5 / 9
4.
しおりを挟む
「うう……破廉恥ですわ…… (訳:あああ……俺の男としての何かが終わった)」
涙目で肩に掛けられたショールをぐいぐいと引き寄せる優希。メイド達にあれよあれよという間に着替えさせられ、馬車に乗せられ今に至る。
俺の知ってる限り、乙女ゲームが始まるまでエラと王子の交流はなかった。何が原因なんだ!
もっと他のドレスもあったのに……と未練がましくぐいぐいとレースを引っ張る優希。原因は自分のせいだとは一ミリも思っていないらしい。
しかし、しつこいようだが側から見れば世界中が熱狂する絶世の美少女である。銀の色素を持つエラは肉体美も素晴らしく、体のラインを生かす水色のマーメイドドレスはとても似合っていた。
冗談じゃない! ゲームの中でもこんな格好見た事なかったぞ‼︎ しかも中世ってマーメイドドレスなんかなかったんじゃ……
気づいてはいけないところに気づく優希。しかし、これは乙女ゲームの中の世界である。乙女の夢を詰め込むのだからドレスの歴史なんぞ関係ないのだ!
すっかり気分が下がった優希だが、城のメイドに連れられ王子の待つ部屋へ通される。
「やあ、久しぶりだね」
「お久しぶりでございます、殿下」
にっこりと笑い、礼をする。マーメイドドレスの為か裾が広がりにくい。
つーか、裾が持てねぇ!
記憶が戻る前、なんであんなにマーメイドドレスを嫌がったから理由がわかった優希であった。
「ふふ、こちらにおいで」
「はい、殿下」
手招きをされ、近づくとグイッと引き寄せられ膝の上に乗せられる。
「は? あの……向こう側の席に座りたいのですが……」
「ん? 婚約者だろう?」
ギギギと音がしそうなぐらい首を捻り、頭の上にある王子の顔を仰ぎ見る。すると、ポンと手を置かれニコリと微笑まれた。
ああああああああああああああああああああ‼︎ 俺は男だぁぁぁぁぁぁあ(※外見は絶世の美少女です)!
ヒィッと心の中で悲鳴を上げ抗議する優希。腕には鳥肌が立っている。
痴漢野郎め!
ゼーハーと荒く息を吐きながら心の中で罵詈雑言を言いまくった優希。
しかしながら、側から見れば絶世の美少女がぷるぷると身を震わせながら羞恥に萎縮しているようにしか見えない。図らずとも王子への好感度をまたもや上げたのだった。
「おや、照れているのかい? 可愛いな」
ニコニコと頭を撫でられ、更にゾワワ~と鳥肌が立つ優希。
おい、中世の世界を題材にしたんじゃないのか⁉︎ こんな過度なスキンシップはおかしいだろう‼︎
内心憤慨しながらも黙って耐える優希だが、肝心のことをわすれている。そう、ここが乙女ゲームの世界であることを。乙女ゲームとは乙女達の理想が詰まっているのであり、現実世界の歴史なんぞ持ち出しても意味がないのである。
つまり、このような優希曰く過度なスキンシップもこの世界では当たり前のこと……よって優希が辿る運命はーー⁉︎
「そんなに黙っていないで、何か話そうじゃないか」
「ひゃぅ⁉︎」
チュッと頬にキスをされ、手を撫でられる優希。
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎
そう、キスの嵐である。乙女の理想を舐めてはいけないのだ。
ぞわぞわぞわと這い上がってくる悪寒を必死で堪えた優希は記憶が戻る前のエラになりきった。
腹黒サイコパス顔面国宝野郎がこんな簡単に俺に落ちるわけがない! つまり、遊んでんだろ⁉︎ なら俺はゲーム通りの悪役令嬢を演じてやる‼︎
しかし、都合が悪い時ほど表情は隠しきれないもので、優希はチュッチュッと王子にキスされるごとにピクピクと頬を痙攣されたのだった。言うまでもなく王子は気づいている。執拗にキスされたのも優希の反応が面白いからに他ならない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【番外編】
すっぽりと自身の腕の中に収まるエラを見下ろしながらウルアはニマニマと頬を緩ませていた。
ふふ、微笑んでるのに頬っぺたが痙攣してる。最初は照れてるのかと思ったけどそうじゃなみたいだね。なんか面白いな、コレ。
ぷにぷにと頬っぺたを続けば、ゾワっと鳥肌が立つエラ。マーメイドドレスを着ているせいか、丸わかりである。
ふーん、私に触られるのが嫌なんだ。へぇ~珍しいな。反応も面白い。ちょうどいい暇つぶしになりそうだ。
ニヤリと微笑んだウルアはぎゅーっとエラを抱きしめたのであった。
「うぁっ⁉︎」
「あははっ」
ちょっと面白いモノからおもちゃへ格上げされた優希であった。ちなみに優希がプレイしていない場面で、王子がヒロインへの好感度を上げる前兆でもあるのだがーー
そんなこと優希が知るわけないのである。
ああああーーーーーーー! くそっ! 早く婚約解消してヒロインに押し付けてやる! こんな何考えてるか分からん腹黒サイコパス野郎なんで大っ嫌いだ!
揶揄われていることに気づかず、憤慨する優希なのであった。
涙目で肩に掛けられたショールをぐいぐいと引き寄せる優希。メイド達にあれよあれよという間に着替えさせられ、馬車に乗せられ今に至る。
俺の知ってる限り、乙女ゲームが始まるまでエラと王子の交流はなかった。何が原因なんだ!
もっと他のドレスもあったのに……と未練がましくぐいぐいとレースを引っ張る優希。原因は自分のせいだとは一ミリも思っていないらしい。
しかし、しつこいようだが側から見れば世界中が熱狂する絶世の美少女である。銀の色素を持つエラは肉体美も素晴らしく、体のラインを生かす水色のマーメイドドレスはとても似合っていた。
冗談じゃない! ゲームの中でもこんな格好見た事なかったぞ‼︎ しかも中世ってマーメイドドレスなんかなかったんじゃ……
気づいてはいけないところに気づく優希。しかし、これは乙女ゲームの中の世界である。乙女の夢を詰め込むのだからドレスの歴史なんぞ関係ないのだ!
すっかり気分が下がった優希だが、城のメイドに連れられ王子の待つ部屋へ通される。
「やあ、久しぶりだね」
「お久しぶりでございます、殿下」
にっこりと笑い、礼をする。マーメイドドレスの為か裾が広がりにくい。
つーか、裾が持てねぇ!
記憶が戻る前、なんであんなにマーメイドドレスを嫌がったから理由がわかった優希であった。
「ふふ、こちらにおいで」
「はい、殿下」
手招きをされ、近づくとグイッと引き寄せられ膝の上に乗せられる。
「は? あの……向こう側の席に座りたいのですが……」
「ん? 婚約者だろう?」
ギギギと音がしそうなぐらい首を捻り、頭の上にある王子の顔を仰ぎ見る。すると、ポンと手を置かれニコリと微笑まれた。
ああああああああああああああああああああ‼︎ 俺は男だぁぁぁぁぁぁあ(※外見は絶世の美少女です)!
ヒィッと心の中で悲鳴を上げ抗議する優希。腕には鳥肌が立っている。
痴漢野郎め!
ゼーハーと荒く息を吐きながら心の中で罵詈雑言を言いまくった優希。
しかしながら、側から見れば絶世の美少女がぷるぷると身を震わせながら羞恥に萎縮しているようにしか見えない。図らずとも王子への好感度をまたもや上げたのだった。
「おや、照れているのかい? 可愛いな」
ニコニコと頭を撫でられ、更にゾワワ~と鳥肌が立つ優希。
おい、中世の世界を題材にしたんじゃないのか⁉︎ こんな過度なスキンシップはおかしいだろう‼︎
内心憤慨しながらも黙って耐える優希だが、肝心のことをわすれている。そう、ここが乙女ゲームの世界であることを。乙女ゲームとは乙女達の理想が詰まっているのであり、現実世界の歴史なんぞ持ち出しても意味がないのである。
つまり、このような優希曰く過度なスキンシップもこの世界では当たり前のこと……よって優希が辿る運命はーー⁉︎
「そんなに黙っていないで、何か話そうじゃないか」
「ひゃぅ⁉︎」
チュッと頬にキスをされ、手を撫でられる優希。
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎
そう、キスの嵐である。乙女の理想を舐めてはいけないのだ。
ぞわぞわぞわと這い上がってくる悪寒を必死で堪えた優希は記憶が戻る前のエラになりきった。
腹黒サイコパス顔面国宝野郎がこんな簡単に俺に落ちるわけがない! つまり、遊んでんだろ⁉︎ なら俺はゲーム通りの悪役令嬢を演じてやる‼︎
しかし、都合が悪い時ほど表情は隠しきれないもので、優希はチュッチュッと王子にキスされるごとにピクピクと頬を痙攣されたのだった。言うまでもなく王子は気づいている。執拗にキスされたのも優希の反応が面白いからに他ならない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【番外編】
すっぽりと自身の腕の中に収まるエラを見下ろしながらウルアはニマニマと頬を緩ませていた。
ふふ、微笑んでるのに頬っぺたが痙攣してる。最初は照れてるのかと思ったけどそうじゃなみたいだね。なんか面白いな、コレ。
ぷにぷにと頬っぺたを続けば、ゾワっと鳥肌が立つエラ。マーメイドドレスを着ているせいか、丸わかりである。
ふーん、私に触られるのが嫌なんだ。へぇ~珍しいな。反応も面白い。ちょうどいい暇つぶしになりそうだ。
ニヤリと微笑んだウルアはぎゅーっとエラを抱きしめたのであった。
「うぁっ⁉︎」
「あははっ」
ちょっと面白いモノからおもちゃへ格上げされた優希であった。ちなみに優希がプレイしていない場面で、王子がヒロインへの好感度を上げる前兆でもあるのだがーー
そんなこと優希が知るわけないのである。
ああああーーーーーーー! くそっ! 早く婚約解消してヒロインに押し付けてやる! こんな何考えてるか分からん腹黒サイコパス野郎なんで大っ嫌いだ!
揶揄われていることに気づかず、憤慨する優希なのであった。
10
あなたにおすすめの小説
社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった
木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。
今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。
せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。
床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。
その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。
他サイトでもアップしています。
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
22時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた
ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。
シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。
そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。
恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。
気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています
六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。
しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。
「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!
転生しましたが悪役令嬢な気がするんですけど⁉︎
水月華
恋愛
ヘンリエッタ・スタンホープは8歳の時に前世の記憶を思い出す。最初は混乱したが、じきに貴族生活に順応し始める。・・・が、ある時気づく。
もしかして‘’私‘’って悪役令嬢ポジションでは?整った容姿。申し分ない身分。・・・だけなら疑わなかったが、ある時ふと言われたのである。「昔のヘンリエッタは我儘だったのにこんなに立派になって」と。
振り返れば記憶が戻る前は嫌いな食べ物が出ると癇癪を起こし、着たいドレスがないと癇癪を起こし…。私めっちゃ性格悪かった!!
え?記憶戻らなかったらそのままだった=悪役令嬢!?いやいや確かに前世では転生して悪役令嬢とか流行ってたけどまさか自分が!?
でもヘンリエッタ・スタンホープなんて知らないし、私どうすればいいのー!?
と、とにかく攻略対象者候補たちには必要以上に近づかない様にしよう!
前世の記憶のせいで恋愛なんて面倒くさいし、政略結婚じゃないなら出来れば避けたい!
だからこっちに熱い眼差しを送らないで!
答えられないんです!
これは悪役令嬢(?)の侯爵令嬢があるかもしれない破滅フラグを手探りで回避しようとするお話。
または前世の記憶から臆病になっている彼女が再び大切な人を見つけるお話。
小説家になろうでも投稿してます。
こちらは全話投稿してますので、先を読みたいと思ってくださればそちらからもよろしくお願いします。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる