悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

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アストルム騎士団創立編

第36話 悪役令嬢の部下動く!

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クロース領、海が美しい港町だが治安は良いものとは言えない。
非合法の薬の売買、武器の密輸、伯爵の息がかかった商家どうしの血なまぐさい抗争。
町の有様はとても酷いものである。

しかし1ヶ月ほど前に突如貴族騎士、いやその見習い騎士たちがクロース領に現れ町の視察を行っていた。
暴力行為があれば止め、怪しげな品物を売っている者には取り調べを行い。
物乞いをするものには金貨を分け与えていた。
その様子は領地全体にすぐに広まり、町の民は救いの騎士が現れたのだと心から喜んだ。
だがここの領地を任せられているクロース伯爵の存在を思いだすとその喜びもすぐに薄れてしまう。

「止まれ止まれっ!一体誰の許しを得て勝手なことをしているのだ!貴様らの上長は誰だ!」

「貴様らはまだ見習い騎士であろう。権限の範囲をとうに超えておるぞ!」

クロース伯爵の騎士たちがすぐさま現地に駆けつけほんの10歳の見習い騎士たちを取り囲む。

しかし、この10歳の子供たちは全員馬に跨り上質な岸服を身に纏い面立ちも大人に負けない剣のある表情でクロース伯爵の騎士たちを見据えていた。
子供とは思えない雰囲気に町の民もクロース伯爵の騎士たちも思わずたじろぐ始末。

すると一人の騎士見習いが前に出て羊皮紙の巻物を開き声を張りながら読み上げる。

「このクロース領はクロウリー公爵の領地であり領の統治をクロース伯爵に一時的に任せているものであるっ!そして先日。ガエル・クロウリーよりダリア・クロウリーへの領地譲渡が行われたっ!よってこの領の統治者は公爵令嬢であらせられるダリア・クロウリー様によって行われることを既にクロース伯爵にはお伝え申したはずである。そして我らはダリア・クロウリー様配下の騎士見習いである!者によっては貴殿たちより身分が高い騎士見習いがいることを心得よ!」

クロウリーの名前を聞いた途端にその場の空気が一転し、騎士たちは青ざめ民たちはその身分の高さと公爵の噂を思い出し身を震わせていた。

「こ、公爵令嬢、、、だと。」

「この視察の報告を踏まえて公女はこちらに足運ばれる。クロース伯爵に心得るよう伝えろ。」

空色の髪をした少年はクロース伯爵の騎士たちに氷のように冷たい視線を流すように向けながら踵を返して見習い騎士を連れその場を立ち去っていく。

「名前を名乗らずに宜しかったのですか?」

「フンっあのようなもの達に名乗るなどない。ダリア様は一刻も早く騎士団を設立したいとお考えになられている。領地ひとつに長い時間をかけるのは得作ではないだろう。さっさと視察を終わらせるぞ。」

「かしこまりました。」

「ったくアイツはどこに行ったんだ!闇属性騎士の隊長として任せられているのにっ!」

「ノア様はおひとりで視察をなさると、、、」

「全く、、、いくら闇属性の魔法が強力とはいえ人を選んで欲しいというものだ。」

「キース様!レイヴン様からの内部偵察報告が!」

キースと呼ばれた空色の髪をもつ少年は報告の巻物を部下から受け取った。

「なるほど、、、この帳簿。見るに堪えないものだな。レイヴンはどこだ?」

「恐らくクロース邸に戻られたかと。」

キースは颯爽と馬に乗ると巻物を手にしながら馬を走らせた。

「この帳簿に書いてある商会に闇属性見習い騎士を配備しろ。事は起こすな、ただ潜入だけし情報収集に励むんだ。いいな。」

「かしこまりました。」




𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌌
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