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EPISODE1
5.新入部員
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次の日の放課後。
「持ってきたわよーーーっっっ!!」
嬉々として衣装を振りかざすあや。
手にしているのは…2着のメイド服と1着の執事服だった。
「えっと……あや……?まさか……!!」
言うが早いか、襲いかかってくるあや
やっばい!!!!!
「待ちなさい!たく!!うふふふふ」
「やめろ馬鹿野郎!!!」
「馬鹿とは何よ!!この馬鹿たく!!」
「いやああぁせめてあのお二方を外へえええ!!!」
「すぐ終わるわよ大人しくなさい!!」
「ぎゃあああああああ」
─結局、執事服を着せられてしまった。
「さ~てっ!つ・ぎ・は~!ゆづき!」
「何だって!!?おい、やめっっ!!!」
ゆづきさんの髪ゴムに手をかけるド変態と、猛反抗するゆづきさん。
ものすごい戦いだ………。
─バッッ
「あああっっっっ」
「髪ゴムゲーーーーット!!!」
あれ………。なんか…違う………。
そこには、床に座り込んで今にも泣きそうな少女が座っている。もちろん、それはゆづきさんなのだが………。明らかに雰囲気がまるで違う。
「やめて…ください…よぉ………。うっ……うぅっ………。」
「ゆづき……?」
「わ………私、はっ……グスッ………。」
─別人格!?
さっきまでのクールなゆづきさんはどこへ…。
しかしこれは…あやの好きなタイプ………。
「泣き止みなさい?ゆづき。」
「は、はい…えっと…私、どうしたらいいんですか…?」
「このメイド服、着て?」
さぁ、ここでゆづきさんがどう言うかで運命が決まるぞ─。
「えぇっ!!?嫌ですよぉ………っっっ!!」
あー。。。こりゃダメだわ………。
もうあやの餌食だ。
ギランッッとあやの目が輝いた。
「みほ!!出るぞ!!!」
みほの手を掴んで急いで部室を出る。
「はぁ………。」
「たく……さん……?手……痛い………。」
「おっと……ごめん………。」
中から、あやとゆづきさんの攻防する声が聞こえてくる。
『うわああぁぁんっっっ!!やめてくださいいいいぃぃぃいいぃ!!!』
『やっぱり年上ってだけあるわぁ~っ!』
『ちょっっっ、あぁっっっっ!!服がああぁ─』
『あはははっっっっっ─』
«ドッターンッッッ»
な、何の音だ!!?
「ちょっ、あや!?」
『もうちょっと─』
一体どうなってるんだ…。
『たく~。みほ~。もう来ていいわよ~?』
─ガラガラ…
「お、おぉっ!」
「なんで俺が……いつの間に………!!?」
髪を結い直されている。
「どうよ?たく!」
「えっと…。」
ゆづきさんが、キッ、とこちらを睨んでくる。
「うわあぁ見るな!!見るなあああ!!!」
ゆづきさん、リタイア…。
「次は、みほね。うーん─………たく。よろしく。」
「なんでだよ!?」
「いやぁ…一応、男子だし?」
俺は!?ねぇ俺は!!?
「(クイクイッ)」
「ん?なんですか?」
「あの…恥ずかしいので、あの二人を……。」
「あ、はい……!おい、あやー。外へ出てやってくれ。あと、ゆづきさん…すみませんが外へ…。」
「はぁ!?この格好でか!?」
「恥ずかしいってのはとてもわかるんですが…。まぁ、可愛いですし全然大丈夫ですって!」
「くっ………!!」
さて、と。
「じゃあ─みほ。俺も外に出てますね。」
「(ガシッッ)」
「…なんですか?」
メイド服を指さされる。
「─もしかして…着方がわからない…とか?」
「(ガクガク)」
「…しょうがないですね…。」
どうしてこうなった………。
「えっと…とりあえず、この黒いワンピース(?)を着てください。」
ネクタイを外し、カッターシャツを脱ごうとしているが…。
「あやー。カッターシャツって脱ぐ必要あるかー?」
『─どっちでもいいわよー。』
「どうします?」
「………。」
無言でボタンをとめ直す。そりゃそうだわな。
「着ましたね。じゃあ次はこの白いエプロン(?)を。」
えーっと後は─
「え?どうしました?」
背中を指さしている。
「あぁ、結べないんですね。はいはい…。
こんなもんかな。痛くないですか?」
「(コクリ)」
「えーっと、律儀に靴まであるな…。
あやー、靴あるけど、靴下はどうするんだー?」
『ゆづきは黒ハイ履いてるから─白ハイなかったかしら?』
白ハイ、白ハイ…っと…。
あれ。
「無いぞ?」
『あれー?忘れたのかしら…まぁいいわ。じゃあ素足ね!』
「えぇ─みほ…あぁ言ってますがいいんですか……?」
少し眉をひそめたが、ゆっくり頷くみほさん。
「じゃあこの靴を履いてもらって…。」
あとは、カチューシャか。
「つけますね?」
「………。」
「よし─っと。」
おぉ………っっっ!!
『ねぇたくー?もういいー?ゆづきが周りの視線で泣きそうなのよー。』
「あ、あぁっ!いいぞ!」
─ガラガラッッッ
「か・わ・い・い~~~!!!」
「ん?でもなんか足りないわね…あっ。た~く~!!リボン忘れてるじゃないの!」
「おぉ…すまん…。」
「はい、リボンよ!つけてあげて!」
そう言って差し出されたのは、みほさんの瞳と同じく水色のリボンだった。
「では、失礼しますね。」
「………。」
─カシャッ
「!?」
「いいわねぇ~。執事がメイドさんの服を着せてるって…むふふ…。」
「あや、どっからそんなカメラを。」
「持参!!」
すると、ふらふらっ、とゆづきさんが寄ってくる。
「おい……あや…………。」
「何?ゆづき?」
「もう脱いでいいか!?いいよな!!?
っていうかもう脱ぐ!!!」
「いいわよ。ただし、ゆづきが今この場所で脱げるんなら、ね。」
「はぁ?何言って─」
視線は俺達の方へ。
「ーーーっっ!!見るなあああどっか行けえええええ!!!」
「行っちゃダメよたく!!
言ったでしょう?ゆづき。今!この場所で!!この状況下で脱げるんなら、脱いでいいって!!!」
「だ、だがっ………!!」
「ゆづき?」
全てを諦めたようなその背中に浮かぶのは敗北の2文字………。
「さて、と。あたしはどうしようかしらねぇ。まぁ、また今度持ってくるわ!」
その後、ずっと執事服を着せられたままだった。
ゆづきさんもみほさんも似合ってるんだが…。
やっぱり、みほさんは本当に男なのかと疑ってしまうほど綺麗な顔をしている。
さらさらで、少し青がかった短い髪の毛。
キメの細かい白い肌。
小柄な体型、細い手足─
「?」
「あっ……すいません。」
ゆづきさんのヘッドフォンからめちゃくちゃ音漏れするくらいデカい音量で音楽が聞こえてくる。
相当キてるな。。。
「もういっそ、俺のメイド服姿を全員忘れてくれればいいのにーーー!!!せめて………せめてキャップだけでも………!!あああ!おい新人、どうにかしろおぉ!!!」
どうにかしろってんな無茶な。
「かしこまりました。」
「!?」
「お前っっっ」
─────っっ。
「─くっ。たくっっ。」
「ん………。。。」
ここは………。
うーん、背中が痛い………。
「っつーーー………。」
床に寝転がってたらそら痛いわな…。
「っていうかみほ!?」
俺の覚えている事は、みほさんが左手の黒い手袋を外し、人差し指と中指を俺の首筋に押し当てたこと。
それと─
─みほさんの黒く染まった目。
「みほ…?どういうことなんだ…。」
「ぼくは…たく…さんの記憶を消しました………」
「─詳しく話してくれ、みほ。」
みほさんは、静かに話し出す。
「ぼくは…この三本の指が…」
人差し指、中指、薬指を突き立てる。
「どうやら、人差し指で気絶…中指で相手の記憶を消す様で、薬指は歩行不能にすることができるみたい…です…。」
沈黙。
なんか今まで以上にガチっぽいの来ちゃったよ…。
「なぁ~るほどっ!」
そんな重苦しい沈黙は、あやのハイテンションな一言で消し去られた。
あばよ………。
「流石うちの新入部員ね!能力を持ってしてこそ、我がSD部にふさわしいわっ!」
「あや。1つ聞いていいか?」
「なによ。」
「みほが何も能力を持ってなかったらどうしてたんだ?」
「それは…。─だって男子なのにこんなに可愛いってだけで十ーーーっっ分、能力よ!」
「……まさか…それだけで…。」
「そんなワケないじゃない!あたしは、ちゃーんと、みほの能力を見抜いてたのよ!」
そうか…まぁこいつには見えてたって事なんだろう。
「まぁ…9割がた、それだけど。」
前言撤回……。やっぱこいつはただの変態だ。
「とりあえず…この執事服もう、脱いでいいか…?」
「そうねぇ~─脱ぎたいんなら……あたしに跪く事ね!!!」
「こんのドSがあ!!!」
「そうよ!?あたしはドSですけどそれがなにか!!?」
「開き直るなあああ!!
考えてもみろ!?ゆづきさんとみほは、こんなにも嫌がって……!!え、なんですか?ぼくは別に嫌がってない…と…………。」
「ほらみなさい!」
「………(敗北)………」
そうかそうか、キャップも敗北を味わったか…とゆづきさんが慰めてくれる。
そんな中、あやとみほは何やら話し込んでいる。
まぁ、みほさんが話すようになってよかった。(いや…あれは…話しているのか…?)
少しすると、みほさんが小走りでこちらへ来た。
「どうしました?」
「さっきはすいませんでした…。」
「あぁ、それならもう」
「ぼくは、あねごと話しt─」
「ストーーーーッップ!!!!!」
「…?」
「あああ、あねごって…まさか…。」
「はい。あやなさんの事です。
ぼくは、ここで漢になります!」
気のせいか…?今…1番おかしな言葉が飛び出てたような…?
「そしてぼくは、男の中の男にその佇まいを教わりたいのです。なので………あにき、と呼ばせてください!」
「そんな………。」
「たく~いいじゃな~い?」
みほさんの綺麗な瞳は、いいよね?ねぇ、いいよね?と語っている。
「うぁ…はい………。」
「流石あにきです。心がお広いです。さて…。」
今度はゆづきさんの方を向いて、こう言った。
「─ねえさんと呼ばせてください。」
「な、なんだ…その、ねえさんって………。」
「………。」
「うっ……わ……わかったよ………。いいよ………。」
「ありがとうございます!ゆづきねえさん!」
まるでトイプードルの様だ。。。
「あー。。。みほ?なんか…急に多弁になりましたね…?」
「男子たるもの、弱々しい話し方、よもや無言など……女子そのものであると言われたのです。」
そうか………?無言を貫くって、サムライみたいで良いと思うんだが………。
「たく。何か不満?」
「な、なんでわかっt─」
「たくの顔の筋肉が─」
「うわああわかったもういい!!」
はぁ…………。
とりあえず…………。
「あや………これ、脱いでいいか………?」
「ダメよ。」
やっぱりな………。
「持ってきたわよーーーっっっ!!」
嬉々として衣装を振りかざすあや。
手にしているのは…2着のメイド服と1着の執事服だった。
「えっと……あや……?まさか……!!」
言うが早いか、襲いかかってくるあや
やっばい!!!!!
「待ちなさい!たく!!うふふふふ」
「やめろ馬鹿野郎!!!」
「馬鹿とは何よ!!この馬鹿たく!!」
「いやああぁせめてあのお二方を外へえええ!!!」
「すぐ終わるわよ大人しくなさい!!」
「ぎゃあああああああ」
─結局、執事服を着せられてしまった。
「さ~てっ!つ・ぎ・は~!ゆづき!」
「何だって!!?おい、やめっっ!!!」
ゆづきさんの髪ゴムに手をかけるド変態と、猛反抗するゆづきさん。
ものすごい戦いだ………。
─バッッ
「あああっっっっ」
「髪ゴムゲーーーーット!!!」
あれ………。なんか…違う………。
そこには、床に座り込んで今にも泣きそうな少女が座っている。もちろん、それはゆづきさんなのだが………。明らかに雰囲気がまるで違う。
「やめて…ください…よぉ………。うっ……うぅっ………。」
「ゆづき……?」
「わ………私、はっ……グスッ………。」
─別人格!?
さっきまでのクールなゆづきさんはどこへ…。
しかしこれは…あやの好きなタイプ………。
「泣き止みなさい?ゆづき。」
「は、はい…えっと…私、どうしたらいいんですか…?」
「このメイド服、着て?」
さぁ、ここでゆづきさんがどう言うかで運命が決まるぞ─。
「えぇっ!!?嫌ですよぉ………っっっ!!」
あー。。。こりゃダメだわ………。
もうあやの餌食だ。
ギランッッとあやの目が輝いた。
「みほ!!出るぞ!!!」
みほの手を掴んで急いで部室を出る。
「はぁ………。」
「たく……さん……?手……痛い………。」
「おっと……ごめん………。」
中から、あやとゆづきさんの攻防する声が聞こえてくる。
『うわああぁぁんっっっ!!やめてくださいいいいぃぃぃいいぃ!!!』
『やっぱり年上ってだけあるわぁ~っ!』
『ちょっっっ、あぁっっっっ!!服がああぁ─』
『あはははっっっっっ─』
«ドッターンッッッ»
な、何の音だ!!?
「ちょっ、あや!?」
『もうちょっと─』
一体どうなってるんだ…。
『たく~。みほ~。もう来ていいわよ~?』
─ガラガラ…
「お、おぉっ!」
「なんで俺が……いつの間に………!!?」
髪を結い直されている。
「どうよ?たく!」
「えっと…。」
ゆづきさんが、キッ、とこちらを睨んでくる。
「うわあぁ見るな!!見るなあああ!!!」
ゆづきさん、リタイア…。
「次は、みほね。うーん─………たく。よろしく。」
「なんでだよ!?」
「いやぁ…一応、男子だし?」
俺は!?ねぇ俺は!!?
「(クイクイッ)」
「ん?なんですか?」
「あの…恥ずかしいので、あの二人を……。」
「あ、はい……!おい、あやー。外へ出てやってくれ。あと、ゆづきさん…すみませんが外へ…。」
「はぁ!?この格好でか!?」
「恥ずかしいってのはとてもわかるんですが…。まぁ、可愛いですし全然大丈夫ですって!」
「くっ………!!」
さて、と。
「じゃあ─みほ。俺も外に出てますね。」
「(ガシッッ)」
「…なんですか?」
メイド服を指さされる。
「─もしかして…着方がわからない…とか?」
「(ガクガク)」
「…しょうがないですね…。」
どうしてこうなった………。
「えっと…とりあえず、この黒いワンピース(?)を着てください。」
ネクタイを外し、カッターシャツを脱ごうとしているが…。
「あやー。カッターシャツって脱ぐ必要あるかー?」
『─どっちでもいいわよー。』
「どうします?」
「………。」
無言でボタンをとめ直す。そりゃそうだわな。
「着ましたね。じゃあ次はこの白いエプロン(?)を。」
えーっと後は─
「え?どうしました?」
背中を指さしている。
「あぁ、結べないんですね。はいはい…。
こんなもんかな。痛くないですか?」
「(コクリ)」
「えーっと、律儀に靴まであるな…。
あやー、靴あるけど、靴下はどうするんだー?」
『ゆづきは黒ハイ履いてるから─白ハイなかったかしら?』
白ハイ、白ハイ…っと…。
あれ。
「無いぞ?」
『あれー?忘れたのかしら…まぁいいわ。じゃあ素足ね!』
「えぇ─みほ…あぁ言ってますがいいんですか……?」
少し眉をひそめたが、ゆっくり頷くみほさん。
「じゃあこの靴を履いてもらって…。」
あとは、カチューシャか。
「つけますね?」
「………。」
「よし─っと。」
おぉ………っっっ!!
『ねぇたくー?もういいー?ゆづきが周りの視線で泣きそうなのよー。』
「あ、あぁっ!いいぞ!」
─ガラガラッッッ
「か・わ・い・い~~~!!!」
「ん?でもなんか足りないわね…あっ。た~く~!!リボン忘れてるじゃないの!」
「おぉ…すまん…。」
「はい、リボンよ!つけてあげて!」
そう言って差し出されたのは、みほさんの瞳と同じく水色のリボンだった。
「では、失礼しますね。」
「………。」
─カシャッ
「!?」
「いいわねぇ~。執事がメイドさんの服を着せてるって…むふふ…。」
「あや、どっからそんなカメラを。」
「持参!!」
すると、ふらふらっ、とゆづきさんが寄ってくる。
「おい……あや…………。」
「何?ゆづき?」
「もう脱いでいいか!?いいよな!!?
っていうかもう脱ぐ!!!」
「いいわよ。ただし、ゆづきが今この場所で脱げるんなら、ね。」
「はぁ?何言って─」
視線は俺達の方へ。
「ーーーっっ!!見るなあああどっか行けえええええ!!!」
「行っちゃダメよたく!!
言ったでしょう?ゆづき。今!この場所で!!この状況下で脱げるんなら、脱いでいいって!!!」
「だ、だがっ………!!」
「ゆづき?」
全てを諦めたようなその背中に浮かぶのは敗北の2文字………。
「さて、と。あたしはどうしようかしらねぇ。まぁ、また今度持ってくるわ!」
その後、ずっと執事服を着せられたままだった。
ゆづきさんもみほさんも似合ってるんだが…。
やっぱり、みほさんは本当に男なのかと疑ってしまうほど綺麗な顔をしている。
さらさらで、少し青がかった短い髪の毛。
キメの細かい白い肌。
小柄な体型、細い手足─
「?」
「あっ……すいません。」
ゆづきさんのヘッドフォンからめちゃくちゃ音漏れするくらいデカい音量で音楽が聞こえてくる。
相当キてるな。。。
「もういっそ、俺のメイド服姿を全員忘れてくれればいいのにーーー!!!せめて………せめてキャップだけでも………!!あああ!おい新人、どうにかしろおぉ!!!」
どうにかしろってんな無茶な。
「かしこまりました。」
「!?」
「お前っっっ」
─────っっ。
「─くっ。たくっっ。」
「ん………。。。」
ここは………。
うーん、背中が痛い………。
「っつーーー………。」
床に寝転がってたらそら痛いわな…。
「っていうかみほ!?」
俺の覚えている事は、みほさんが左手の黒い手袋を外し、人差し指と中指を俺の首筋に押し当てたこと。
それと─
─みほさんの黒く染まった目。
「みほ…?どういうことなんだ…。」
「ぼくは…たく…さんの記憶を消しました………」
「─詳しく話してくれ、みほ。」
みほさんは、静かに話し出す。
「ぼくは…この三本の指が…」
人差し指、中指、薬指を突き立てる。
「どうやら、人差し指で気絶…中指で相手の記憶を消す様で、薬指は歩行不能にすることができるみたい…です…。」
沈黙。
なんか今まで以上にガチっぽいの来ちゃったよ…。
「なぁ~るほどっ!」
そんな重苦しい沈黙は、あやのハイテンションな一言で消し去られた。
あばよ………。
「流石うちの新入部員ね!能力を持ってしてこそ、我がSD部にふさわしいわっ!」
「あや。1つ聞いていいか?」
「なによ。」
「みほが何も能力を持ってなかったらどうしてたんだ?」
「それは…。─だって男子なのにこんなに可愛いってだけで十ーーーっっ分、能力よ!」
「……まさか…それだけで…。」
「そんなワケないじゃない!あたしは、ちゃーんと、みほの能力を見抜いてたのよ!」
そうか…まぁこいつには見えてたって事なんだろう。
「まぁ…9割がた、それだけど。」
前言撤回……。やっぱこいつはただの変態だ。
「とりあえず…この執事服もう、脱いでいいか…?」
「そうねぇ~─脱ぎたいんなら……あたしに跪く事ね!!!」
「こんのドSがあ!!!」
「そうよ!?あたしはドSですけどそれがなにか!!?」
「開き直るなあああ!!
考えてもみろ!?ゆづきさんとみほは、こんなにも嫌がって……!!え、なんですか?ぼくは別に嫌がってない…と…………。」
「ほらみなさい!」
「………(敗北)………」
そうかそうか、キャップも敗北を味わったか…とゆづきさんが慰めてくれる。
そんな中、あやとみほは何やら話し込んでいる。
まぁ、みほさんが話すようになってよかった。(いや…あれは…話しているのか…?)
少しすると、みほさんが小走りでこちらへ来た。
「どうしました?」
「さっきはすいませんでした…。」
「あぁ、それならもう」
「ぼくは、あねごと話しt─」
「ストーーーーッップ!!!!!」
「…?」
「あああ、あねごって…まさか…。」
「はい。あやなさんの事です。
ぼくは、ここで漢になります!」
気のせいか…?今…1番おかしな言葉が飛び出てたような…?
「そしてぼくは、男の中の男にその佇まいを教わりたいのです。なので………あにき、と呼ばせてください!」
「そんな………。」
「たく~いいじゃな~い?」
みほさんの綺麗な瞳は、いいよね?ねぇ、いいよね?と語っている。
「うぁ…はい………。」
「流石あにきです。心がお広いです。さて…。」
今度はゆづきさんの方を向いて、こう言った。
「─ねえさんと呼ばせてください。」
「な、なんだ…その、ねえさんって………。」
「………。」
「うっ……わ……わかったよ………。いいよ………。」
「ありがとうございます!ゆづきねえさん!」
まるでトイプードルの様だ。。。
「あー。。。みほ?なんか…急に多弁になりましたね…?」
「男子たるもの、弱々しい話し方、よもや無言など……女子そのものであると言われたのです。」
そうか………?無言を貫くって、サムライみたいで良いと思うんだが………。
「たく。何か不満?」
「な、なんでわかっt─」
「たくの顔の筋肉が─」
「うわああわかったもういい!!」
はぁ…………。
とりあえず…………。
「あや………これ、脱いでいいか………?」
「ダメよ。」
やっぱりな………。
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