目が覚めたら異世界で草生える

みももも

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山越え

お馬さんの家族にご挨拶

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 わざわざ鞄から荷物を出して仔馬さんにくくりつけてる時点で私としては違和感を感じてたんだけど、お馬さんによると『魔導鞄は高級品だから、持っているのは一部の裕福な人だけ。鞄を持っていない者は基本的に荷物は手で運ぶ必要がある』ということらしい。ちなみにどれぐらい高級か聞いてみたら、基本的には最低限金貨が10枚以上は必要になるのだとか。最初の村のおじさんはこんな凄いものをタダでくれるとか、気前良すぎるんだけど⁉︎
 とまあそんなわけで、道中何度か商人にあったけど特に怪しまれることもなく30分ほどで山道を抜けた先に大平原が見えてきた。
 適度に草木は生えているみたいだけど地平線の先まで同じような光景が続いている。魔導学園はこの平原を超えたさらに先にあるらしいんだけど、今はまずは仔馬さんを群れに返すことを考えないとね。

「お馬さん、お馬さんの故郷ってどのあたりなの?」
『そうだな……。なにぶん昔のことだからはっきりと覚えているわけではないのだがな。だが、この平原のどこかであることだけは確かだ』
 いや、これだけ広い平原のって。それってほとんど何もわかっていないのと同じなのでは?
『パパ、だったら私が連れて行ってあげる! 案内するからついてきて‼︎』
 仔馬さんはそういうと、背負った荷物を揺らしながら走り始めて、私も慌ててお馬さんに合図を送って追いつくように加速した。やっぱりお馬さんに乗って走るなら山道よりもこんな感じの草原の方がいいよね!
 ……って、油断してたら仔馬さんはどんどん速度を上げていって、お馬さんもそれについていくようにスピードが増していく。周りの風景がもの凄い速さで流れていって風圧もやばい。私としてはなんとか振り落とされないようにしがみつくので精一杯で、なるほど。これがお馬さんの全力疾走なのかな。それともまだこれは仔馬さんに合わせた速度だから、大人のお馬さんはさらに速度が出るのかも⁉︎

『パパ! お姉さん‼︎』
『わかっておる。お主よ、魔馬の群れが見えてきたぞ』
「……うぇ、っぷはあ。え? どこ?」
 やっとのことで二頭二人が速度を落としてくれたので顔を上げてみると、確かに少し離れた場所に馬の群れがいるように見える。魔馬だからだろうか、全頭とも魔力で光っているけれど、お馬さんや仔馬さんと比べると光がなんだか弱いような?
『さあ、群れに戻るのだ』
『……パパもついて来て。ひとりだと不安なの!』
「ついていってあげようよ。私も他のお馬さんに挨拶したいし」
『お主がそう言うのであれば構わぬが、挨拶はできぬかもしれぬぞ?』

 どういう意味だろう。
 もしかして、野生の馬たちは人間の事を警戒しているとか? だとしたら私は少し離れた場所で待機していてもいいんだけど。でもお馬さんは『構わない』って言ってるし、馬たちがパニックにならないようだったらこのままで行ってみようかな。
『みんなー! ただいまー‼︎』
「ヒヒーン!」「ブルルルル」「ブフォー、ブフォー!」
 あれおかしいな、現地のお馬さんたちが何を話しているのかが理解できないぞ? なんか、再開を喜んでいるようには見えなくもないんだけど……。
「ねえお馬さん、彼らはなんて言ってるの?」
『お主よ、聞いての通りである。我や此奴が意思疎通できるのは、少なからず人間に調教される中で知能を身につけたからなのだ。野生の魔馬に言葉を話すような知能は存在せぬのだよ、悲しいことに』

 ああなるほど、私の耳がおかしくなったわけじゃなかったんだ。まあそもそもウマ語を理解できるという時点で異常だったと言えないこともないわけだけど。
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