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聖ブルノア魔術学園編
第80話 ノア、王都に向かう
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クロウリー城 バラ園
アメリアとヒナがふたりでアフタヌーンティーを嗜んでいた。
ウンディーネとメイドのメアリーが紅茶のおかわりやお菓子の盛り付けをしていると
向こうから騎士服のノアがこちらに向かって歩いてくる。
2人の前まで来るとお辞儀をして挨拶の言葉を言うがアメリアは一向にそちらを見ようとしていなかった。
ヒナは挨拶を返すとアメリアの様子を伺う。
「ご機嫌よう、モンフォーヌ卿。わたくしたちに何かご用でしょうか?」
アメリアの冷たい言葉に全く気にする様子もなくひょうたんに返すノア。
「えぇ、私の任務は貴女方をお守りすることでございますから。いささか最近よく来られるベルファ殿下の視線が突き刺さり痛みますが、まぁいいでしょう。」
「卿?何かご用があるのなら要件を。」
にったり笑うノアはアメリアに影で出来たバラを差し出すと「マスターからです。」と告げた。
受け取るとノアは話を続けた。
「マスターから新しい任務を受けたので暫くクロウリー領を離れることとなりました。」
「お兄さまが?」
「お姉さまのことです、何か訳があるのでしょうね。それで?後任の騎士でも連れてきましたか?」
ノアはニィッと口の端を釣り上げると影で覆われた地面から複数体の真っ黒い騎士が這いずり出てくる。
「彼らが今後お嬢様方をお守り致します。ご安心を、そこらの人間より遥かに強いですよ。」
「へぇ~それは楽しみですね。まさか人ではないなんて、驚きです。命令はきちんと聞くのですか?」
「貴女方のご命令に従うように言いつけておりますゆえご安心ください。それとおふたりへのお手紙をお預かりしておりますのでお納めください。それでは。」
終始表情を変えずに踵を返して去っていくノアの背中を不安げに見つめるヒナにアメリアが「よしなさい」と窘める。
「ヒナ、公女ともあろう者がそのように不安そうな表情でいてはいけないわ。堂々としていなさい。ダリアお姉さまにはきっと何かお考えがあるのだから。」
「はい、アメリアお姉さま。」
アメリアはノアから受け取った手紙に目を通すとウンディーネに渡し席を立った。
「お姉さま?」
首を傾げるヒナに小さな笑顔で席を外すことを伝えた。
「貴女はゆっくりしなさい、神殿籠もりの支度をするだけだから。」
「はい、お姉さま……」
一方 ノアは第十三師団を連れて王都に向けて出発した。
第十三師団に所属している騎士は皆黒い鎧を身につけ闇の魔法を纏いながら黒い馬に跨り地を駆ける、その姿から彼らはアビスの騎士と呼ばれた。
「師団長!この先でレイヴン様がお待ちです!マスターからの最終通告があるとの事です。」
「全く、自分はお守りを嫌がったというのに俺たちにはさせるんだもんなぁ。」
「その、レイヴン様が仰るには此度のカリム殿下の護衛騎士の中に師団長の兄君がいらっしゃると……」
この4年で大きく成長したノアはとても容姿端麗に育ち溢れ出る魅力はベルメールでも人気だった。
目立ってはいるが闇の魔法をダリア直々に叩き込まれその腕はダリアの次に立つとされていた。
そんなノアが休憩中の湖で体を流している姿は世の女性達が放っておかないほどの色気を出していた。
髪をかきあげて湖から上がりタオルを部下から受け取ると大雑把に拭きながら口角をニィッと引き上げた。
「へぇ~兄上がねぇ。暫く会ってないからわからなかったけどカリム殿下の護衛に着いてたんだ。また俺の前で大きな顔が出来なくなるねぇ、お兄さん?」
シャツを着ながら片手を軽く上げるとその手にツバメの影がそっと止まる。
そのツバメにチュッとキスを落とすと名前を呼ぶ。
「やぁ、イロンデル。今夜も飛んでくれるかい?」
そう言うとツバメは王都の方に向かって飛び立って行った。
「今、会いに行くよ。」
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌌
アメリアとヒナがふたりでアフタヌーンティーを嗜んでいた。
ウンディーネとメイドのメアリーが紅茶のおかわりやお菓子の盛り付けをしていると
向こうから騎士服のノアがこちらに向かって歩いてくる。
2人の前まで来るとお辞儀をして挨拶の言葉を言うがアメリアは一向にそちらを見ようとしていなかった。
ヒナは挨拶を返すとアメリアの様子を伺う。
「ご機嫌よう、モンフォーヌ卿。わたくしたちに何かご用でしょうか?」
アメリアの冷たい言葉に全く気にする様子もなくひょうたんに返すノア。
「えぇ、私の任務は貴女方をお守りすることでございますから。いささか最近よく来られるベルファ殿下の視線が突き刺さり痛みますが、まぁいいでしょう。」
「卿?何かご用があるのなら要件を。」
にったり笑うノアはアメリアに影で出来たバラを差し出すと「マスターからです。」と告げた。
受け取るとノアは話を続けた。
「マスターから新しい任務を受けたので暫くクロウリー領を離れることとなりました。」
「お兄さまが?」
「お姉さまのことです、何か訳があるのでしょうね。それで?後任の騎士でも連れてきましたか?」
ノアはニィッと口の端を釣り上げると影で覆われた地面から複数体の真っ黒い騎士が這いずり出てくる。
「彼らが今後お嬢様方をお守り致します。ご安心を、そこらの人間より遥かに強いですよ。」
「へぇ~それは楽しみですね。まさか人ではないなんて、驚きです。命令はきちんと聞くのですか?」
「貴女方のご命令に従うように言いつけておりますゆえご安心ください。それとおふたりへのお手紙をお預かりしておりますのでお納めください。それでは。」
終始表情を変えずに踵を返して去っていくノアの背中を不安げに見つめるヒナにアメリアが「よしなさい」と窘める。
「ヒナ、公女ともあろう者がそのように不安そうな表情でいてはいけないわ。堂々としていなさい。ダリアお姉さまにはきっと何かお考えがあるのだから。」
「はい、アメリアお姉さま。」
アメリアはノアから受け取った手紙に目を通すとウンディーネに渡し席を立った。
「お姉さま?」
首を傾げるヒナに小さな笑顔で席を外すことを伝えた。
「貴女はゆっくりしなさい、神殿籠もりの支度をするだけだから。」
「はい、お姉さま……」
一方 ノアは第十三師団を連れて王都に向けて出発した。
第十三師団に所属している騎士は皆黒い鎧を身につけ闇の魔法を纏いながら黒い馬に跨り地を駆ける、その姿から彼らはアビスの騎士と呼ばれた。
「師団長!この先でレイヴン様がお待ちです!マスターからの最終通告があるとの事です。」
「全く、自分はお守りを嫌がったというのに俺たちにはさせるんだもんなぁ。」
「その、レイヴン様が仰るには此度のカリム殿下の護衛騎士の中に師団長の兄君がいらっしゃると……」
この4年で大きく成長したノアはとても容姿端麗に育ち溢れ出る魅力はベルメールでも人気だった。
目立ってはいるが闇の魔法をダリア直々に叩き込まれその腕はダリアの次に立つとされていた。
そんなノアが休憩中の湖で体を流している姿は世の女性達が放っておかないほどの色気を出していた。
髪をかきあげて湖から上がりタオルを部下から受け取ると大雑把に拭きながら口角をニィッと引き上げた。
「へぇ~兄上がねぇ。暫く会ってないからわからなかったけどカリム殿下の護衛に着いてたんだ。また俺の前で大きな顔が出来なくなるねぇ、お兄さん?」
シャツを着ながら片手を軽く上げるとその手にツバメの影がそっと止まる。
そのツバメにチュッとキスを落とすと名前を呼ぶ。
「やぁ、イロンデル。今夜も飛んでくれるかい?」
そう言うとツバメは王都の方に向かって飛び立って行った。
「今、会いに行くよ。」
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