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聖ブルノア魔術学園編
第73話 入学パーティ
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部屋を出てしばらく歩いていると向こう側から歩いてくるアルベルトの姿を確認する。
「殿下、お部屋でお待ちでは無かったのですか?」
アルベルトはダリアの姿を見て顔を赤らめながら視線を外すと腕を組み不満を漏らす。
「いつまで子供だと思ってるんだ。いくら婚約者の世話をしろと言われてるからって男子寮まで来させるわけが無いだろう。ほら、行くぞ。」
差し出された手を少し間の抜けた表情で見つめるとすぐにいつもの笑みを浮かべて手を取った。
少し落ち込んでいるように見えたもののダリアは気のせいかと考えることをやめた。
7年前とは明らかに違うアルベルトの体つきに今まで鍛錬を怠っていないことをダリアは察した。
少し顔を赤らめているアルベルトの顔を見ようとし自信が見上げていることにダリアは意地っ張りな少年はもう居ないのかと少し寂しい気持ちになった。
(暫くコイツのドレス姿なんて見ていなかったからな。)
チラリと視線を下げると藍色のドレスを纏い、少しの宝飾品だけで気高さを放っているダリアにアルベルトの心臓は音を鳴らして鼓動していた。
(いつからだろう、、、コイツの口から拒否の言葉が出ないようにと願い始めたのは。その瞳に俺を写して欲しいと願うようになったのは。)
「ん?」
こちらを見上げて首をこてんと傾げるダリアに反射で顔を逸らしたアルベルトの顔はまるで夏のように暑かった。
「アルベルト・ディシュタイン殿下、並びにダリア・クロウリー公爵令嬢 ご来場です!」
ダンスが始まるとダリアはアルベルトに手を差し出した。
その様子にアルベルトは不満げに愚痴をこぼしながらも手を取った。
「普通は男からダンスに誘うんだぞ。」
「おっと、ついつい。次からは君の申し出を大人しく待ってるよ。」
フンっと鼻を鳴らしながらもダンスを始める2人に周りは目を奪われていた。
会場にいるどのペアよりも美しく踊りを舞うその姿は婚約者同士という肩書きにまさしく相応しいものだった。
「おまえがパーティに出たがらないのもわかってきたきがするよ。」
「そう?私はたまにはこういうのもいいと思うけどね。ま、たまになら。」
すると途端にアルベルトがダリアを引き寄せ、踊る足を止めた。
真剣な眼差しで見つめながら声変わりした男の低い声でダリアに問い詰める。
「そろそろ婚約者を決めなければならない歳だ。この5年間おまえは俺との婚約を解消したがっていた。」
鼻がくっつくほど顔を近づけ、少し怒気を含んだ声色にダリアの表情から余裕の笑みが消えた。
「俺との婚約を解消して一体誰と婚約しようとしているんだ?騎士団長の侯爵か?それとも氷の男か?随分と興味を持っていたようだしな。」
「あ、アルベルト?なにを……」
アルベルトはダリアをエスコートする振りをしてバルコニーに連れていく。
まだ3月の生暖かくも冷たい夜風がダリアの頬を掠めていく。
バルコニーの壁際にダリアを追い詰め、うでを掴むアルベルトの表情は怒りがあるものの同時に苦しそうに歪んでいた。
「騎士団を作ったのも、髪を切ったのも、ドレスを着なくなったのも!全て俺から逃げるためだろう?」
「あ、アル。」
ダリアは名前を呼ぶことしか出来ずにいた。
「逃げるのなら俺がおまえを見ることが出来ないところまで逃げてくれ。何故いつも視界に入ろうとする!何故俺の頭の中に入ってくるんだ!」
「お、落ち着いて、アル!そもそも私との婚約自体アルも嫌がっていただろう?何をそんなに怒る必要があるんだ。」
心配そうに覗き込むダリアの顔を見てアルベルトは気付いた。
(あぁ……そうか…。俺からおまえを突き放したんだったな。俺がおまえを傷付けたから。これは罰なのか。)
瞳から光が消え、無表情になるアルベルトの目から静かに涙が零れ落ちていく。
「おいっ、大丈夫か?今水を貰ってくるから!」
その場を離れようとしたダリアの腕を掴み、引き止めるアルベルト。
「なっ!アル、具合が悪いなら部屋に帰ろう、私も付き添うから。それと帰る前に水を飲んだ方がいい。」
「……かった。」
「え?」
「すまなかった。すまなかった……」
膝から崩れ落ちながらダリアに縋るようにして絞られた声でひたすら謝罪の言葉を繰り返す。
(一体何を謝ってるんだろう…ひとまず落ち着かせよう)
「アル、もういいから。ね?今日はもう部屋に戻ろう。」
「……」
ダリアはアルベルトの従者を呼ぶと共に部屋へと戻っていく。
部屋の外で従者にアルベルトの様子を聞くと少し困ったように笑いながら答えた。
「その、どうやら王宮でもアルベルト殿下が公女様との婚約を破棄されるのではと噂になっておりまして。」
ダリアの心がグサリと言うなにか刺さる音がした。
(アルベルトの面目を保つために私が流した噂か……私が破棄されたとされる方が王家の名に傷が着かないと思ったんだが。)
「その、殿下は口には出しませんが公女様のことをとても尊敬しておられました。正しいと思うこと、したいと思ったことを実行に移すことができる方だと。」
「……」
「わたくしのような者が口を挟むことではありませんがアルベルト様は公女様のなさろうとしていることを制限される方ではありません。なので、どうか……」
ダリアはそこまで言葉を聞き届けると「もういい」と片手を軽くあげた。
「幼少の頃から殿下を見守るおまえが言う言葉だ。他の者とは言葉の重みが違う。心に留めておくよ、セバス。」
「わ、わたくしの名を覚えておいでで?」
「こう見えて殿下をお慕いしていたんだ。その周りのことも把握していて当然だろう。」
(ま、本当のダリアの話だけどね。)
ドアの向こうにいるアルベルトがなんとも言えない表情で自分の胸ぐらを強く掴んでいた。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌃
「殿下、お部屋でお待ちでは無かったのですか?」
アルベルトはダリアの姿を見て顔を赤らめながら視線を外すと腕を組み不満を漏らす。
「いつまで子供だと思ってるんだ。いくら婚約者の世話をしろと言われてるからって男子寮まで来させるわけが無いだろう。ほら、行くぞ。」
差し出された手を少し間の抜けた表情で見つめるとすぐにいつもの笑みを浮かべて手を取った。
少し落ち込んでいるように見えたもののダリアは気のせいかと考えることをやめた。
7年前とは明らかに違うアルベルトの体つきに今まで鍛錬を怠っていないことをダリアは察した。
少し顔を赤らめているアルベルトの顔を見ようとし自信が見上げていることにダリアは意地っ張りな少年はもう居ないのかと少し寂しい気持ちになった。
(暫くコイツのドレス姿なんて見ていなかったからな。)
チラリと視線を下げると藍色のドレスを纏い、少しの宝飾品だけで気高さを放っているダリアにアルベルトの心臓は音を鳴らして鼓動していた。
(いつからだろう、、、コイツの口から拒否の言葉が出ないようにと願い始めたのは。その瞳に俺を写して欲しいと願うようになったのは。)
「ん?」
こちらを見上げて首をこてんと傾げるダリアに反射で顔を逸らしたアルベルトの顔はまるで夏のように暑かった。
「アルベルト・ディシュタイン殿下、並びにダリア・クロウリー公爵令嬢 ご来場です!」
ダンスが始まるとダリアはアルベルトに手を差し出した。
その様子にアルベルトは不満げに愚痴をこぼしながらも手を取った。
「普通は男からダンスに誘うんだぞ。」
「おっと、ついつい。次からは君の申し出を大人しく待ってるよ。」
フンっと鼻を鳴らしながらもダンスを始める2人に周りは目を奪われていた。
会場にいるどのペアよりも美しく踊りを舞うその姿は婚約者同士という肩書きにまさしく相応しいものだった。
「おまえがパーティに出たがらないのもわかってきたきがするよ。」
「そう?私はたまにはこういうのもいいと思うけどね。ま、たまになら。」
すると途端にアルベルトがダリアを引き寄せ、踊る足を止めた。
真剣な眼差しで見つめながら声変わりした男の低い声でダリアに問い詰める。
「そろそろ婚約者を決めなければならない歳だ。この5年間おまえは俺との婚約を解消したがっていた。」
鼻がくっつくほど顔を近づけ、少し怒気を含んだ声色にダリアの表情から余裕の笑みが消えた。
「俺との婚約を解消して一体誰と婚約しようとしているんだ?騎士団長の侯爵か?それとも氷の男か?随分と興味を持っていたようだしな。」
「あ、アルベルト?なにを……」
アルベルトはダリアをエスコートする振りをしてバルコニーに連れていく。
まだ3月の生暖かくも冷たい夜風がダリアの頬を掠めていく。
バルコニーの壁際にダリアを追い詰め、うでを掴むアルベルトの表情は怒りがあるものの同時に苦しそうに歪んでいた。
「騎士団を作ったのも、髪を切ったのも、ドレスを着なくなったのも!全て俺から逃げるためだろう?」
「あ、アル。」
ダリアは名前を呼ぶことしか出来ずにいた。
「逃げるのなら俺がおまえを見ることが出来ないところまで逃げてくれ。何故いつも視界に入ろうとする!何故俺の頭の中に入ってくるんだ!」
「お、落ち着いて、アル!そもそも私との婚約自体アルも嫌がっていただろう?何をそんなに怒る必要があるんだ。」
心配そうに覗き込むダリアの顔を見てアルベルトは気付いた。
(あぁ……そうか…。俺からおまえを突き放したんだったな。俺がおまえを傷付けたから。これは罰なのか。)
瞳から光が消え、無表情になるアルベルトの目から静かに涙が零れ落ちていく。
「おいっ、大丈夫か?今水を貰ってくるから!」
その場を離れようとしたダリアの腕を掴み、引き止めるアルベルト。
「なっ!アル、具合が悪いなら部屋に帰ろう、私も付き添うから。それと帰る前に水を飲んだ方がいい。」
「……かった。」
「え?」
「すまなかった。すまなかった……」
膝から崩れ落ちながらダリアに縋るようにして絞られた声でひたすら謝罪の言葉を繰り返す。
(一体何を謝ってるんだろう…ひとまず落ち着かせよう)
「アル、もういいから。ね?今日はもう部屋に戻ろう。」
「……」
ダリアはアルベルトの従者を呼ぶと共に部屋へと戻っていく。
部屋の外で従者にアルベルトの様子を聞くと少し困ったように笑いながら答えた。
「その、どうやら王宮でもアルベルト殿下が公女様との婚約を破棄されるのではと噂になっておりまして。」
ダリアの心がグサリと言うなにか刺さる音がした。
(アルベルトの面目を保つために私が流した噂か……私が破棄されたとされる方が王家の名に傷が着かないと思ったんだが。)
「その、殿下は口には出しませんが公女様のことをとても尊敬しておられました。正しいと思うこと、したいと思ったことを実行に移すことができる方だと。」
「……」
「わたくしのような者が口を挟むことではありませんがアルベルト様は公女様のなさろうとしていることを制限される方ではありません。なので、どうか……」
ダリアはそこまで言葉を聞き届けると「もういい」と片手を軽くあげた。
「幼少の頃から殿下を見守るおまえが言う言葉だ。他の者とは言葉の重みが違う。心に留めておくよ、セバス。」
「わ、わたくしの名を覚えておいでで?」
「こう見えて殿下をお慕いしていたんだ。その周りのことも把握していて当然だろう。」
(ま、本当のダリアの話だけどね。)
ドアの向こうにいるアルベルトがなんとも言えない表情で自分の胸ぐらを強く掴んでいた。
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