悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

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番外編 悪役令嬢たちの心変わり

夜のような君がいた

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クロウリー公爵家。

ディシュタインで最も聖女に近い存在と言われている。

何故か、、、それはクロウリー家は代々 光の魔法を持って生まれる子供がほとんどだからだ。

聖女の加護を持つ王族とは違いそれ以外の貴族が光の魔法を持って生まれるのはごく稀なことであり全ての属性において劣ることは何も無い。

クロウリー家はそんな中ほぼ絶対の確率で光の魔法を持った子供が生まれてくる。


しかしダリアは違った。

属性の中で最も気まぐれで扱いずらいとされる闇の魔法。
そんな厄介な属性を持って生まれてしまったダリアの立場は複雑なものだった。

ダリアの母親であるクロウリー夫人が今後も子供を産もうとしているのにはここに理由があった。

何がなんでも光の魔法を持った子供を産まなければならない。
クロウリー家の家門と社交界での立場を安定させるために。

だがそんな複雑な大人の世界の事情は幼い子供にとって過酷すぎる現実だった。

ダリアは今後政略結婚の道具として上手く使われる運命にあり、そんな事実に目を背ける母親による過度な期待も相成って変に大人びてしまった。

母親の思いどおりにならないと手を挙げられ、参加したくもないパーティでは好奇の目に晒され。


毎日のように行われるパーティにうんざりしていてもひとつだけいいことがあった。
王宮内にある辺り一面藤色の庭。
美しい風景にダリアは幼いながらにも心が癒された。

そしてある夜、ダリアはひとりの王子様に出会った。

𓂃🥀𓈒𓏸

【行く道も添い遂げる者も夢も、何一つ自分で決めたことは無かった。

だがそれは次期 王となるのに必要なものだと信じていたから。
どうしてもなりたかった訳では無い。
だが羨望の眼差しで見つめる弟、アルベルトからの視線が自信が恵まれている環境にあるのだと語っていた。

大人たちの心のこもっていないおべっかを聞き流し常に求められる人格であろうとした。

そんなとき、夜のような君と出会った。】


「こんな夜にひとりかい?」

【僕が声をかけるとその子は真夜中のような深い青色の瞳でこちらを見る。驚いているのだろうまん丸と見開かれた瞳は宝石のように大きく輝いていた。】

「わ、わたしは、、、」

【困らせる気はなかったし怒っているわけでもなかった。だけど僕は弟たちと違って表情が豊かな方ではないから、怯えさせてしまったのかもしれない。】

「咎めたわけでは無いんだ。ただこの庭が気に入ったのならいつでも来るといい。」

【できるだけ優しく、言葉を選んだつもりだが成功しているのだろうか。目の前の少女は変わらず目を大きく開けてこの僕を見つめていた。】




【だが、彼女は我が弟に恋をしたようだった。歳も近いし当然と言えば当然なのだろう、、、だが、今まで何をしても感じなかった僕が初めて喪失感というものを覚えんだ。】

「ご紹介いたします。こちらダリア、ダリア・メルヴェイユ。」

【だが再開した彼女はまるで別人だった、それどころか後ろに隠れている同姓同名の少女を見て驚きを隠せなかった。あの庭で出会った少女そのものだったからだ。】



【そして彼女は月に一度なら人と会うことが出来るという。病弱故に普段はあまり外に出ることが出来ないらしい。】







𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭🌌

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