どうも初めまして! 異種族通訳者のアリスと申します!

わさびもち

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これが……才能の壁!?

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 どうも皆さんこんにちは。 異種族通訳者のアリスと申します。
 本日は気候もよく、小鳥たちもぴよぴよと鳴いていてとても心地のいい昼下がりですが……いかがお過ごしでしょうか?
 ……え? 私ですか? 私は勿論クッキーと紅茶で優雅にこの気候を楽しんで……

『アリスさん! 遅いです! そこのステップはもっとしなやかに!』
『ひえぇぇ!? 無理ですよそんなの!!』

 楽しんで……いるはずもなく。 
 私は指導員エルフであるニーナさんの愛のある鬼指導を受けておりました。

『違う! そこはそうじゃない! もっと情熱的なステップを踏みなさい!』

 そう言われて積極的に動きを取ってみると……。

『違う! もっと相手のことを考えたステップを踏みなさい!』

 ……などと言われる始末。
 だー! めんどくせーです!
 どうしろと……と私が打ちひしがれていた頃、すぐ近くで歓声が上がりました。
 何かと思ってそちらに視線をやると……。

『きゃー! 凄いわセシリアさん! もうそんなにマスターしちゃうだなんて!』
『ふふっ。 ありがとう。 でも私は……もっと上を目指すつもりさ』
『村の男たちよりも上手かも……。 これが天賦の才ってやつね』

 くるくると回りながら女役を務める指導員エルフさんに褒められるセシリアがおりました。
 ……ぐぬぬ。 何が「忘れているかもしれない」ですか!!
 めちゃくちゃ上手じゃないですか!!

『ニーナさん!! やりますよ! 私も負けていられません!』
『……とりあえず立ち上がってから言ってもらってもいいかしら』
『……ごめんなさい。 やっぱりもうちょっと休みます』
『はぁ……』

 隠しもしないため息。
 うるさいですっ! こっちはそんなに上手くできないんですっ!!
 その日の私の練習は……月がてっぺんに登るまで続くのでした。

 ★★★★★

『うぅ……どーせ私に才能なんてないんですよ……杖さん』
『それは……災難だったわね』

 宿泊用として分け与えられた施設のベッドで私は杖さんに泣き言を漏らします。

『しかし……セシリアって本当になんでも出来るのね。 いつかの魔法大会の時もあの子一人で勝っちゃったし』
『私もあーんな風に才能があればなぁ……』
『いやまぁ……アンタも充分恵まれていると思うけどね』
『そうですけどぉ……やっぱりセシリアの近くだと霞むと言いますか……』
『まぁそれは分からなくもないけどしっかりしなさい! 受けた仕事は最後までやり通すのが社会人として当たり前のことよ!』
『……はーい』

 社会人の厳しさに打ちひしがれながら、私は眠りにつくのでした。
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