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48 普通の転生者、新年のご挨拶をする
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一月一日の新しい年を祝う日はベッドの住人だった。
すまなそうな顔をしてフィルは出来るだけ早く帰るって仕事に行った。それは仕方がないよね。だってフィルは警護の騎士だから。
有難い事に僕の出勤は三日からだったから、二日は大人しく過ごしながら対策を練った。
どうやら僕はものすごく張り切って、張り切りすぎてキャパオーバーしたみたいだけど後悔はないよ。だってちゃんとフィルと話をしたし、僕の事を下に見ていたわけでなく、これくらい自分で解決出来なかったらカッコ悪いなんて思っていた事も分かったし、僕が実は頼りがいのある幼馴染みである事も分かったみたいだしね!
という事で、新年も最初から2連勤で今日は夜勤付きってフィルの勤務体制にイラっとしながらも、大人しくしている事を約束して、お祖父様の家に書簡を出してから、転移をした。
ふふふ、新年のご挨拶だよ。
そしてフィルに起きた事、僕には今の所実害はないけれど、これがどういう意図で行われているものなのか、誰が関わっているのか、その後ろにどういう者が潜んでいるのかを調べたいと思う事を話した。
そして更にはこの事に関しては始めに友人のブラッドから聞き、その後色々と目立つように聞いて回っていた時に接触をしてきた者達も報告。更には宰相閣下から騎士団内での新しいトップ争いが関係しているかもしれない事をリークされ、もう少し調べてみましょうかと声をかけられている事も伝えた。
「サミュエルはどうしたいと思っているのか」
お祖父様から最初に出た言葉はそれだった。
「僕は、フィルがフィルらしく仕事が出来るようになってほしいし、出来れば宿舎の護衛も続けてほしい。あの宿舎には今は僕だけで、今年はどうやら新規の採用はないみたいなので、そうなると今年もまた僕だけが住む事になる。そこでフィルじゃない人と一緒に暮らすのは嫌だ」
「ふむ」
「えっと、えっと、フィルから、好きだって言うのは言われているんです。でも僕の中ではフィルは大事な幼馴染みで、だけど、えっと……まだ分かりません」
「そうか……」
「でも、今みたいに僕のせいでフィルが理不尽な事をされるのは絶対に許せないんです。なので、見返りがどういった事になるかは、向こうの方が数段上だし、どうなるか分からない部分はあるのですが、城内の事を知るチャンスがあるならば、宰相閣下の手の内に入ってみるのも一つかなって思っています」
「それで囲われるような事になってもか?」
「うう~~ん。養子でしたっけ? でも僕にそんな価値はないと思うんだけどな。そうなったら、逃げ出します。何としても。だって、やりたい事が出来ないような所に居ても幸せになれないでしょう?」
お祖父様は吹き出すようにわらって「サミュエルらしい」と言った。そして、「やれるだけやってみなさい」と言った。そして……
「うちだけに顔を出したと分かったら悲しむだろうから、家にも挨拶はしていきなさい」
「はい」
「ああ、それからな。サミュエル」
「はい」
「幸せの答えは多分お前の中に、もう出ていると思うぞ」
「……は?」
呆然とした僕にお祖父様とお祖母様はどこか楽しそうに笑った。
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すまなそうな顔をしてフィルは出来るだけ早く帰るって仕事に行った。それは仕方がないよね。だってフィルは警護の騎士だから。
有難い事に僕の出勤は三日からだったから、二日は大人しく過ごしながら対策を練った。
どうやら僕はものすごく張り切って、張り切りすぎてキャパオーバーしたみたいだけど後悔はないよ。だってちゃんとフィルと話をしたし、僕の事を下に見ていたわけでなく、これくらい自分で解決出来なかったらカッコ悪いなんて思っていた事も分かったし、僕が実は頼りがいのある幼馴染みである事も分かったみたいだしね!
という事で、新年も最初から2連勤で今日は夜勤付きってフィルの勤務体制にイラっとしながらも、大人しくしている事を約束して、お祖父様の家に書簡を出してから、転移をした。
ふふふ、新年のご挨拶だよ。
そしてフィルに起きた事、僕には今の所実害はないけれど、これがどういう意図で行われているものなのか、誰が関わっているのか、その後ろにどういう者が潜んでいるのかを調べたいと思う事を話した。
そして更にはこの事に関しては始めに友人のブラッドから聞き、その後色々と目立つように聞いて回っていた時に接触をしてきた者達も報告。更には宰相閣下から騎士団内での新しいトップ争いが関係しているかもしれない事をリークされ、もう少し調べてみましょうかと声をかけられている事も伝えた。
「サミュエルはどうしたいと思っているのか」
お祖父様から最初に出た言葉はそれだった。
「僕は、フィルがフィルらしく仕事が出来るようになってほしいし、出来れば宿舎の護衛も続けてほしい。あの宿舎には今は僕だけで、今年はどうやら新規の採用はないみたいなので、そうなると今年もまた僕だけが住む事になる。そこでフィルじゃない人と一緒に暮らすのは嫌だ」
「ふむ」
「えっと、えっと、フィルから、好きだって言うのは言われているんです。でも僕の中ではフィルは大事な幼馴染みで、だけど、えっと……まだ分かりません」
「そうか……」
「でも、今みたいに僕のせいでフィルが理不尽な事をされるのは絶対に許せないんです。なので、見返りがどういった事になるかは、向こうの方が数段上だし、どうなるか分からない部分はあるのですが、城内の事を知るチャンスがあるならば、宰相閣下の手の内に入ってみるのも一つかなって思っています」
「それで囲われるような事になってもか?」
「うう~~ん。養子でしたっけ? でも僕にそんな価値はないと思うんだけどな。そうなったら、逃げ出します。何としても。だって、やりたい事が出来ないような所に居ても幸せになれないでしょう?」
お祖父様は吹き出すようにわらって「サミュエルらしい」と言った。そして、「やれるだけやってみなさい」と言った。そして……
「うちだけに顔を出したと分かったら悲しむだろうから、家にも挨拶はしていきなさい」
「はい」
「ああ、それからな。サミュエル」
「はい」
「幸せの答えは多分お前の中に、もう出ていると思うぞ」
「……は?」
呆然とした僕にお祖父様とお祖母様はどこか楽しそうに笑った。
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