上 下
85 / 89
魔導学院へ

街に向かって移動中。

しおりを挟む
「それじゃあやるよ、シグレさん!」
「はい……いいですよ! やってください!」
「いやそのビビり方は流石に失礼じゃない?」
 シグレさんは私の背中側に回り込んで、何が起きても対応できるように構えをとっている。てか配置的にこれは、もし爆発したりしたら私を壁にするつもりだね、これ。
 まあ別に私は気にしないけど。ということで、私の周りに魔力が滞留しているうちに試してしまうことにしようかな。私が右手をガラス玉に近づけると、ガラス玉が急激に濁って内側が土や泥まみれになってしまった。
「シグレさん、これってつまり……?」
「どうやらかアカネさんの土地の魔力は台地の属性が強いようですね。まあ予想はしていましたが」
「てっきり私は草属性とかなのかと思ってたけど、そうなんだ、へ~」
 というか私からしたら、ガラス玉に触れた瞬間に爆発とかまで覚悟してたから、思ったよりも平凡な結果で拍子抜けというか。いや別に期待してたわけじゃないけど⁉︎
 それにしてもあれだけ草が生えるのに草属性じゃないということは、今まで私は草を生やしていると思っていたけど実際は土を耕していただけだったのかな。まあ別にどっちでもいいけど。

「で、シグレさん。私の(土地の)属性は分かったけど、そしたらどうするの?」
「そうですね……。私の場合は水属性の魔導書を読んで魔導の威力を高めるための練習をしましたが、アカネさんの場合は手加減する練習をしたほうがいいのかもしれませんね。アカネさん、土属性の魔導が乗ってる魔導書って持ってます?」
「そんな便利なもの都合よくあるわけ……あ、魔導大全とかでも大丈夫?」
「ですよね。街についたら……って、あるんですか⁉︎」
「うん、これなんだけど……」そう言って私は鞄の中から魔導大全を取り出す。読んでると眠くなる関係で、まだほとんど読んでない状態だけど、大全と名乗るぐらいなのだから土属性の魔道の情報も載ってるはずだよね!「どうかな、シグレさん?」
「どれどれ? アカネさん、すごいですよこの本! 内容は基本的なことが多いですけど私の魔導書よりもわかりやすく書かれてます。こんな本どこで手に入れたんですか?」
「えっと……拾った?」
 やっぱり高級品だったのか……。最初は売り払おうとか考えてたけど、そういうことなら逆に気が引けるというか。持ち主がとりに戻ってきた時にバレると面倒だし、いつかあの土地に戻って元の場所に戻さなきゃいけないね。

「そういうことであれば、早速練習を始めましょう、アカネさん! そうですね……まずはこの辺りの魔導から練習したらどうですか?」
「それもいいけどそろそろ休憩は終わりにして、先に進もうよ。魔導書は私が読んでおくから、シグレさんは馬の操縦をお願いできる?」
「そうですね。今日中になんとかこの平原は抜けたいですからね!」
 私でも馬の操縦はできるんだろうけど、私だとなんか普通に道に迷いそうな気がするから、馬車の運転とかはシグレさん任せにすることにした。その代わりに野営とか食事の準備は私がやるってことに決めたんだけど、シグレさんは世話焼きさんだからこっちも手伝おうとしちゃうんだよね。
 シグレさんからしたら「貴族に尽くすのは当たり前」ってことらしくて、私としては確かに楽ではあるんだけど、便りっぱなしだと……ねえ。何かしらシグレさんに恩返しできることがあればいいんだけど……。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

追いかける雑草

SF / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

神様のサウナ ~神様修業がてらサウナ満喫生活始めました~

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:113pt お気に入り:113

お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:852pt お気に入り:373

デッドエンド済み負け犬令嬢、隣国で冒険者にジョブチェンジします

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:224

処理中です...