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第一章 転生
13 初めての野宿
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泣き止んだ『お助け妖精』は食べられる草と、きのこをしまって、キャンプセットについていたお皿に果物っぽい木の実やグミの実らしきものを並べた。
それを見ながら俺はハッとして、デイパックをごそごそとし始める。
「あった! バイトに間に合わなくなりそうで慌てて買った『カロリアンバー』! 一本しか食べてなかった!」
「か、かろり?」
「ああ、うん。クッキーみたいなものかな。妖精もお腹はすくよね。これも食べられるかな」
確か、途中で一緒に草の実を食べていたもんな。
俺がそう言うと『お助け妖精』は顔を俯かせて小さな声を出した。
「……食べられるけど、大丈夫です。妖精はあんまりお腹がすきませんから。アラタ様が全部食べてください」
言いながらお腹の辺りを押さえている姿が可愛らしくて、俺は「食べられるなら良かった。一緒に食べよう」と言って、小さなミカンのような果物とグミの実のようなものをおかずに、五本入りのそれを一本ずつ食べた。
両手で抱えるようにして『カロリアンバー』を嬉しそうに食べる『お助け妖精』はとても可愛かった。
◆ ◆ ◆
「それにしてもこんな風に外で火の灯りを見るなんて、小学生以来だな」
ささやかな夕食を終えて、俺はキャンプチェアーに座って空を見上げていた。
本当なら温かいコーヒーでも飲みたいところだけど、コップの中は胃にやさしい白湯だ。
「……小学生、ですか?」
「うん。キャンプファイヤーっていうのがあって、皆で火を囲んで歌ったり踊ったり最後に花火をしたりね」
「…………何かの儀式なのでしょうか?」
「う~ん遊び、なのかな。大人になってこんな事をするなんて思ってもみなかった。これもスローライフの一種になるのかな」
灯りが焚火だけだから、星が結構明るく見える。
きっと満天の星空というのはこういうものを言うのだろうと思った。
そうこうしているうちに、眠気が押し寄せてきた。
異世界初日、俺も『お助け妖精』も頑張ったよな。
「焚火は消さないけれど、少し小さくしますね。アラタ様は寝られて大丈夫ですよ。この辺りは神気が大きくて魔物などは近づけませんから安心して寝てください」
魔物……やっぱりいるんだ。あちらよりもハードなサバイバルになる可能性があるのかもしれないな。でも今日はもうさすがに限界。
「魔物が来ないなら一緒にテントで寝よう。お互いに今日は頑張ったよ。また明日、よろしくね」
「! はい。よろしくお願いします。ではこの焚火とテントに守りの魔法をかけておきます」
「守りの魔法?」
「はい。簡単な防御の結界です。これで朝まで安心です。おやすみなさいませ」
「うん。おやすみ」
俺は「クリーン」という清浄魔法をかけてもらってさっぱりとしてからテントに入り、シュラフに潜った。
さすがにカロリアンバー一本と果物やグミではお腹いっぱいというわけにはいかない。ここはもう、眠気に任せて寝てしまった方がいい。
「ああ。そういえば、母さんの作った料理が冷蔵庫に沢山入っていたんだよな。残念」
「冷蔵庫、ですか?」
「そう。俺が元居た世界の家にある、食べ物とかを冷やしたり凍らせたり出来るもの。その中に妹が沢山入れてくれたんだ。もったいない事をしたな」
「アラタ様の好きなものだったのですか?」
「うん。多分、母さんの事だから俺の好きなものばかり作って持たせてくれたんだと思う」
「そうだったのですね」
「うん……」
結局ポットジャーで持ってきてくれたものしか食べる事が出来なかったなと思いながら、俺の意識はゆっくりと沈んでいった。
その中で小さな声が「お願いしてみますね……」と言ったような気がしたけれど、俺にはそれが何の事だかさっぱり分からなかった。
--------
一日目終了。
それを見ながら俺はハッとして、デイパックをごそごそとし始める。
「あった! バイトに間に合わなくなりそうで慌てて買った『カロリアンバー』! 一本しか食べてなかった!」
「か、かろり?」
「ああ、うん。クッキーみたいなものかな。妖精もお腹はすくよね。これも食べられるかな」
確か、途中で一緒に草の実を食べていたもんな。
俺がそう言うと『お助け妖精』は顔を俯かせて小さな声を出した。
「……食べられるけど、大丈夫です。妖精はあんまりお腹がすきませんから。アラタ様が全部食べてください」
言いながらお腹の辺りを押さえている姿が可愛らしくて、俺は「食べられるなら良かった。一緒に食べよう」と言って、小さなミカンのような果物とグミの実のようなものをおかずに、五本入りのそれを一本ずつ食べた。
両手で抱えるようにして『カロリアンバー』を嬉しそうに食べる『お助け妖精』はとても可愛かった。
◆ ◆ ◆
「それにしてもこんな風に外で火の灯りを見るなんて、小学生以来だな」
ささやかな夕食を終えて、俺はキャンプチェアーに座って空を見上げていた。
本当なら温かいコーヒーでも飲みたいところだけど、コップの中は胃にやさしい白湯だ。
「……小学生、ですか?」
「うん。キャンプファイヤーっていうのがあって、皆で火を囲んで歌ったり踊ったり最後に花火をしたりね」
「…………何かの儀式なのでしょうか?」
「う~ん遊び、なのかな。大人になってこんな事をするなんて思ってもみなかった。これもスローライフの一種になるのかな」
灯りが焚火だけだから、星が結構明るく見える。
きっと満天の星空というのはこういうものを言うのだろうと思った。
そうこうしているうちに、眠気が押し寄せてきた。
異世界初日、俺も『お助け妖精』も頑張ったよな。
「焚火は消さないけれど、少し小さくしますね。アラタ様は寝られて大丈夫ですよ。この辺りは神気が大きくて魔物などは近づけませんから安心して寝てください」
魔物……やっぱりいるんだ。あちらよりもハードなサバイバルになる可能性があるのかもしれないな。でも今日はもうさすがに限界。
「魔物が来ないなら一緒にテントで寝よう。お互いに今日は頑張ったよ。また明日、よろしくね」
「! はい。よろしくお願いします。ではこの焚火とテントに守りの魔法をかけておきます」
「守りの魔法?」
「はい。簡単な防御の結界です。これで朝まで安心です。おやすみなさいませ」
「うん。おやすみ」
俺は「クリーン」という清浄魔法をかけてもらってさっぱりとしてからテントに入り、シュラフに潜った。
さすがにカロリアンバー一本と果物やグミではお腹いっぱいというわけにはいかない。ここはもう、眠気に任せて寝てしまった方がいい。
「ああ。そういえば、母さんの作った料理が冷蔵庫に沢山入っていたんだよな。残念」
「冷蔵庫、ですか?」
「そう。俺が元居た世界の家にある、食べ物とかを冷やしたり凍らせたり出来るもの。その中に妹が沢山入れてくれたんだ。もったいない事をしたな」
「アラタ様の好きなものだったのですか?」
「うん。多分、母さんの事だから俺の好きなものばかり作って持たせてくれたんだと思う」
「そうだったのですね」
「うん……」
結局ポットジャーで持ってきてくれたものしか食べる事が出来なかったなと思いながら、俺の意識はゆっくりと沈んでいった。
その中で小さな声が「お願いしてみますね……」と言ったような気がしたけれど、俺にはそれが何の事だかさっぱり分からなかった。
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一日目終了。
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