悪役令息になんかなりません!僕は兄様と幸せになります!

tamura-k

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2巻

2-2

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「さて、では調査は続けていくとして、届けを出した後の国の対応はまた改めて知らせてほしい。私は他でもありえないような場所に魔獣や魔物が現れたという事件が起きていないか調べてみる事にします」
「そうだな。何か今回の事の手掛かりになるかもしれない。私もそちらは注意していこう」
「では今日はここまでにしよう。デイヴ、ひどい顔色だぞ。息子たちも心配だが、お前が倒れたら元も子もないからな。少し休めよ」
「ああ、ありがとう。大丈夫だよ。父が大量の自家製の回復ポーションを送って寄越した。良く効くが相変わらずの味でね。久しぶりに涙目になった」
「ハハハ、カルロス様のポーションか、確かに良く効くんだがな。まぁ、無理をしない事だ」
「ああ。何度も飲むような事にならないように気を付けるよ」

 苦笑いを浮かべながら六人は森を出た。

「よし、この森の結界を戻しておいてもらおう。ブライトン、頼むよ」
「はい」

 ジョシュアは返事をして、東の森全体に結界を施す。
 それを見て大人たちはケネスの魔法で屋敷に転移をした後、それぞれの領へと戻っていった。
 この日の夜、エドワードが意識を取り戻すが、アルフレッドとエドワードが以前のような状態に戻るにはまだ一週間ほど時間がかかる事を、この時のデイヴィットは知らなかった。


   ◇◇◇


「今日からまたよろしくお願いします。ルーカス先生」

 僕がぺこりとお辞儀をすると、ルーカス先生は「よろしくお願いします」と答えてくれた。
 普段は「ルーカス」ってそのまま呼んでいるけれど、お稽古けいこの時は「ルーカス先生」って呼んでいる。だから久しぶりに「ルーカス先生」って呼んだよ。
 東の森での一件からルーカスは少し無口になったんだけど、お稽古けいこは別。体力が落ちちゃったって言うと「また頑張りましょう」と笑ってくれた。
 お休みしていた間、歩かないって大変な事なんだって思ったんだ。事件の前は追いかけっこが結構出来るようになっていたのに、今は階段を上がったり下りたりするだけで疲れるんだもの。
 ベッドから出られるようになったばかりの頃は、夕食のためにダイニングに行くだけで息が上がってしまって、兄様が途中から抱っこで連れていこうとした。でもそれだと歩く練習にならないからって言ったら「息が上がるほど無理をするのは練習じゃないよ。それによろけて落ちてしまったらどうするの?」って返されたんだ。だからダイニングに一人で行けるようになるまでにも時間がかかってしまったんだよね。
 本当に鍛錬たんれんっていうのが積み重ねだっていうのがよく分かったよ。出来るようになるには時間がかかるけど、戻るのはあっという間だ。

「では、エドワード様、久しぶりの稽古けいこなので、まずは散歩からにしましょう」
「え? 追いかけっこじゃないんですか?」

 僕がちょっと驚いてそう尋ねると「歩く事も十分運動なんですよ」とルーカス先生は歩き出した。

「明日から雨が降るかもしれないので、天気がいい今日は散歩がいいです」
「雨が降る事が分かるのですか?」
「ええ、昔の傷が少し痛むんです。きちんと治さずそのままにしていたら、治せる期間が過ぎてしまったんですよ」

 ルーカス先生は歩きながらそう答えた。

「昔の傷は神殿でも治せないのですか?」
「そうですね。あまり昔のものは治せません。もっとも時々少し痛むくらいなので普段はさほど気にならないのです。それに、痛みがあればその時の気持ちを忘れる事もないですしね」
「ええ?」

 僕はルーカス先生が何を言っているのか分からずに変な声を出してしまった。何か忘れたくない事があるのかな? でも痛みはなしで忘れないでいられる方がいいのにな。

「すみません。おかしな事を言いましたね。でもこれがあるおかげで天気の崩れる前兆が分かるから悪い事ではないですよ」
「そうなんですか。それなら、えっと、ルーカス先生が大丈夫なら、いいです」

 なんだかおかしな言葉になってしまったけど、ルーカス先生は「はい」と笑った。

「そうそう、痛みではなくても天気が分かる事がありますよ?」
「え?」

 てくてくとお庭を歩きながら再びルーカス先生が口を開く。普段は僕の護衛であんまりお話ししないから、こんな風にお話しするのは珍しい。

「ほら、あの鳥。あれが低く飛ぶ時は天気が悪くなるんです」

 ルーカス先生が指さした前の方にスーッと鳥が飛んでいくのが見えた。

「ええ! 知らなかったです!」
「それと、あの雲が向こうの山頂付近にかかる時も天気が悪くなります」
「それも知らなかったです! ルーカス先生はハワード先生みたいに色んな事を知っていますね」

 そう言うとルーカス先生は「それは恐れ多いですね」と笑った。
 その後もてくてくと歩いて、屋敷の周りをぐるりと回る頃には僕はちょっと息が上がってきていた。

「少し休みましょう」
「え、でもそれだと鍛錬たんれんになりません」
「無理をしても鍛錬たんれんにはならないんですよ。少しずつ元に戻していくつもりでいれば、元に戻る頃にはちゃんと進歩していますから」

 兄様と同じような事を言われて、僕は日の当たる芝生の上に腰を下ろした。マリーがすぐにお水を持ってきてくれる。

「自分が思っていたよりも喉が渇いていたみたいです」
「はい。きちんと水分を取って、休憩をして身体を慣らしていきましょう。もう少し休んだら今度は小サロンの方まで行ってみますよ」
「はい!」

 僕たちはまたゆっくりと歩き出した。

「あ、さっきの鳥がいる!」

 本当に、あまり高くないところを飛んでいた。

「あ! あんなところに巣があります! ほら! なんていう鳥なのかな。ん? あ! ひなだ」

 少しだけ駆け出して、僕は屋敷の張り出したところに巣を作っている鳥を見に行った。

「わぁ! 初めて見た! 可愛い! ねぇ、マリー! ルーカス先生! 見て見て、ほら、口をあんなに開けている!」
「ツバメっていうんですよ。ヘビや他の大きな鳥からひなを守るために、人がいるところに巣を作るんです」
「そうなんだ。人を信用している鳥なんだね。大丈夫、見ているだけで悪い事をしないよ」

 僕がそう言うとルーカスは小さく笑った。

「あ、ごめんなさい。お散歩の途中だったのに」
「こうして色々なものを見つけながら歩くのが正しいお散歩ですよ」
「ふふふ、正しいお散歩ですか? 面白い。じゃあ、次は何が見つかるかな」

 僕は笑ってまた歩き出す。

「疲れませんか?」
「大丈夫です」
「じゃあ、少しだけ走ってみますか?」
「! はい!」

 僕が走り出すとルーカス先生もマリーも走り出した。いつの間にか追いかけっこになった。でもすぐに捕まった。

「たの、し、かった」

 息を切らしながらそう口にすると、ルーカスは「良かったです」と言う。
 本当にちょっとしか走っていないのに息が切れる。それが悔しいなって思った。そんな僕の心の声が聞こえたかのようにルーカス先生は「少しずつです。積み重ねです」って言った。

「はい。分かりました。頑張ります」
「体幹の運動はこれから毎日続けましょうね」
「はい!」

 そうだ、体幹だ。体幹を鍛えればきっと、もっと動けるようになる。

「ルーカス先生」

 僕は真っ直ぐにルーカス先生を見た。

「なんですか?」
「強くなりたいです」
「え?」
「守られるだけじゃなくて、強くなりたいです。だから、体幹を鍛えるのも、追いかけっこも、色々な運動も、剣も、頑張ります」

 ルーカス先生は少しの間、黙って僕を見ていた。

「私が思っている以上に、エドワード様はお強いです」
「え?」

 どういう事だろう? そう思っているとルーカス先生はにっこり笑った。そして。

「一緒に頑張りましょう」

 差し出された右手。

「はい! よろしくお願いします!」

 ぎゅっと握手をして、なんだかものすごく嬉しくなって僕が笑ったら、後ろの方でマリーが泣き笑いみたいな顔をしていた。

「マリー?」
「はい。私ももっと頑張ります」
「うん。よろしくね」

 再開後のお稽古けいこは、結局お散歩と少しだけの追いかけっこで終わったけれど、明日からまた頑張ろうと思った。強くなるために頑張ろう。
 翌日は、本当に雨が降った。


   ◇◇◇


 魔法のお勉強も再開した。
「無理をしないように頑張りましょう」と声をかけてくれたブライトン先生に僕は「やりたい事があります」と言った。

「どんな事ですか?」
「もっと強くなりたいです」
「強く、ですか?」

 ブライトン先生がちょっと不思議そうな顔をした。

「はい。僕は魔物が出ても、うまく皆を守る事が出来ませんでした。そして守る事だけを考えていたら駄目だと思いました。怖くても、攻撃をする事も出来なければいけないとも思いました。僕は、誰かを傷つけたりする事が嫌いです。でも守るためには、きっと攻撃の魔法も必要です。魔力暴走を起こして誰かを傷つけないように、しっかりと魔力を制御して、本当に守る事が出来る魔法が使えるようになりたいです」
「……分かりました」

 ブライトン先生は静かにそう言った。そして。

「魔力暴走の時の事は覚えていますか?」
「よく分かりません。僕をかばおうとしているアル兄様に炎の矢が当たったら嫌だと思って、気付いたら魔物は死んでいました」

 そう。気付いたら魔物は緑のかたまりみたいになっていたんだ。僕が覚えているのはそれだけだ。

「そうですか。魔力暴走は魔力量の多い子供が起こす事があります。お兄様を守りたいと思うエドワード様のお気持ちがそうさせてしまったのでしょう」
「でも! それでアル兄様を沢山傷つけてしまいました。僕がもっとちゃんとした制御が出来ていれば……もっともっとちゃんとした攻撃が出来ていれば」

 あんな事は起きなかったんだ。

「エドワード様、落ち着きましょう。そうですね。ちょっと座りましょうか」

 ブライトン先生はそう言って魔法の練習場の端っこにある椅子に腰を下ろした。

「ええとですね。強くなりたいと思う事は悪い事ではありません。現状で満足するのではなく、さらにその上を目指して頑張ろうという気持ちはとても大切です」
「はい」
「でも、もっと強かったらとか、もっと攻撃の魔法が使えていたらとか、そういうもしも、という話はあまり意味がないんですよ」
「え?」

 ブライトン先生の言葉に、僕はびっくりして声を上げてしまった。

「例えばあの魔物。ああ、思い出して気持ち悪くなったり、怖くなったりはしていませんか? 大丈夫ですか?」
「はい。大丈夫です」

 僕の返事を聞いてブライトン先生は「では続けます」と話し始めた。

「フレイム・グレート・グリズリーはA級からS級と言われる上位の魔物で、強い魔法を使える者が一人二人いたとしても、どうにもならないようなランクの魔物です。つまりエドワード様がものすごく攻撃魔法が強かったとしても普通であれば太刀打ち出来ない魔物なんです」 
「…………はい」
「なので、あれに関して、もっとこうだったらとか、ああだったらとか考えても意味がありません。生きていた事に感謝をするレベルのものです。私がこんな事を言うのは、本当はいけないのですが、魔力暴走を起こして倒してしまえて本当に幸運だったと思った方がいい」
「…………」
「ですから、あれに対して出来なかったとか、もっと出来たらと考える事はやめてください」
「わ、分かりました」

 そうなんだ。あの魔物は倒せたのが信じられないようなものなんだね。

「はい。それで、改めてですが。私はずっと不思議だったんですよ」
「え?」
「エドワード様はどうして誰かを傷つける事をあんなに怖がるのか。もちろん誰かを傷つけたいと思う人は、普通はいないと思います。でも傷つけるかもしれないというだけで攻撃魔法も嫌だと思われていたでしょう?」
「…………はい」

 ブライトン先生の質問に、僕はうつむきながら小さく返事をした。だって、『悪役令息』になりたくなかったんだもの。だから誰かを傷つけるような魔法なんていらないと思っていたんだ。
 剣もそう。守るためって言われて、そうだなって思ったけれど、あんな事があって、守るために頑張って練習をするっていうのは全然足りてなかったと思ったんだ。大切な者を守るためには守るだけでなく戦う事も必要なんだって。
 だからもっともっと自分を制御するっていうか、自分の力の事を分かって、それを最大限に使えるように、戦うための力っていうのかな、そういうものを持っていなきゃ駄目だって。うまく言えないけど、そんな気持ちになったんだ。

「そう、でした。でも、今は違います。守られているだけじゃ嫌なんです。一緒に戦える強さも欲しいんです。傷つける事を恐れて、傷つけてしまうなんてもう二度と嫌なんです。守る事と、戦う事がちゃんと分かる自分になりたいんです。ブライトン先生がおっしゃったみたいに、あの時出来たらとか、出来なかったからっていうのは考えない事にします。でも、ちゃんと強くなれるように頑張りたいです」

 全部じゃないけど、それでも僕の中にあった思いを言葉にする事が出来て、ちょっとホッとした。

「分かりました。うん。強くなったね」
「え?」

 僕は笑いながらそう言うブライトン先生を思わず見つめてしまった。

「えっと、えっと、あの、強く、なりたいんです、けど……」

 そう。これから、ちゃんと、もっと強くなりたいんだよ? 伝わらなかったのかなって思っていたらブライトン先生はゆっくりと口を開いた。

「魔物が出たり、魔力暴走を起こしたり、色んな事がありましたね。でもそれはエドワード様の中でものすごく大きな強さに変わったんですよ。とても良い事だと思います。強くなるというのはただ魔法や剣の技術を磨く事だけじゃないんです。こうしたい、こうなりたいっていう心が育っていかなければ、本当に強くはなれないのだと私は思っています。だから私もこれからも強くなりたいと願って練習をしています。エドワード様も一緒に頑張りましょう」
「はい!」

 一緒に、と言われた事がすごく嬉しかった。ルーカス先生と同じだ。ブライトン先生も強くなりたいって願っているんだ。
 きっと、僕にはまだ強さというのが本当は分かっていないと思うけれど、それでも僕は……

「あ、そうだ! 空間魔法のスキルがあるから保存魔法が出来るんじゃないかって言われました。保存魔法も教えてください。押し花のしおりとか色々作りたいんです」

 そう言った僕にブライトン先生は「うん、エドワード様だね!」と笑い出した。


   ◇◇◇


「色々考えたけど、せっかくだから夏は夏らしいお花を植えようかと思います!」
かしこまりました」

 庭師のマークに元気よくそう言って、僕は持ってきた図鑑を開いた。

「これです。ピンク色のこれがいいかと思うんです」
「どれどれ、ああ、バーベナですね。うん。夏の暑さにも強い花ですからいいと思います。種からでも簡単に育てられますよ」
「わぁ! 良かったです。これは『家族仲良し』っていう意味の花言葉があるんですよ。七の月はウィルとハリーのお誕生日だから、これを押し花にしてプレゼントしたいんです」
「それは素敵ですね! では種を手配します。届いたらすぐにお声掛けしますね」
「はい! それまでに僕はあの花壇の土を起こしておきます」
「よろしくお願いします」

 マークと約束をして、僕はそのまま花壇に向かった。後ろをマリーとルーカスがついてくる。
 ふふふ楽しみだなぁ。今度こそ皆から畑って言われないように、綺麗なお花を沢山咲かせるんだ。
 あ、そうだ。前に兄様にプレゼントしたブルースターも少し植えてみようかな。そうして僕の分のしおりを作ろう。でも夏は難しいかな。

「後でまたマークに聞いてみようっと」

 植えられていたイチゴもネモフィラもすでにマークが鉢に移し替えて綺麗にしてくれたから、土をふわふわになるように起こして、えっと肥料? を入れておけばいいんだよね。なんの肥料を入れるのか、それも聞かなきゃいけなかった。

「庭師のお仕事って大変だな」

 あんなに小さな花壇でも、やらなきゃいけない事が色々あるんだもの。やっぱり水まきは任せてもらうようにお話ししようかな。
 そんな事を考えて歩いていると「エディ!」という兄様の声が聞こえた。

「え? アル兄様?」

 キョロキョロとしていると向こうの方から兄様が近づいてくるのが見えた。

「部屋にいなかったから、どこかなと思って捜していたら見えたから」
「わわわ、すみません」
「いや、何も約束してなかったしね。ああ、花壇の手入れをしていたんだね」
「はい。そろそろ夏のお花を考えようかなって」
「そう。ちょうど良かった。実は今日、東の森の方まで馬を走らせていたんだけど」
「東の森!」

 ニッコリ笑った兄様から出てきた言葉に、僕は思わず声を上げてしまった。

「うん。まだ調査中だから沢山の騎士たちがいるんだよ。もちろんもう魔物はいないから安心して?」
「ああ、そうなんですね」

 良かったとホッと息をつくと、兄様はそのまま言葉を続けた。

「そう、それでね。あの魔物のせいで森も結構荒れちゃったから、少し整備をするみたいで」
「そうですか……」

 あんなに沢山色々なお花が咲いたり、実がったりしていた森だったのにって残念に思っていたら、兄様はどこからか小さな袋を取り出した。

「エディが魔物の事を思い出して怖いなら嫌だなと思ったんだけど、せっかくだからこれ」

 そうしてその小さな袋から土の付いた草を取り出す。

「え⁉ ワ、ワイルドストロベリーだ!」

 それはあの日、沢山見つけて、沢山の実を集めたワイルドストロベリーだった。

「アル兄様? え? なんで? え?」

 だって、その袋よりもワイルドストロベリーの方が大きいよ? どうやって入れていたの? なんで、どうして、そこからこれが出てきたの?

「エディ、落ち着いて。それよりもこれを見て気持ち悪くなったりしていない?」
「だ、大丈夫です!」
「それならいいんだけど。ほら、あの時ワイルドストロベリーは強いから、土ごと持って帰ろうかなって言っていたでしょう? 整備して刈り取られちゃうなら、せっかくだから少し持って帰ってみようかと思ったんだ」

 そう説明しながら、兄様は持っている袋から次々にワイルドストロベリーの株を取り出した。

「…………アル兄様、これはどんな魔法ですか? 小さくして持って帰ってくるのですか?」

 次から次へと出てくるワイルドストロベリーの株に僕は呆然としてしまった。

「ああ、この袋はね、マジックバッグと言って、お祖父様が昔くださったんだよ。空間魔法で中は時間の経過がなくて、沢山のものが入るんだ。このバッグは多分本が百冊以上入るんじゃないかな」
「百冊‼」
「そこにいた騎士たちも手伝ってくれてね。二十株くらいあるかなぁ。エディどう? ここで育ててみる? それともマークに――」
「大丈夫です! 僕が育てます! アル兄様がせっかく持ってきてくださったワイルドストロベリーだもの。立派なジャムにしてみせます!」

 張り切ってそう言った僕に、兄様は一瞬驚いたような顔をして、次にすごく嬉しそうに笑った。

「それなら良かった。魔物の事を思い出して辛くなるようだったらどうしようと思っていたから。バサバサと出してしまったけど、すぐに植えるわけにもいかないから、この中に入れておくね?」

 そう言って兄様はさっさとワイルドストロベリーの株をマジックバッグに戻した。うん。何度見ても不思議。

「はい。じゃあこれはエディに預けておくね。取り出す時は中に手を入れてワイルドストロベリーの事を考えるだけでいいよ。やってみて?」

 渡されたバッグを受け取って、僕はそっと中に手を入れてワイルドストロベリーの事を思った。

「……っ! で、出てきました!」
「ふふふ。上手に出来ました。植えるのが大変だったら手伝うから言ってね」
「大丈夫です! 頑張ります!!」


 結局、ワイルドストロベリーの株を二十も植えると、お花を植えるところがなくなってしまうので、僕はもう一つ同じ花壇を作った。そして右の花壇にピンクのバーベナとブルースターを、左の花壇にワイルドストロベリーを植えた。
 うん。完璧! どれもうまく育ちますように!

「夏の花壇の完成です!」

 後ろでマリーとルーカスがちょっと微妙な顔をしていたけど、気にしないよ。
 それから少し経ったある日、魔法のお勉強にいらしたブライトン先生が、僕の花壇を見てにっこり笑った。

「エドワード様、今回は花壇と畑を分けたんですね?」
「……両方とも、花壇です」
「え? だって」
「花壇を作ったんです。なのでブライトン先生、保存魔法を教えてください。お花が咲いたら押し花を作りますから」

 僕はそう言って、芽が出てきたバーベナとブルースターの花壇と、可愛い赤い実をいくつもつけているワイルドストロベリーの花壇を見た。

「だってアル兄様が持ってきてくださったんだもの」

 怖くなんかないし、畑でもないの。

「花壇だもん」

 僕はそう言ってふふふと笑った。


   ◇◇◇


 剣と魔法のお稽古けいこが始まり、花壇に新しいお花も植えて、僕の生活が以前と同じようになってきた六の月の終わり頃、僕と兄様は初めての『作戦会議』を開いていた。
 いきなり現れた(元からいたかもしれない?)『転生者』を、力技でじ伏せたらしい兄様には、僕の中の『記憶』と同じ小説の『記憶』がある。
 僕たちのいる世界と似た、でも違うところも沢山ある世界の事が書かれている小説『愛し子の落ちた銀の世界』は、『転生者』と呼ばれる異世界の記憶を持つ主人公である【愛し子】が魔物に襲われた事をきっかけにその記憶を思い出して、同時に現れた能力(聖魔法)を使ってバランスの崩れた世界を救うという話なんだ。
 そしてその敵役みたいな者として僕、エドワード・フィンレーがいる。だけど『悪役令息』のエドワード自身の話は、実は小説の中ではそれほど多くはないんだよ

「初めての『作戦会議』だからね、まずはお互いの『記憶』の中にある事を話してみようかと思うんだ」
「はい、よろしくお願いします」

 まさか兄様とこんな話が出来る日が来るなんて思ってもみなかった。
 僕たちはそれぞれの『記憶』の中にある小説の話をした。そして主にエドワードに関する事を挙げていった。
 エドワードが幼少期に虐待を受けていて孤独だった事。フィンレーに来てからも周囲に馴染なじめずにいた事。小動物や虫などを殺したりして暗い孤独感を抱えている中、魔力量が多かったエドワードはそれに頼るようになり、やがて魔力暴走を起こして義兄を傷つけてしまう事。エドワード自身が学園に入る前に義兄を殺してしまい、やがてエドワード自身も断罪されて殺されてしまう事を確認してふぅと息をついた。どうしてここまでなのかというと、この後は僕の『記憶』がかなり曖昧あいまいになるからだ。

「うん。やっぱりエディの『記憶』の中にある小説と、私の『記憶』の中にある小説は同じものだ。でもこの小説と現実のエディの違いは大きいね。まずは小説にはマリーというメイドがいたという記述はない。それにエディは来た時にはきちんと挨拶が出来たし、家族だけでなく使用人たちからも皆に愛されている。小説には双子の弟たちもいないしね」

 ニッコリと笑ってそう言う兄様に、僕はちょっと恥ずかしくなりながらも「はい」って返事をした。愛されている。ふふふ、『作戦会議』の最中だけどやっぱり嬉しいな。

「小説はエドワードが主役ではないから細かい事が書かれていないだけかもしれないけれど、それでも小説のエドワードと今のエディはきっと誰が聞いても別人だって思うよ」

 兄様の言葉に「はい」って返事をしながら、自分の行ってきた事が認められていると思えて、僕の胸の中に嬉しい気持ちが込み上げる。
 その後も僕たちはさらにり合わせの作業を続けた。

「どうして敷地内に魔物が出たのかっていう話は書かれていなかったように思います」
「ああ、そうだね。コミックスやアニメでも特には説明されなかった気がするな。ねぇ、エディ。この小説がどんなところで書かれていたのか思い出せる事はあるかな? つまりエディの中にある『記憶』の持ち主がいた世界っていうのかな」

 兄様にそう言われて、僕は自分の中にある『記憶』を改めて探った。

「…………僕の『記憶』は二十一歳の男の人で、沢山勉強をしていました。それで計算が得意でした。あとは……この世界とは違うのは分かるんですけど、どんな風に違うのかはよく分かりません」

 僕がそう答えると兄様は少しだけ目を細めてからゆっくりと口を開く。

「私の『記憶』の中にあるのは不思議な世界だ。大人たちは色々な仕事をし、高度な文化を持っているように思えた。ただ魔法はなく、生活に役立つものも色々あるが、魔道具ではないみたいだ。そして多分、魔物もいないように思う。あの小説はその世界の人間の娯楽のようなもので、前にも言ったけれど小説だけでなく、コミックスやアニメといったものにもなっている。今確認したように私たちの『記憶』の中の小説が同じ小説だとすると、エディの『記憶』の持ち主と私の中に現れたあの者は同じ世界にいたのかもしれないね」
「そうですね……」

 僕がうなずくと兄様は困ったような笑みを浮かべて言葉を繋げた。

「エディ。大丈夫だよ。もう彼が出てくる事はないと思うし、多分エディの中にある『記憶』の持ち主が現れる事はないと思うよ」
「はい……」
「それにね、エディ。こうして話をしてみると、私はやっぱり小説は小説でしかないって思うんだ。あの小説の世界とこの世界が同じであるという確証はないし、少し話をしただけでも違っている事が沢山ある。私はこんな風にエディと話が出来て嬉しいよ?」
「アル兄様?」

 僕が不思議そうな顔を向けると、兄様はコクリと頷いて言葉を続けた。

「エディが『悪役令息』になりたくないって思っているのと同じように、私もエディの事を『悪役令息』になんてしたくないし、ありえないって思っている。だから私も殺されない。エディも死なない。そのためにこの『記憶』はある。私はそう信じている。だから大丈夫。二人で考えていけば必ずそれは叶うよ」
「はい、アル兄様」
「うん。最初はこれくらいにして、次は小説と現実がどれくらい違っているのかを検証してみよう。違いが多くて安心出来るかもしれないよ?」

 兄様の言葉に僕は思わず笑ってしまった。そうであればいい。そうなればいい。ううん。絶対にそうしなければいけないんだ。だって、僕は『悪役令息』になんてなりたくないんだから。


   ◇◇◇


 あと少しで七の月になる。そうしたらすぐにウィルとハリーのお誕生日がやってくる。
 一歳だよ。もう歩けるんだよ。よちよちだけど。それでもってこの前は「えーにー」って言ったんだよ! すごいでしょ? 可愛いすぎだよ!
 瞳の色はすっかり落ち着いて、ウィルは綺麗なパステルブルーになった。髪は金髪。
 そしてハリーは綺麗なミントグリーン。髪は明るい栗色。
 二人とも髪の毛がちょっとクルクルでふわっとしていて、天使みたいなんだ!

「可愛すぎです! 二人とも!」
「えぃーにー」
「はわわわわ! 母様、ウィルがえぃーにーって! もう少しでエディですよ。お利口さんですね!」
「えーにーに」
「ああああ! ハリー、えーにーにって! 可愛いです!」
「……エディが来ると、三人をずっと見ていられる気がするわ。しかもアルよりも筋金入りの兄バカになっている気がするの」
「引き合いに出すのはやめてください、母上。いいじゃないですか、天使が三人いると思えば」
「そうね。それでエディは何をしたかったのかしら?」

 母様の言葉に僕はハッとして双子から視線を外した。

「そうでした! 一歳になる記念に、手形を取ってみたいと思っていたのでした」
「手形?」

 母様は不思議そうな顔をした。

「えっと、アル兄様に何か記念になるものがないかとご相談したら、手の形を残すのはどうかと。ちょっと手は汚れるけど、クリーンの魔法をすれば大丈夫だし」

 僕がそう言うと兄様が付け足すように説明をしてくれた。

「この前ふと思いついたんです。それをエディに言ってみたらやりたいって。手に絵の具を塗って紙に押すのです。そうすると手の形がついて、後々記念になるなと」
「へぇ、面白いわ。よく考えついたわね」
「ええ、この前、手にインクがついていたのに気付かずノートを触ってしまって思いつきました」
「あら、アルでもそんな失敗をするのね、ふふ」

 母様が楽しそうに笑う。

「でもそれで、そんな事を思いつくなんてさすがね」
「はい! さすがアル兄様です! 手形は二人の瞳の色にしようと思って、水色の絵の具と緑の絵の具を持ってきました」

 僕は急いで絵の具を用意した。すると興味を持ったのかウィルが近づいてきた。

「わわわ、ウィル、ちょっと待って。今出来るから待って!」

 するとそれを見てハリーもよちよちとやってくる。

「待って! ハリー、順番だよ! 待って、待って」
「…………これはこれで可愛いけれど、大惨事になりそうだわ、アル」
「そうですね」

 母様と兄様が素早く二人を抱き上げてくれた。そして、片手ずつだったけど、二人の可愛い手形がとれた。絵の具のついた手は兄様がすぐにクリーンをかけてくれた。さすがです!


 そうしてやってきた二人のお誕生日。

「お誕生日おめでとう、ウィリアム! お誕生日おめでとう、ハロルド!」
「あ~い!」
「えーにーに、とー」
「わぁぁぁ! ウィルってばお返事しましたね! ハリー、おめでとうは、えーにーにじゃなくてハリーたちがおめでとうなんだよ~」
「……すごいな。通じている」

 僕の言葉を聞きながら父様が呆然と口を開いた。それを聞いた母様が楽しそうに笑う。

「ふふふ、お仕事ばかりだと二人に忘れられてしまいますよ?」
「パティ⁉」

 父様たちが何か話していた中、僕は二人に一歳でも食べられる小さな二段重ねのふわふわパンケーキを出してもらった。

「ケーキだよ。ふふふ、美味しいかな」
「ぇーき!」
「そう! そうだよ」
「んまー」
「美味しいの? 良かったね」
「………天使が三人いるね」
「そうなのよ、いつまでも見ていられるの」

 父様と母様がにこにこしている。兄様は「エディもお世話ばかりしていないで食べなさい」と、双子たちのケーキよりももう少ししっかりしたケーキを勧めてくれた。

「はい! でもアル兄様も召し上がってください。大きなモモを仕入れたってシェフが言って、マークが追熟した方がいいって教えてくれたので僕もお手伝いを頑張りました!」

 ほど良い気温で直射日光が当たらない、風通しの良い場所に置くんだ。押されたりすると茶色くなるから、簡単そうなのになかなか難しい。

「そうなの? じゃあ、いただこうかな。ウィリアム、ハロルド、一歳のお誕生日おめでとう。これからもエディをよろしくね」

 え? 兄様、僕がよろしくされるのですか? あれ?


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攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。 BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑) 本編完結しました! おまけのお話を時々更新しています。 きーちゃんと皆の動画をつくりました! もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。 インスタ @yuruyu0 絵もあがります Youtube @BL小説動画 プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら! 本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第1巻 - 婚約破棄と一族追放

大の字だい
BL
王国にその名を轟かせる名門・ブラックウッド公爵家。 嫡男レイモンドは比類なき才知と冷徹な眼差しを持つ若き天才であった。 だが妹リディアナが王太子の許嫁でありながら、王太子が心奪われたのは庶民の少女リーシャ・グレイヴェル。 嫉妬と憎悪が社交界を揺るがす愚行へと繋がり、王宮での婚約破棄、王の御前での一族追放へと至る。 混乱の只中、妹を庇おうとするレイモンドの前に立ちはだかったのは、王国騎士団副団長にしてリーシャの異母兄、ヴィンセント・グレイヴェル。 琥珀の瞳に嗜虐を宿した彼は言う―― 「この才を捨てるは惜しい。ゆえに、我が手で飼い馴らそう」 知略と支配欲を秘めた騎士と、没落した宰相家の天才青年。 耽美と背徳の物語が、冷たい鎖と熱い口づけの中で幕を開ける。

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  ゆるゆ
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 透夜×ロロァのお話です。 本編完結、『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけを更新するかもです。 『悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?』のカイの師匠も 『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のトマの師匠も、このお話の主人公、透夜です!(笑) 大陸中に、かっこいー激つよ従僕たちを輸出して、悪役令息たちをたすける透夜(笑) 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

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