悪役令嬢に転生した俺の奮闘記

ニコ

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「うう……破廉恥ですわ…… (訳:あああ……俺の男としての何かが終わった)」

 涙目で肩に掛けられたショールをぐいぐいと引き寄せる優希。メイド達にあれよあれよという間に着替えさせられ、馬車に乗せられ今に至る。

 俺の知ってる限り、乙女ゲームが始まるまでエラと王子の交流はなかった。何が原因なんだ!

 もっと他のドレスもあったのに……と未練がましくぐいぐいとレースを引っ張る優希。原因は自分のせいだとは一ミリも思っていないらしい。

 しかし、しつこいようだが側から見れば世界中が熱狂する絶世の美少女である。銀の色素を持つエラは肉体美も素晴らしく、体のラインを生かす水色のマーメイドドレスはとても似合っていた。

 冗談じゃない! ゲームの中でもこんな格好見た事なかったぞ‼︎ しかも中世ってマーメイドドレスなんかなかったんじゃ……

 気づいてはいけないところに気づく優希。しかし、これは乙女ゲームの中の世界である。乙女の夢を詰め込むのだからドレスの歴史なんぞ関係ないのだ!

 すっかり気分が下がった優希だが、城のメイドに連れられ王子の待つ部屋へ通される。

「やあ、久しぶりだね」
「お久しぶりでございます、殿下」

 にっこりと笑い、礼をする。マーメイドドレスの為か裾が広がりにくい。

 つーか、裾が持てねぇ! 

 記憶が戻る前、なんであんなにマーメイドドレスを嫌がったから理由がわかった優希であった。

「ふふ、こちらにおいで」
「はい、殿下」

 手招きをされ、近づくとグイッと引き寄せられ膝の上に乗せられる。

「は? あの……向こう側の席に座りたいのですが……」
「ん? 婚約者だろう?」

 ギギギと音がしそうなぐらい首を捻り、頭の上にある王子の顔を仰ぎ見る。すると、ポンと手を置かれニコリと微笑まれた。

 ああああああああああああああああああああ‼︎ 俺は男だぁぁぁぁぁぁあ(※外見は絶世の美少女です)!

 ヒィッと心の中で悲鳴を上げ抗議する優希。腕には鳥肌が立っている。

 痴漢野郎め! 

 ゼーハーと荒く息を吐きながら心の中で罵詈雑言を言いまくった優希。

 しかしながら、側から見れば絶世の美少女がぷるぷると身を震わせながら羞恥に萎縮しているようにしか見えない。図らずとも王子への好感度をまたもや上げたのだった。

「おや、照れているのかい? 可愛いな」

 ニコニコと頭を撫でられ、更にゾワワ~と鳥肌が立つ優希。

 おい、中世の世界を題材にしたんじゃないのか⁉︎ こんな過度なスキンシップはおかしいだろう‼︎

 内心憤慨しながらも黙って耐える優希だが、肝心のことをわすれている。そう、ここが乙女ゲームの世界であることを。乙女ゲームとは乙女達の理想が詰まっているのであり、現実世界の歴史なんぞ持ち出しても意味がないのである。

 つまり、このような優希曰く過度なスキンシップもこの世界では当たり前のこと……よって優希が辿る運命はーー⁉︎

「そんなに黙っていないで、何か話そうじゃないか」
「ひゃぅ⁉︎」

 チュッと頬にキスをされ、手を撫でられる優希。

 ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎

 そう、キスの嵐である。乙女の理想を舐めてはいけないのだ。

 ぞわぞわぞわと這い上がってくる悪寒を必死で堪えた優希は記憶が戻る前のエラになりきった。

 腹黒サイコパス顔面国宝野郎がこんな簡単に俺に落ちるわけがない! つまり、遊んでんだろ⁉︎ なら俺はゲーム通りの悪役令嬢を演じてやる‼︎

 しかし、都合が悪い時ほど表情は隠しきれないもので、優希はチュッチュッと王子にキスされるごとにピクピクと頬を痙攣されたのだった。言うまでもなく王子は気づいている。執拗にキスされたのも優希の反応が面白いからに他ならない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【番外編】

 すっぽりと自身の腕の中に収まるエラを見下ろしながらウルアはニマニマと頬を緩ませていた。

 ふふ、微笑んでるのに頬っぺたが痙攣してる。最初は照れてるのかと思ったけどそうじゃなみたいだね。なんか面白いな、コレ。

 ぷにぷにと頬っぺたを続けば、ゾワっと鳥肌が立つエラ。マーメイドドレスを着ているせいか、丸わかりである。

 ふーん、私に触られるのが嫌なんだ。へぇ~珍しいな。反応も面白い。ちょうどいい暇つぶしになりそうだ。

 ニヤリと微笑んだウルアはぎゅーっとエラを抱きしめたのであった。

「うぁっ⁉︎」
「あははっ」

 ちょっと面白いモノからおもちゃへ格上げされた優希であった。ちなみに優希がプレイしていない場面で、王子がヒロインへの好感度を上げる前兆でもあるのだがーー

 そんなこと優希が知るわけないのである。

 ああああーーーーーーー! くそっ! 早く婚約解消してヒロインに押し付けてやる! こんな何考えてるか分からん腹黒サイコパス野郎なんで大っ嫌いだ!

 揶揄われていることに気づかず、憤慨する優希なのであった。
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