悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

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青年編

第60話 公女の威厳

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2人で食事をしているとダリアがふと話し出した。

「本邸に戻る前に色々仕上げておかないとな。マナーや教養も思ったより問題ないな。」

「なっ!」

「だが私の呼び方、、、は変えないとな。ヒナは君より年下だからそのままで問題ないが私は君の姉になるからなぁ。」

ダリアは嬉しそうにニヤニヤと口元をニヤつかせるとアメリアはそっぽを向く。

「や、やめてよダリア。」

「ん?」

「うっ、、、や、やめてくださいお姉様。」

「よく出来たね。」

お互いに微笑みあっていると食堂にロランが顔を出す。

「ダリア様、お食事中失礼致します。」

「ロランか、どうした。」

「アストルム騎士団 団長 キース・ド・アルヴェーヌ侯爵がお見えになりました。」

「ほぉ?随分早い到着だな。客間に通して待たせておけ。」

「かしこまりました。」

そう言ってロランが下がる。
その様子にアメリアは気になりダリアの顔色を伺う。

「あぁ、少し前までは侯爵の子息だったんだが。彼の父上が2年ほど前に病死されてな、唯一の跡取り息子だったキースが侯爵家を継いだんだ。その時にアストルム騎士団の団長に彼を置くこと決めた。団長になったのはその1年後だけどね。」

「アストルム騎士団を彼にあげてしまったの?」

「そうじゃないよ、私はアストルム騎士団のグランドマスター、総長になった。キースはこの騎士団には必要な人材だ。しかし侯爵となった以上それなりの地位が必要だったし、彼自身もその地位に相応しいほどの実力と人格はある。だから任せたのさ。私が公爵となるのはもっと先だろうし。」

皿の上のステーキをナイフで切り分けながらダリアは淡々と説明をしていく。

「もともと私がトップだしね、騎士団の格を上げたんだ。」

「ま、まぁ、毎年トーナメントで王国騎士団を招いては闘技場で痛めつけていたものね、、、」

「痛めつけていたとは心外だな。」

「それで?アルヴェーヌ様がお待ちなのでしょう?」

「待たせておけばいいよ、本当は食後に来るはずだったんだし。急ぎの知らせがあればとっくに私の耳に入っているから。」

アメリアは苦笑いを浮かべながら目の前の食事を片付けた。


食事の後ダリアはアメリアを連れてキースの待つ客間へと向かった。
部屋に入ると騎士の鎧を纏ったキースが立って待っていた。

「ご苦労さま、キース。かけていいよ。」

「はっ、ん?その方は、、、」

「あぁ、妹のアメリアだ。公爵家の遠縁にあたる子だから薄いが血は繋がっているよ。」

探るような目付きに思わず身を固めるアメリアを見てダリアは言葉に鋭さを入れた。

「失礼致しました。アメリアお嬢様にはお初にお目にかかります、キース・ド・アルヴェーヌと申します。」

「あ、アメリア・クロウリーでございます。」

「君を呼んだのは彼女が本邸に戻る道中、エスコート・・・・・を頼みたいんだ。」

「承りました。」

「王都までヒナを送ってくれたと父上から手紙で聞いたよ、ご苦労だったね。」

「当然の働きをしたまでです。」

「アメリアはそのヒナの姉だ。そして光属性の魔力を持っている。この言葉の意味がわかるね?」

「はっ!」

「よろしい、ではアメリア部屋に戻ろう。」

「は、い、、、え?」

「話しは以上だ、だから部屋に戻ろう。」

「え、、、い、いいのですか?せっかく、、、」

「大丈夫、それにいつまでも鎧だと大変だろう。」

「あ、そ、そうですわね!ではアルヴェーヌ卿、おやすみなさい。」

「ダリア様、アメリアお嬢様、おやすみなさいませ。」




ダリアは部屋を出る直前キースに口パクで意図を伝えた。


<後で執務室に来るように>



「かしこまりました、公女。」





𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌌



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