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〜幼少期編〜
第11話 変わられたお嬢様
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クロウリー家でのお仕事は主にダリアお嬢様のお世話だった。
お嬢様は奥様に性格が似ていらっしゃって、奥様の教えもあってかとてもワガママで優しさを知らない令嬢へと育っていってしまわれた。
だけど、ずっとお傍で見ていて気付いたことがあった。
怒鳴ったあとや、ものを投げつけたあと必ず悲しそうな表情に一瞬だけなるのだ。
原因は両親だろう。
旦那様は家族には無関心で一度もお嬢様を抱かれたことは無かった。
お嬢様からのプレゼントも受け取ろうとしない。
何時からかお嬢様は贈り物をしなくなった。
奥様は旦那様を心底愛していらっしゃって、お嬢様への愛情表現は子供への優しさを旦那様に見せつけているだけのものだと誰もが察していた。
旦那様に良く見られようとする奥様はお嬢様を見せかけの愛情で甘やかし、お育てになられた。
娘であるお嬢様が気付かないわけがない。
子供は大人以上に鋭敏に感情を感じ取ってしまうものだ。
だが、それを否定するかのように振る舞われるお嬢様は痛々しく。
何もしてあげられない自分にもヤキモキした。
そして追い打ちをかけるかのように婚約者で在られるアルベルト王子。
王子に5歳の頃初めてお会いになられて心より喜んでおられましたのに、王子の素っ気ない態度にもめげずにお会いになられていた、、、
しかし7歳の誕生日パーティ10日前にお嬢様は突然 変わられた。
先日も奥様とお嬢様の期限を損ねてしまいカップを投げつけられたばかりだ。
恐る恐るお声をかけると、聞いた事のない話し方のお声が聞こえたような気がした。
「あ~いいよ、入って。」
ドアをそっと開けると上体を起こして伏せ目がちに開けられた瞳はどこか憂いを帯びていて思わず見とれてしまった。
お嬢様の外見が整っていることくらい分かっているが、つり目なため少しキツく見えてしまうのだが今朝のお嬢様はどこか落ち着いていた。
「お、お嬢様?」
殿が具合が悪いのだろうか、、、
「何してるの?早く入りなさい。」
お嬢様の凛としたお声に背筋が伸びる。
昨日までのお嬢様の話し方と言いますか、声の張り方に違いを感じる。
その後のお嬢様は珍しいほど大人しく、更にはわたくしの名前を初めてお呼びになった。
覚えていたなんて夢にも思わなかったのに。
奥様がメイドのマーサに酷くお怒りになられていたとき、お嬢様が「お仕置」をなさると聞いていつものお嬢様に戻られたと思ったらわたくしにマーサの手当をするように申し付けられて1人で自室に戻られていった。
あの奥様からマーサを引き離すためにわざとあのようなことを言ったのだと気付き、その判断力にわたくしは脱帽した。
やはり、、、昨日のことが原因だろうか。
奥様は旦那様を好きすぎるあまり女性に対して異常な程警戒をしていた。
そのためメイドいびりなど日常茶飯事であった。
お嬢様は本当にまだ小さかった頃一度だけ乳母にいつものお礼だと言って花を贈った。
しかし、奥様がそれをご覧になって酷くお怒りになられたのだ。
お嬢様は怯えていた。してはいけないことをしてしまったのだと。
何故そこで誰かが奥様をお止めになら無かったのだろう。
何故わたくしはお嬢様に声をかけなかったのだろう。
前日もわたくしにカップを投げつけるお嬢様を見て満足気に微笑む奥様を見て不快感を感じた。
こうすれば母親に褒められるのだと信じて疑わないお嬢様は期待の瞳で奥様を見上げていた。
しかし、奥様が見つめていたのは旦那様だった。
あの時も、あの時も、あの時も、、、
お嬢様は部屋でひとりで泣いていらっしゃった。
なぜ声をかけなかったのだろう。
わたくしに、、、怯える資格など無いはずなのに。
投げつけられる度に感じる悲しみをわたくしは見て見ぬふりをした。
だから、この手の傷の痛みはわたくしの罰。
この手の傷はわたくしの罪。
そして、お嬢様はご自分で気付かれた。
誕生日パーティが終わるとお嬢様は以前より始めていた剣の修練に励んでいた。
最初は遊びの程度だと思ったのだが剣を振り下ろす様はとても綺麗だった。
食事も好き嫌いなく召し上がるので半年で随分と背が伸びられた。
服を新調してもすぐに合わなくなってしまう。
服の趣味も大きく変られた。
リボンやリース、フリルがふんだんに使われたドレスを好んでいたのに今では殿方のようにズボンを好んでお召になる。
一度なぜドレスを着ないのか伺うと
「動きづらいからね、剣を振るうのにドレスは流石に、、、ね?」
と苦笑いを浮かべて仰ったのだ。
そして、お嬢様はアルベルト王子に会いに行かなくなった。
王子がたまにいらっしゃっても挨拶をするとすぐに剣の修練に行ってしまわれる。
気が付くとお嬢様はアルベルト王子と同じくらい背が高くなっていた。
そのためパンツタイプのお召し物がとてもよくお似合いになる。
汗を拭きながら爽やかに笑うお嬢様は密かに人気が出始めていた。
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌃
お嬢様は奥様に性格が似ていらっしゃって、奥様の教えもあってかとてもワガママで優しさを知らない令嬢へと育っていってしまわれた。
だけど、ずっとお傍で見ていて気付いたことがあった。
怒鳴ったあとや、ものを投げつけたあと必ず悲しそうな表情に一瞬だけなるのだ。
原因は両親だろう。
旦那様は家族には無関心で一度もお嬢様を抱かれたことは無かった。
お嬢様からのプレゼントも受け取ろうとしない。
何時からかお嬢様は贈り物をしなくなった。
奥様は旦那様を心底愛していらっしゃって、お嬢様への愛情表現は子供への優しさを旦那様に見せつけているだけのものだと誰もが察していた。
旦那様に良く見られようとする奥様はお嬢様を見せかけの愛情で甘やかし、お育てになられた。
娘であるお嬢様が気付かないわけがない。
子供は大人以上に鋭敏に感情を感じ取ってしまうものだ。
だが、それを否定するかのように振る舞われるお嬢様は痛々しく。
何もしてあげられない自分にもヤキモキした。
そして追い打ちをかけるかのように婚約者で在られるアルベルト王子。
王子に5歳の頃初めてお会いになられて心より喜んでおられましたのに、王子の素っ気ない態度にもめげずにお会いになられていた、、、
しかし7歳の誕生日パーティ10日前にお嬢様は突然 変わられた。
先日も奥様とお嬢様の期限を損ねてしまいカップを投げつけられたばかりだ。
恐る恐るお声をかけると、聞いた事のない話し方のお声が聞こえたような気がした。
「あ~いいよ、入って。」
ドアをそっと開けると上体を起こして伏せ目がちに開けられた瞳はどこか憂いを帯びていて思わず見とれてしまった。
お嬢様の外見が整っていることくらい分かっているが、つり目なため少しキツく見えてしまうのだが今朝のお嬢様はどこか落ち着いていた。
「お、お嬢様?」
殿が具合が悪いのだろうか、、、
「何してるの?早く入りなさい。」
お嬢様の凛としたお声に背筋が伸びる。
昨日までのお嬢様の話し方と言いますか、声の張り方に違いを感じる。
その後のお嬢様は珍しいほど大人しく、更にはわたくしの名前を初めてお呼びになった。
覚えていたなんて夢にも思わなかったのに。
奥様がメイドのマーサに酷くお怒りになられていたとき、お嬢様が「お仕置」をなさると聞いていつものお嬢様に戻られたと思ったらわたくしにマーサの手当をするように申し付けられて1人で自室に戻られていった。
あの奥様からマーサを引き離すためにわざとあのようなことを言ったのだと気付き、その判断力にわたくしは脱帽した。
やはり、、、昨日のことが原因だろうか。
奥様は旦那様を好きすぎるあまり女性に対して異常な程警戒をしていた。
そのためメイドいびりなど日常茶飯事であった。
お嬢様は本当にまだ小さかった頃一度だけ乳母にいつものお礼だと言って花を贈った。
しかし、奥様がそれをご覧になって酷くお怒りになられたのだ。
お嬢様は怯えていた。してはいけないことをしてしまったのだと。
何故そこで誰かが奥様をお止めになら無かったのだろう。
何故わたくしはお嬢様に声をかけなかったのだろう。
前日もわたくしにカップを投げつけるお嬢様を見て満足気に微笑む奥様を見て不快感を感じた。
こうすれば母親に褒められるのだと信じて疑わないお嬢様は期待の瞳で奥様を見上げていた。
しかし、奥様が見つめていたのは旦那様だった。
あの時も、あの時も、あの時も、、、
お嬢様は部屋でひとりで泣いていらっしゃった。
なぜ声をかけなかったのだろう。
わたくしに、、、怯える資格など無いはずなのに。
投げつけられる度に感じる悲しみをわたくしは見て見ぬふりをした。
だから、この手の傷の痛みはわたくしの罰。
この手の傷はわたくしの罪。
そして、お嬢様はご自分で気付かれた。
誕生日パーティが終わるとお嬢様は以前より始めていた剣の修練に励んでいた。
最初は遊びの程度だと思ったのだが剣を振り下ろす様はとても綺麗だった。
食事も好き嫌いなく召し上がるので半年で随分と背が伸びられた。
服を新調してもすぐに合わなくなってしまう。
服の趣味も大きく変られた。
リボンやリース、フリルがふんだんに使われたドレスを好んでいたのに今では殿方のようにズボンを好んでお召になる。
一度なぜドレスを着ないのか伺うと
「動きづらいからね、剣を振るうのにドレスは流石に、、、ね?」
と苦笑いを浮かべて仰ったのだ。
そして、お嬢様はアルベルト王子に会いに行かなくなった。
王子がたまにいらっしゃっても挨拶をするとすぐに剣の修練に行ってしまわれる。
気が付くとお嬢様はアルベルト王子と同じくらい背が高くなっていた。
そのためパンツタイプのお召し物がとてもよくお似合いになる。
汗を拭きながら爽やかに笑うお嬢様は密かに人気が出始めていた。
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