目が覚めたら異世界で草生える

みももも

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山越え

お馬さんと仔馬さん

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 東屋で椅子に座って鳥のさえずりを聴きながら野菜多めのサンドイッチを食べていると、思ったよりも早くお馬さんが見回りから帰ってきた。
 よく見ると後ろに小さなお馬さん、つまり仔馬さんがいるように見えるんだけど、いったいどこで引っ掛けてきたんだろうというか、こんな小さな子馬さんをナンパするなんて、もしかしてお馬さんはロリコンだったのかな。

『お主よ、戻ったぞ。……少々面倒なことになったのだが』
「お馬さん、おかえり。面倒って、その子のこと?」
『その通りだ。おい、挨拶しろ』
『パパ、本当にこの人間には言葉が通じるの? 人間なのに?』
「パパだって。ということはその子はお馬さんの隠し子か何かなの?」
『そんなわけがなかろう。此奴はついさっきそこで拾った魔馬どうぞくである。我と似たような境遇で、うまいこと人間による調教から逃げ出してきたらしいのだが……』
『そうなの! あいつら私のことをすぐ叩くし怒鳴り声はうるさいし。あとご飯も美味しくないから逃げることにしたの! 今頃きっと、私のことを必死になって探していると思うの。いい気味なの!』
『と、いうようなわけである。我としては此奴を群れまで連れ戻してやりたいところなのだが……かなりの寄り道になってしまうのだがお主はどう思う?』
 どう思うと言われても、こんな小さい子を一頭ひとりで放っておくわけにも行かないし、お馬さんに賛成かな。
「私はそれでいいと思うよ。よろしくね、仔馬ちゃん!」
『お姉さん、ありがとうなの!』

 そんなわけで、子馬さんを連れて山下りを再開することにした。流石に仔馬の背中に乗るのは憚られるはばかられるからお馬さんの背中に乗るけど、そうすると流石に仔馬さんが目立っちゃうような気がする。
「お馬さん、仔馬さん。せめてなにかカモフラージュしたほうがいいと思うんだけど……」
『そうだね! このままだとお姉さんが馬泥棒と間違えられちゃうかもね! 大変だね!』
 いや、他人事みたいに言わないでほしいんだけど。でもまあ、まだ子供だから仕方ないか。
『であれば、此奴には何か適当な荷物でも運ばせてやればいいのではないか? 荷運び用のポニーと思わせればそこまで怪しくはないだろう』
「なるほど。じゃあお馬さんのアイデアを採用で。鞄の中にはちょうどいい感じの荷物がいろいろ入ってるから、仔馬さんにはそれを運んでもらおうかな」
『任せて! 私こう見えて力持ちなのよ!』

 鞄の中からたきぎにつかう木を適当に取り出して、2組に分けて紐で結んで仔馬さんの背中に吊るしてあげる。ついでに紐を結んで口輪にして仔馬さんにつけてあげて、お馬さんに乗っている鞍と口輪を長めの紐で結んであげる。
「これでまあ、木材を運ぶ馬に見えなくもないかな」
 念のために仔馬さんの背中にはさっきまで磨いていた巨大なウサギの毛皮をかぶせてあげることにした。こうすれば仔馬さんを探している人も遠目からは判別がつかないだろうしね。
『では行こうかの、お主らよ』
『やったー! いこいこー!』
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