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三章 進め進め
91 持ち帰った答え
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「ただいま戻りました!」
コパンが帰ってきたのは、すっかり日が暮れてからだった。
「おかえり、コパン。結構かかったね」
「うーん、そうですねぇ。でも調整して下ろしてもらったので」
うん? もしかして夕食に間に合うように戻してもらったって事? そういえば女神の所は時間の流れがないんだったか?
そう考えるとコパンは「えへへ」と笑った。
「じ、じゃあ、食べながら話す? それとも食べ終わってからにする?」
「食べながらだと落ち着かないので、先に話します。アラタ様はそれでいいですか?」
俺が「いいよ」と答えると、コパンは椅子に座っていた俺の前に立った。
少し距離があるのでトントンと膝を叩くと笑いながら膝の上に乗る。
「分かった事と、分からなかった事があります」
「う、うん」
「まず、分かった事は、神気が低くなってきても、アラタ様の身体には女神様の神気があるので、魔物と戦って死んでしまうような事はありません。森の外の街を見て、この世界の事を知り、どう生きて行くか決めたい。それがアラタ様の希望として女神様は認められました。なので、いずれ外を知る事が出来るでしょう。でも油断大敵です。今まで通り自分を磨いていきなさい、との事でした」
「はぁ……」
なんか胡散臭い占いを聞いているみたいだけど、まぁ、死ぬ事がなくてそれが叶うなら良かったね。うん。
「次に神気の高い場所についてです。私達が拠点とか、セーフティゾーンと呼んでいる場所は今までと変わりなく存在します。道については、神気が低くなってきても、歩いている時に魔物に襲われるような事がないよう配慮した結果、いつの間にかなった力のない小さなものがそのように使うようになったようです。なので、うまくやってほしいと」
なるほど。想定外だけど、とりあえず大きな危険は無いからよろしくってとこか…………
「あと森に入ると、わりと力のある魔物がやってくるというのは、自分のナワバリに高ランクのものが来たと思われているのではないかと。アラタ様の身体にある神気は、女神様がその身体を修復した時に宿ったものなので、神気が高くて苦しくて近寄れないという『神気(高)』ほどの力ではないのです。なので、現状はうてる手がないので、対戦の練習と思ってほしいそうです」
「ち、ちょっと待って。そうしたら森に入ったら俺達が考えていた通り、ほぼ100パーセントの確率で、魔物と戦わなければならないって事?!」
それは、困るというか、面倒くさい。
そんなファイター系の修行みたいなのは嫌だ。職業の冒険者だってもてあましている感じなのに、いくら魔物のとの戦いでは死なないと言われても、戦闘能力だけをガンガン上げていくなんて望んでいない。
どうせなら何かを作り出すような力がいい。
「ここから先、森を出るまでずっとそんな風なら、新しい食材だって探すのは難しくなるし、戦う事が前提なんて嫌だよ。コパン、何とかならない?」
「そ、そうですね」
あ、少しだけコパンの目がグルグルになった。
「一応私も、落ち着いて森を散策することが出来ないと困ると申し上げました。欲しい素材がまだまだあるので!」
「そ……そうだね。素材……食材かな?」
「はい! この前アラタ様も欲しいものを沢山言っていましたよね! ひとつでも多く見つけられるように頑張ります! おまかせあれー!」
力強いおまかせあれに、俺は頑張ろうねと頷づいた。とりあえず、縄張りを主張する魔物以外に、精霊が頼ってきたり、小動物達が飛び出してきて巻き込まれたりというものもあるからさ。毎日バトルなんてことがないようにしたいよね。
「とりあえず、女神様も少し考えてみるそうです。お供えも感謝されていました」
「ああ、無事に届いているなら良かった。色々無理はきいてもらっている自覚はあるんだ。でもこれからもまた無理を言っちゃうかもしれないけど」
俺が「ははは」と笑うとコパンも「ふふふ」と笑った。
「では、次に分からない事です。この前も申し上げましたが、あのオークはあってはならない事だったので、女神様の介入がありました。あのような場所に出てくるような者達ではなかった。それは女神様も何故そんな事が起きたのかを調べていました。そして今回、あのジャイアントワームから出てきたのは呪詛の塊です」
「呪詛の塊?」
「はい。何者かが呪いを使った。その呪いもどんなものかはもっとちゃんと調べてみないと分かりません。そしてそれがどういう風にワームの中に入り込んだのかも分かりません。でも呪詛の塊を飲み込んでいたワームが女神様の森の中にある川を壊した。それは事実です」
「うん……」
「あの中級精霊が言っていたようにこれもあってはならない事の一つです。こちらに関しても女神様がお調べになる事が決まりました。あのワームがあれ以上大きくなって、川のものだけでなく、森の中のものも食い荒らし始めていたらとんでもない事になっていました。こちらに関しても何かお詫びを考えたいと仰っていました」
「そう……。でもどうしてこんなにあってはならない事が起きているのかな。それについては何か言っていた?」
「…………いくつか考えられることはあるけれど、どれもはっきりしないので言えないそうです。ただ、こういった事が続かないように気を付けていくと。その為に神気が低くなっている所とその周辺の国も、眷属を使って調査をしていくと」
何が起きているのか分からないっていうのは嫌だなと思ったけれど、きちんとした調査を女神が行っていくというのであれば、よろしくお願いしますとしかいいようがないよね。穏やかに楽しく暮らしていきたいもの。
「ようするに分からない事はこれから色々調べていくって事だね。俺としては戦いに傾倒する事なく、何かを見つけたり、作ったり、美味しいものを食べたりしながら、森の外を見てこれからの事を考えるっていうのは変わらない。出来れば魔物たちとの遭遇はどうにかしてほしいかな。あとはこの世界の国の情報も少しずつね」
「はい。それはちゃんとお伝えしていきますね」
とりあえず分からない事は多いけれど、それは神様におまかせをして俺たちは前へ進んでいこう。
そう締めくくって、おれは作り置きをしておいた夕食をインベントリから取り出した。
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コパンが帰ってきたのは、すっかり日が暮れてからだった。
「おかえり、コパン。結構かかったね」
「うーん、そうですねぇ。でも調整して下ろしてもらったので」
うん? もしかして夕食に間に合うように戻してもらったって事? そういえば女神の所は時間の流れがないんだったか?
そう考えるとコパンは「えへへ」と笑った。
「じ、じゃあ、食べながら話す? それとも食べ終わってからにする?」
「食べながらだと落ち着かないので、先に話します。アラタ様はそれでいいですか?」
俺が「いいよ」と答えると、コパンは椅子に座っていた俺の前に立った。
少し距離があるのでトントンと膝を叩くと笑いながら膝の上に乗る。
「分かった事と、分からなかった事があります」
「う、うん」
「まず、分かった事は、神気が低くなってきても、アラタ様の身体には女神様の神気があるので、魔物と戦って死んでしまうような事はありません。森の外の街を見て、この世界の事を知り、どう生きて行くか決めたい。それがアラタ様の希望として女神様は認められました。なので、いずれ外を知る事が出来るでしょう。でも油断大敵です。今まで通り自分を磨いていきなさい、との事でした」
「はぁ……」
なんか胡散臭い占いを聞いているみたいだけど、まぁ、死ぬ事がなくてそれが叶うなら良かったね。うん。
「次に神気の高い場所についてです。私達が拠点とか、セーフティゾーンと呼んでいる場所は今までと変わりなく存在します。道については、神気が低くなってきても、歩いている時に魔物に襲われるような事がないよう配慮した結果、いつの間にかなった力のない小さなものがそのように使うようになったようです。なので、うまくやってほしいと」
なるほど。想定外だけど、とりあえず大きな危険は無いからよろしくってとこか…………
「あと森に入ると、わりと力のある魔物がやってくるというのは、自分のナワバリに高ランクのものが来たと思われているのではないかと。アラタ様の身体にある神気は、女神様がその身体を修復した時に宿ったものなので、神気が高くて苦しくて近寄れないという『神気(高)』ほどの力ではないのです。なので、現状はうてる手がないので、対戦の練習と思ってほしいそうです」
「ち、ちょっと待って。そうしたら森に入ったら俺達が考えていた通り、ほぼ100パーセントの確率で、魔物と戦わなければならないって事?!」
それは、困るというか、面倒くさい。
そんなファイター系の修行みたいなのは嫌だ。職業の冒険者だってもてあましている感じなのに、いくら魔物のとの戦いでは死なないと言われても、戦闘能力だけをガンガン上げていくなんて望んでいない。
どうせなら何かを作り出すような力がいい。
「ここから先、森を出るまでずっとそんな風なら、新しい食材だって探すのは難しくなるし、戦う事が前提なんて嫌だよ。コパン、何とかならない?」
「そ、そうですね」
あ、少しだけコパンの目がグルグルになった。
「一応私も、落ち着いて森を散策することが出来ないと困ると申し上げました。欲しい素材がまだまだあるので!」
「そ……そうだね。素材……食材かな?」
「はい! この前アラタ様も欲しいものを沢山言っていましたよね! ひとつでも多く見つけられるように頑張ります! おまかせあれー!」
力強いおまかせあれに、俺は頑張ろうねと頷づいた。とりあえず、縄張りを主張する魔物以外に、精霊が頼ってきたり、小動物達が飛び出してきて巻き込まれたりというものもあるからさ。毎日バトルなんてことがないようにしたいよね。
「とりあえず、女神様も少し考えてみるそうです。お供えも感謝されていました」
「ああ、無事に届いているなら良かった。色々無理はきいてもらっている自覚はあるんだ。でもこれからもまた無理を言っちゃうかもしれないけど」
俺が「ははは」と笑うとコパンも「ふふふ」と笑った。
「では、次に分からない事です。この前も申し上げましたが、あのオークはあってはならない事だったので、女神様の介入がありました。あのような場所に出てくるような者達ではなかった。それは女神様も何故そんな事が起きたのかを調べていました。そして今回、あのジャイアントワームから出てきたのは呪詛の塊です」
「呪詛の塊?」
「はい。何者かが呪いを使った。その呪いもどんなものかはもっとちゃんと調べてみないと分かりません。そしてそれがどういう風にワームの中に入り込んだのかも分かりません。でも呪詛の塊を飲み込んでいたワームが女神様の森の中にある川を壊した。それは事実です」
「うん……」
「あの中級精霊が言っていたようにこれもあってはならない事の一つです。こちらに関しても女神様がお調べになる事が決まりました。あのワームがあれ以上大きくなって、川のものだけでなく、森の中のものも食い荒らし始めていたらとんでもない事になっていました。こちらに関しても何かお詫びを考えたいと仰っていました」
「そう……。でもどうしてこんなにあってはならない事が起きているのかな。それについては何か言っていた?」
「…………いくつか考えられることはあるけれど、どれもはっきりしないので言えないそうです。ただ、こういった事が続かないように気を付けていくと。その為に神気が低くなっている所とその周辺の国も、眷属を使って調査をしていくと」
何が起きているのか分からないっていうのは嫌だなと思ったけれど、きちんとした調査を女神が行っていくというのであれば、よろしくお願いしますとしかいいようがないよね。穏やかに楽しく暮らしていきたいもの。
「ようするに分からない事はこれから色々調べていくって事だね。俺としては戦いに傾倒する事なく、何かを見つけたり、作ったり、美味しいものを食べたりしながら、森の外を見てこれからの事を考えるっていうのは変わらない。出来れば魔物たちとの遭遇はどうにかしてほしいかな。あとはこの世界の国の情報も少しずつね」
「はい。それはちゃんとお伝えしていきますね」
とりあえず分からない事は多いけれど、それは神様におまかせをして俺たちは前へ進んでいこう。
そう締めくくって、おれは作り置きをしておいた夕食をインベントリから取り出した。
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