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聖ブルノア魔術学園編
第75話 甘い蜜
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授業が終わるとアルベルトとダリアを遠巻きに見ながらソワソワしている生徒が沢山居た。
この機会に学園内のトップ2にとりいれようと皆様子を伺っているのだ。
そんなときに教室の外からアルマが甘い声でダリアの名を呼ぶ。
「ダリアさまぁ~」
その声でダリアに話しかけようと様子を伺っていた令嬢たちが悔しそうに表情を歪め近寄ろうとする足を止めた。
「このアルマ、ダリア様とは別のクラスだなんて許せませんわ!」
「アルマ、君は侍女は連れていないの?一応は君も公女と呼ばれる立場の女性だろう?」
「わたくしはダリア様がお傍にいらっしゃればそれで良いのです。」
にこりと微笑むアルマに「やれやれ」と困り笑顔で返す。
その様子に周りの令嬢が陰口を叩き始めたがアルマは気にする様子もなくダリアに話しかけ続けていた。
(こうしてみるとアルマは強いな。彼女の両親は気に入らないが個人的にはアルマが気に入っている自分がいる。同じ公爵家であるが故にこうして気を使わずに話せるのはとても楽だ。)
「ダリア様はいかがですか?お部屋のご様子は、わたくしはまぁまぁといった……」
ダリアはアルマの頬を曲げた人差し指で軽く触れると優しい笑顔で話した。
「せっかく身分も立場も同じなんだ。」
(この数年、アルマは私の傍を離れなかった。)
「だから、ただダリアと。」
(父の命令通り私に近づきしたたかに情報を集めている。油断出来ない令嬢ではあるが、味方にいたら頼もしい人材だ。)
「そう呼んでくれないか?」
(この子が望む、憧れの姿のダリアでいる限り有利にことが進むのだろうか。)
ダリアの言葉に一瞬驚いているとすぐに笑顔で「はい!」と答えた。
次の授業が始まるためアルマが教室を離れるとすれ違いざまに鋭い言葉が耳に飛び込んできた。
「ダリア様と敵対している家名の分際で。あの方と懇意にするなど。」
アルマはピタリと動きを止めると言葉を発した主である令嬢に嘲笑しながら目を合わせ。
「近づけもしない雑魚が、口を開かないでおくんなまし?」
令嬢は恐怖のあまりその場を青ざめながら走り去って言ってしまった。
その背中を眺めながら頬を赤らめて自身の体を腕で抱きしめる。
「んふふ、わたくしたちがただの仲良しに見えているのなら相手にする価値もありませんわね?あの方はずっとわたくしを警戒しておいでなのに。その鋭い瞳を緩めることなく見張っておられもののその合間に見せる少しの本音とわたくしへの期待はまるで甘い蜜のようにわたくしを誘惑する。こんな関係を築けるのは殿下でもヒナ嬢でもない。このアルマだけ。」
アルマは笑顔のまま表情を歪ませると拳を強く握りしめる。
「第3王子のパーティで10にも満たない小娘にしてやられるとは、我が両親ながらに情けなくて泣けてきますわ。最初からわたくしを使えばよろしかったのに。そしたらもっと濃くて甘い毒をあの方に味わっていただけましたのに。」
弧を描くように引き上げられた口の端は笑みを浮かべていた。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌌
この機会に学園内のトップ2にとりいれようと皆様子を伺っているのだ。
そんなときに教室の外からアルマが甘い声でダリアの名を呼ぶ。
「ダリアさまぁ~」
その声でダリアに話しかけようと様子を伺っていた令嬢たちが悔しそうに表情を歪め近寄ろうとする足を止めた。
「このアルマ、ダリア様とは別のクラスだなんて許せませんわ!」
「アルマ、君は侍女は連れていないの?一応は君も公女と呼ばれる立場の女性だろう?」
「わたくしはダリア様がお傍にいらっしゃればそれで良いのです。」
にこりと微笑むアルマに「やれやれ」と困り笑顔で返す。
その様子に周りの令嬢が陰口を叩き始めたがアルマは気にする様子もなくダリアに話しかけ続けていた。
(こうしてみるとアルマは強いな。彼女の両親は気に入らないが個人的にはアルマが気に入っている自分がいる。同じ公爵家であるが故にこうして気を使わずに話せるのはとても楽だ。)
「ダリア様はいかがですか?お部屋のご様子は、わたくしはまぁまぁといった……」
ダリアはアルマの頬を曲げた人差し指で軽く触れると優しい笑顔で話した。
「せっかく身分も立場も同じなんだ。」
(この数年、アルマは私の傍を離れなかった。)
「だから、ただダリアと。」
(父の命令通り私に近づきしたたかに情報を集めている。油断出来ない令嬢ではあるが、味方にいたら頼もしい人材だ。)
「そう呼んでくれないか?」
(この子が望む、憧れの姿のダリアでいる限り有利にことが進むのだろうか。)
ダリアの言葉に一瞬驚いているとすぐに笑顔で「はい!」と答えた。
次の授業が始まるためアルマが教室を離れるとすれ違いざまに鋭い言葉が耳に飛び込んできた。
「ダリア様と敵対している家名の分際で。あの方と懇意にするなど。」
アルマはピタリと動きを止めると言葉を発した主である令嬢に嘲笑しながら目を合わせ。
「近づけもしない雑魚が、口を開かないでおくんなまし?」
令嬢は恐怖のあまりその場を青ざめながら走り去って言ってしまった。
その背中を眺めながら頬を赤らめて自身の体を腕で抱きしめる。
「んふふ、わたくしたちがただの仲良しに見えているのなら相手にする価値もありませんわね?あの方はずっとわたくしを警戒しておいでなのに。その鋭い瞳を緩めることなく見張っておられもののその合間に見せる少しの本音とわたくしへの期待はまるで甘い蜜のようにわたくしを誘惑する。こんな関係を築けるのは殿下でもヒナ嬢でもない。このアルマだけ。」
アルマは笑顔のまま表情を歪ませると拳を強く握りしめる。
「第3王子のパーティで10にも満たない小娘にしてやられるとは、我が両親ながらに情けなくて泣けてきますわ。最初からわたくしを使えばよろしかったのに。そしたらもっと濃くて甘い毒をあの方に味わっていただけましたのに。」
弧を描くように引き上げられた口の端は笑みを浮かべていた。
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