきた外国なんてものも存在しなかった。いやああの時はもうダメかと思ったよ。
 で、そんな時に見つけたのがこの世界だった。この世界で話されている言葉は人類語という聞いたこともない言語だったけど、この世界には魔導という仕組みが存在して、これが想像以上に便利な力だった。
 魔導を使いこなすことができれば最終的に空を飛ぶことすら可能で、しかも魂の状態からスタートする私の身体は魔力と相性が良くて、生まれた瞬間から最強の魔導師になることも難しくなかったけれど、私が可能性を感じたのは、「この魔導の力を使えば言葉の問題を解決できるんじゃない?」ってことだった。そしてそれは実際可能だった。
 使える予定だった魔力のほとんどと、鍛えることで身につく魔力のほとんどを消費して数ヶ月間ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返すことで、ようやく「今まで魔導を使ってきた人たちの話す言葉をインストールする魔導」を組み上げることに成功。もう一度やれと言われても無理。だって私にも仕組みがよくわかんないんだもん。

 ただまあそのおかげで私は人類語どころか魔導語、古代魔導語、お馬さんの言葉までを自在に扱えるようになったんだよね……。いやあ、成功してよかった。
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