悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

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アストルム騎士団創立編

第37話 悪役令嬢 虐げられ次男に出会う

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ダリアがまだ8歳の頃。
ドレスを着て行きたくもない茶会に参加していた頃の話しだ。

ダリアは自身の魔力を知るために魔法のありとあらゆる実験をした。
何が危険で何が安全なのか。

ダリアが誕生した時、公爵家の中でも王宮でもちょっとした騒ぎになった。

「よりによって公爵家から闇の魔法を操る者が生まれるとは。」

いくら聖女が闇の魔法も使えたとはいえ滅多に使うことは無かった。
理由は明白。

闇の魔法は魔族に最も近しいものだからだ。

だが生まれたのは女の子。
驚異にはならないであろうと要受されることとなった。
第3王子が生まれた時はそれはそれは王宮内で大きな揉め事となっていた。
セーレム皇国の血を引く王族が闇の魔法を持って生まれた事に周りの貴族からは批判の声が多く上がっていた。

貴族の子供が闇の魔法を持って生まれることはその家の不吉な未来を表しているといわれ忌み嫌われることが多い。

この少年もそのひとりだ。

ノア・モンフォーヌ

モンフォーヌ侯爵 次男。

兄は将来有望な剣術に魔術、そして属性は炎。
そんな兄を持つノアは闇属性として生まれてしまった上に次男。
どのような扱いを受けているのかは明白だった。

使用人からは陰口を叩かれ、家族からは人扱いをして貰えない。
どこかの貴族令嬢と婚約をするだけの駒に過ぎないからだ。

そんなある冬の日に兄の誕生日パーティが開かれることとなった。
沢山の貴族令嬢や貴族の子息が訪れ華やかに賑わっていた。
ノアには全く関係のない事だがいつもの事だと庭を一人で歩いていた。
どうやらこのパーティで兄は婚約者となる女性を探すらしく令嬢の方が比率は高い。
ノアはいつか自分も婚約者を宛てがわれ家を出されるのかと池の水に映る自分の顔をジッと見つめていた。

その時 どこからか足音が聞こえた。

この庭はノア以外近づくものはほとんど居ないため物音がすれば直ぐに気がつく。
一体こんなところに誰が来たのかと心臓を跳ねらせながら周りを見回すと、そこに花のような美しいドレスを纏った令嬢がひとり庭の風景を楽しみながら歩いていた。

自分と同じくらいの歳の女の子だと直感で察したノアはパーティ会場から迷子になってしまったのかと思っていた。
しかし、その令嬢のあまりの美しさに言葉が出なかった。
パーティというものに出たことが無かったノアにとってドレスを着る令嬢は初めて見るものだ。

真夜中を思わせる深い青の髪にワインレッドのドレス。
髪とおなじ色の瞳はどこまでも深く飲み込まれてしまいそうになる。

ノアが見蕩れていると令嬢がこちらに気が付いた。
心臓を強く打つが身動きが何故か取れない。
令嬢がゆっくりとこちらに歩み寄ると凛とした声でノアに尋ねる。

「ここの使用人か?」

美しい顔立ちに凍りつくような無表情でノアを見下ろす令嬢に言われノアは使用人と思われても仕方ない格好をしていることを思い出した。

「あ、、、えっと。」

「探している人がいる。どこにいるか教えて欲しい。」

(きっと、、、兄を探しているのだろう。)

「えっと、ファン様は。」

兄の名前を口にした瞬間令嬢は食い気味に遮る。

「違う。私が探しているのはその弟。ノア・モンフォーヌだ。」

「え?」

意外な、、、意外すぎることに令嬢に顔を見上げるが真剣なその表情に嘘やからかいでは無いことを知る。

「何故、、、その者を探しているのですか?」

「その者に用があるからだ。」

「で、でも本日はファン・モンフォーヌ様のお誕生日のパーティです、、、」

そう言うと令嬢は「はぁ」と深いため息をつき腕を組みながら眉をひそめて文句の文言を並べる。

「誕生日なんてただの口実だろう。来てみれば主催者が女性を口説いてまわっているようにしか見えない。大方このパーティーで婚約者を決めようとしているのだろう。」

およそ令嬢とは思えない口調と態度にノアは混乱するばかりだった。

「あ、あの、、、お名前をお聞きしても?」

ブツブツ文句を言っていた令嬢はノアの言葉に気が付き、腰に手を当てて自身の名前を口にした。

「ダリア。ダリア・クロウリー。公爵家の娘だ。」

「こ、、、、公爵令嬢?!」





𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌌


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