悪役令息にならなかったので、僕は兄様と幸せになりました!

tamura-k

文字の大きさ
49 / 109

46 仕事納めとその後と

しおりを挟む
 お仕事が最後の日に行った慰労会は昨年同様、とても好評だった。
 パイ包みは王都では最近流行っているようだけど、定番のお料理になっている領もあるんだって。
 だけど今回メインの一つとして作った香草とシカのお肉のパイ包みは臭みも全くなく、肉も柔らかくてとても美味しかった。公爵領の森で狩ったそうだけどお祖父様には本当に感謝だ。勿論お祖父様にもお届けしたよ。

 そしてもう一つのメインである、フィンレーの精霊の森ではない東の国側の森に流れている川で獲れるサーモンも本当に美味しくて、チーズクリームともとても良く合っていた。どちらもフィンレー産だものね。ダンジョン産のブラウンのマッシュルームの事を教えてくれたのはスティーブ君。さすが色々なものを取り扱っているオックス領。スティーブ君のお陰で良いものを手に入れられた。

 その他にも沢山の定番のお料理や新しいお料理が並んで、勿論ミッチェル君の大好きなデザートの新作も沢山並んだよ。
 領都の役所に勤めている人たちは皆参加。そして主要な街の知事や役職の人は招待をしている。使ったのはお披露目会をしたホールのある建物だ。
 去年から作り始めたワインも好評だった。良かった。
 そうして皆はそれぞれに「お疲れさまでした」と「ありがとうございました」、そして「来年もよろしくお願いします」と口にして帰って行った。


 ◇ ◇ ◇


「皆が喜んでくれて良かった。シェフにも沢山お礼を言わなきゃ。ああ、準備をしてくれた皆にですね」
「そうだね。お疲れ様、エディ」

 廊下を歩きながら僕と兄様は何だかウキウキとした気持ちのまま話をしていた。

「ありがとうございます。でもアルのお陰です。パイ包み本当に美味しかった」
「うん。色々と応用がききそうだから、きっとシェフがその内変わったパイ包みを出してくると思うよ。この前フィンレーでも試食をしただろう? きっとあちらのシェフも何か考えそうだよね」
「確かに! ふふふ、楽しみです!」

 何だろう。どんなパイ包みが出てくるかな。でも毎日パイ包みが出てきたらそれはちょっと困っちゃうかもしれないな。

「アップルパイのようなデザートのようなものも母上や双子たちが喜びそうだ」
「! 確かに! 年明けにご挨拶に行く時に何か持っていきましょう」

 そうだよね。今回はお食事のパイ包みだったけど、デザートのパイ包みがあってもいいよね。何にしようか、白いイチゴとか、ああ、ベリー系を色々入れてもいいかもしれないな。そんな事を考えていたら兄様がふわりと僕を抱き上げた。

「わぁぁ!」
「今日はもう考えるのはおしまい。今年の仕事は終わりだよ、エディ」
「はい……でも、母様へのお土産は仕事じゃないですよ?」

 お姫様みたいに横抱きをされたままそう言うと兄様はニッコリと笑ってほっぺたにチュッて口づけてきた。

「そうだね。でもそれは明日考えよう。休みの日にゆっくりと、温室を回りながら一緒に考えよう?」
 
 覗き込んでくる大好きな空色のブルーの瞳。兄様ってやっぱりすごい。僕が考えるよりももっと素敵な事をパッと考えられちゃうんだもの。

「はい。そうします。そうですね。温室を見ながら考えた方がいいですよね。よろしくお願いします」
「うん。じゃあ、明日ね。だから今からの時間は私にくれるかな?」
「…………はい」

 何を言われたのか、勿論分かった。だって僕は兄様の奥さんだから。

「でも、お風呂、入りますから……」
「一緒に?」
「のぼせるのはダメです!」
「了解」
「あと、重いから下ろしてください、アル」
「軽いから大丈夫」

 そうして抱きかかえられたまま口づけられて、そのままお風呂につれていかれて、後はただ、甘い時間になったんだ。


------------

やだ、なんか甘いのが楽しくなってきたwww
しおりを挟む
感想 137

あなたにおすすめの小説

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました

kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」 王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。

【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました

山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。 王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。 レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。 3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。 将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ! 「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」 ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている? 婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

処理中です...