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トワ達が来てから数週間しか経っていないのに、私たちの生活様式は激変した。
「なんか和風……だね」
「そうですね。こんな建物は見たことがありません」
「グル、お風呂好き」
目の前に建てられた、一階建ての日本風家屋に圧倒される。勿論、襖や畳も忠実に再現してあった。トワが材料になりそうなものを探し出してくれたらしい。
呆気にとられる私にギュッと抱きついてくるグル。最近は私に抱きつくのがグルのお気に入りなのだそう。
可愛いことこの上ない‼︎
「そうそう、お風呂といえばもう皆入ったの?」
「「「「「「「はい‼︎」」」」」」」
コクコクと頷く美男美女集団。その中にはグル、オリビア、ギア、トワもいた。
「リン様が語ってくれた世界は素晴らしい物でした! 特にお風呂には私の全力を注ぎましたので、喜んでいただけてよかったです‼︎」
そう言って胸を張るのは茨木童子に進化したサリと名付けられた美少女。
正直言ってめちゃくちゃ可愛い。クリンとしたアイスブルーの瞳と髪。ツノは小さいのが2本付き出ており、それも青のグラデーションになっている。本人曰く、もう少しツノが大きいほうが良かったそうだ。
『小さいってなんか強そうじゃないじゃないですか‼︎』
ぴょこんぴょこんと跳ねながらブツクサ文句を言う姿に私が悶絶させられたのは言うまでもない。
「リン様! 今度一緒にお風呂入りましょうね!」
「うん、分かった!」
ニコッと笑いながら言うサリ。
「グルも一緒に入る!」
「でしたら私も入りたいです」
「皆んなで入ろっか」
"やったーーーーーーー!"と言う声が聞こえそうなほど皆んなに頷かれた。
「男性陣は男性陣で楽しんでくださいね」
オリビアがすかさず釘を刺す。
目に見えてしょんぼりした空気が流れた。
おいおい、まさかみんなで入るって男女皆んなでって言う意味だと思ったの⁉︎
「男湯も作ったでしょうがーーーーーーー!」
「「「「「はーい……」」」」」
ションボリ度がマックスの男達なのであった。
お風呂は洞窟から湧き出る聖水を引いている。それを私の魔力を貯めておいた入れ物に注いで、温めることでお風呂にしているのだ。
「神聖水をこんな風に使うなんて考えられませんでしたけどね」
オリビアがブツクサ言っているが、神聖水のお風呂に入った彼女は以前にもましてツヤツヤとしている。
「て言うか、みんな全体的に肌とか綺麗になったよね?」
「神聖水には高い美容効果もあり、代謝を促進してくれるので疲れも取れやすいんですよ」
ギアが説明してくれた。
「え、じゃあ化粧水として売れば……」
「こんな効果の高い化粧品があってたまる物ですか! 即座に販売元調べ上げて略奪に来るでしょうよ!」
くわっと目を見開いたオリビア。
あ、やっぱり。察した私はすごすごと引き下がった。
元ゴブリンだった森聖霊達のリーダーであるアリがピッと手をあげて私の前に出てくる。
「もしかしてリン様は貿易をしたのでしょうか?」
「そう! そうなの‼︎ いくら大国が動けないとしても、こっそり入ってくる人とかいるでしょう? 例えば前にオリビアとグルが倒した奴等みたいに」
チラリと視線を向ければ、オリビアとグルはコクコクと頷いていた。相当嫌いな人種だったらしい。その話を聞いた私は警戒心を抱いたのだ。
このままだと国が出来る前に潰されてしまう可能性があると。
「では、我々が作った木材はどうでしょう? 森聖霊が作る木は鉄の硬さを持ちますから。そして、精度は荒くしています。そうですね、名付けるならば鉄剛朴ですかね」
「え? じゃあ今建設に使ってるのは?」
「金剛朴と言う物です。殆どの攻撃には耐えられると思いますよ」
え? それって貴重な物じゃないの……?
チラリとオリビアを見ればうんうんと頷いている。
「リンが傷つく事などあってはなりませんから。良い心がけです」
「ありがとうございます」
恭しく礼をするアリ。頷くオリビア。それを見て私は察した、ダメだこの2人、と。
「話を戻してもいいかな?」
「あ、はい」
「じゃあ、その鉄剛朴を売る事でいい?」
「それならば少し頑丈な木材という事でいいのではないでしょうか?」
「私は人の世界は分かりませんが、多分大丈夫だと思います」
ギアとオリビアの許可を貰った私は早速アリに頼んで鉄剛朴を4等分したものを2セットもらった。それでも一本が2メートルほどあるので持ち運ぶのは大変である。
「この髪色どうするよ」
「髪を纏めてフードを被ればよろしいかと」
「分かった」
「じゃあ行ってくるね」
こうして、私は護衛にトワ。交渉役にオリビアを連れて洞窟から離れたのだった。ちなみに結界はよくよく調べてみたところ、私が認めた者以外の外部からの侵入を防ぐ神聖結界に変わっていた。
ーー後にこれが皆んなの命を救ってくれるーー
「なんか和風……だね」
「そうですね。こんな建物は見たことがありません」
「グル、お風呂好き」
目の前に建てられた、一階建ての日本風家屋に圧倒される。勿論、襖や畳も忠実に再現してあった。トワが材料になりそうなものを探し出してくれたらしい。
呆気にとられる私にギュッと抱きついてくるグル。最近は私に抱きつくのがグルのお気に入りなのだそう。
可愛いことこの上ない‼︎
「そうそう、お風呂といえばもう皆入ったの?」
「「「「「「「はい‼︎」」」」」」」
コクコクと頷く美男美女集団。その中にはグル、オリビア、ギア、トワもいた。
「リン様が語ってくれた世界は素晴らしい物でした! 特にお風呂には私の全力を注ぎましたので、喜んでいただけてよかったです‼︎」
そう言って胸を張るのは茨木童子に進化したサリと名付けられた美少女。
正直言ってめちゃくちゃ可愛い。クリンとしたアイスブルーの瞳と髪。ツノは小さいのが2本付き出ており、それも青のグラデーションになっている。本人曰く、もう少しツノが大きいほうが良かったそうだ。
『小さいってなんか強そうじゃないじゃないですか‼︎』
ぴょこんぴょこんと跳ねながらブツクサ文句を言う姿に私が悶絶させられたのは言うまでもない。
「リン様! 今度一緒にお風呂入りましょうね!」
「うん、分かった!」
ニコッと笑いながら言うサリ。
「グルも一緒に入る!」
「でしたら私も入りたいです」
「皆んなで入ろっか」
"やったーーーーーーー!"と言う声が聞こえそうなほど皆んなに頷かれた。
「男性陣は男性陣で楽しんでくださいね」
オリビアがすかさず釘を刺す。
目に見えてしょんぼりした空気が流れた。
おいおい、まさかみんなで入るって男女皆んなでって言う意味だと思ったの⁉︎
「男湯も作ったでしょうがーーーーーーー!」
「「「「「はーい……」」」」」
ションボリ度がマックスの男達なのであった。
お風呂は洞窟から湧き出る聖水を引いている。それを私の魔力を貯めておいた入れ物に注いで、温めることでお風呂にしているのだ。
「神聖水をこんな風に使うなんて考えられませんでしたけどね」
オリビアがブツクサ言っているが、神聖水のお風呂に入った彼女は以前にもましてツヤツヤとしている。
「て言うか、みんな全体的に肌とか綺麗になったよね?」
「神聖水には高い美容効果もあり、代謝を促進してくれるので疲れも取れやすいんですよ」
ギアが説明してくれた。
「え、じゃあ化粧水として売れば……」
「こんな効果の高い化粧品があってたまる物ですか! 即座に販売元調べ上げて略奪に来るでしょうよ!」
くわっと目を見開いたオリビア。
あ、やっぱり。察した私はすごすごと引き下がった。
元ゴブリンだった森聖霊達のリーダーであるアリがピッと手をあげて私の前に出てくる。
「もしかしてリン様は貿易をしたのでしょうか?」
「そう! そうなの‼︎ いくら大国が動けないとしても、こっそり入ってくる人とかいるでしょう? 例えば前にオリビアとグルが倒した奴等みたいに」
チラリと視線を向ければ、オリビアとグルはコクコクと頷いていた。相当嫌いな人種だったらしい。その話を聞いた私は警戒心を抱いたのだ。
このままだと国が出来る前に潰されてしまう可能性があると。
「では、我々が作った木材はどうでしょう? 森聖霊が作る木は鉄の硬さを持ちますから。そして、精度は荒くしています。そうですね、名付けるならば鉄剛朴ですかね」
「え? じゃあ今建設に使ってるのは?」
「金剛朴と言う物です。殆どの攻撃には耐えられると思いますよ」
え? それって貴重な物じゃないの……?
チラリとオリビアを見ればうんうんと頷いている。
「リンが傷つく事などあってはなりませんから。良い心がけです」
「ありがとうございます」
恭しく礼をするアリ。頷くオリビア。それを見て私は察した、ダメだこの2人、と。
「話を戻してもいいかな?」
「あ、はい」
「じゃあ、その鉄剛朴を売る事でいい?」
「それならば少し頑丈な木材という事でいいのではないでしょうか?」
「私は人の世界は分かりませんが、多分大丈夫だと思います」
ギアとオリビアの許可を貰った私は早速アリに頼んで鉄剛朴を4等分したものを2セットもらった。それでも一本が2メートルほどあるので持ち運ぶのは大変である。
「この髪色どうするよ」
「髪を纏めてフードを被ればよろしいかと」
「分かった」
「じゃあ行ってくるね」
こうして、私は護衛にトワ。交渉役にオリビアを連れて洞窟から離れたのだった。ちなみに結界はよくよく調べてみたところ、私が認めた者以外の外部からの侵入を防ぐ神聖結界に変わっていた。
ーー後にこれが皆んなの命を救ってくれるーー
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