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王宮内暗殺事件編
第81話 第十三師団と王国騎士団
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王都に入るとノアたちはたちまち注目の的となった。
どうやらカリムが襲撃されたことは国民の耳にも入っているらしい。
この事件の裏にセーレム公告敵対派の貴族がいるのは明白なこと。
王宮にあるアヤ側妃とカリムが住む別宮に到着すると案の定王国騎士団が待ち構えていた。
先頭にはいつかのバッカス副団長がしかめっ面で馬に乗ってこちらを睨みつけている。
ノアは裏腹にいつものにやけ顔で近づいて行く。
「何用でここに来た、ノア・モンフォーヌ。」
「どうやらカリム殿下並びにアヤ側妃の周りが不穏であると風の噂で聞きましてね。調べてみたら襲撃に遭われたというではありませんか。」
「おふたりのお命はお守りした。問題は無い。」
「その暗殺者に騎士団の者が何名か殺されたというではありませんか。それのどこが問題ないのです?」
ノアの言葉に苦虫を噛み潰したように表情を歪めるバッカス。
他の王国騎士団もざわつき始めた。
「王族のために血を流し命を落とすことになんの躊躇いがあると言うのだ。名誉な死を侮辱する気か!」
叫ぶバッカスにノアは闇の魔法を纏わせながら首を傾げると低い声で突き刺さるような言葉を言い放つ。
「王族や国民を守らなければならない俺たちが一番死んではならないのだと何故わからない?命懸けは死ぬことでは無いぞ?生きることだ。貴様たちの団長は王族のために死ねなんていうのか?」
なにも言い返せずにいる王国騎士団の横を通り過ぎようとするがバッカスが食い下がる。
「おい!話は終わっていない!そもそもお前たちアストルム騎士団のトップは学園にいるはずだ!騎士団の活動も禁じられているだろう!」
「残りのアストルム騎士団員を統率する権限はマスターからこの俺が預かっている。そんなことで王国騎士団がとやかく口を挟む権利など無いはずですよ?それに、昔に比べて王国騎士団は随分とだらしなくなったようで……」
じろりと王国騎士団を睨みつけるノアに皆が気まずそうに視線を逸らしていく。
今王国で蔓延している麻薬の取り引き。
つい最近も王国の貴族が秘密裏に違法取引している事が判明し厳粛に取りしまわれたばかりだった。
その貴族のひとりに王国騎士団の者がいた。
「未成年の騎士が集まってなんの役に立つというのだ。」
「あなた方よりは役に立つと思いますが?」
「なんだと?!」
今にも掴みかかりそうなバッカスの荒らげた声を女性の声が遮った。
「そこまでだ。」
凛とした佇まいに誠凛な声、そして王国を象徴する赤色の豪華なドレスを着た女性が眉をひそめてその場を鎮めた。
「王妃陛下……」
直ちにその場にいた全員が膝をつき頭を垂れた。
「バッカス副団長、そなたの上官には撤退するように命じたはずだが命令が届いていないのか?」
「しかし!」
「そなたら王国騎士団には本宮に戻り警護に戻れと申したのだ。側妃と王子の警護はアストルム騎士団に命じた、わかったらすぐに下がれ。」
「か、かしこまりました。」
なんとも言えない表情でバッカスは騎士団を連れてその場を去っていく。
ノアはその時兄のフォンとすれ違いざまに視線を交し口元をニヤリとさせていた。
「王妃陛下、アストルム騎士団第十三師団ただいま参上仕りました。」
「よく来たな、そなたらの上官から手紙を受け取った時は目を疑ったが我が息子の命を一度守っている。疑いの余地はなかろうと考えたのだ、その期待を裏切るでないぞ?」
その姿はブランディーヌ王女と似ているものの威厳のある顔つきはまさに女王に相応しいものだった。
「はっ!お任せ下さい。」
クレアローズ王妃、ベルファ・アルベルト・ブランディーヌの母親であり国の母たる唯一の存在。
寛容にもアヤ皇女を側妃として迎え入れた女性。
その後も荒波を立てることなく静かに王宮にて王子たちを育て国を導いた聡明さにダリアは買っていた。
「王妃殿下、お手を煩わせてしまい申し訳ございません。」
「かまわぬ、よもや誇り高き騎士があのようにだらしないとは情けなくて声も出ぬわ。アヤ側妃には話をしてある。」
「しかし、妃殿下をあのような者たちに守らせるなど些か不安を感じますが。」
「これこれ、刺々しい物言いをするでない。こちらは王国騎士団に任せよう、同じようなヘマをするほどあの団長は愚かでは無いはずだからな。」
「かしこまりました、王宮まで使い魔に護衛させましょう。」
「なるほど、全くアストルム騎士団はいちいち有能さを見せつけてくれる。頼りになる娘を持ったな、アレは。」
「お褒めの言葉光栄でございます。」
頭を下げ王妃を見送ると別宮にいるアヤ側妃のもとへと向かった。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌌
どうやらカリムが襲撃されたことは国民の耳にも入っているらしい。
この事件の裏にセーレム公告敵対派の貴族がいるのは明白なこと。
王宮にあるアヤ側妃とカリムが住む別宮に到着すると案の定王国騎士団が待ち構えていた。
先頭にはいつかのバッカス副団長がしかめっ面で馬に乗ってこちらを睨みつけている。
ノアは裏腹にいつものにやけ顔で近づいて行く。
「何用でここに来た、ノア・モンフォーヌ。」
「どうやらカリム殿下並びにアヤ側妃の周りが不穏であると風の噂で聞きましてね。調べてみたら襲撃に遭われたというではありませんか。」
「おふたりのお命はお守りした。問題は無い。」
「その暗殺者に騎士団の者が何名か殺されたというではありませんか。それのどこが問題ないのです?」
ノアの言葉に苦虫を噛み潰したように表情を歪めるバッカス。
他の王国騎士団もざわつき始めた。
「王族のために血を流し命を落とすことになんの躊躇いがあると言うのだ。名誉な死を侮辱する気か!」
叫ぶバッカスにノアは闇の魔法を纏わせながら首を傾げると低い声で突き刺さるような言葉を言い放つ。
「王族や国民を守らなければならない俺たちが一番死んではならないのだと何故わからない?命懸けは死ぬことでは無いぞ?生きることだ。貴様たちの団長は王族のために死ねなんていうのか?」
なにも言い返せずにいる王国騎士団の横を通り過ぎようとするがバッカスが食い下がる。
「おい!話は終わっていない!そもそもお前たちアストルム騎士団のトップは学園にいるはずだ!騎士団の活動も禁じられているだろう!」
「残りのアストルム騎士団員を統率する権限はマスターからこの俺が預かっている。そんなことで王国騎士団がとやかく口を挟む権利など無いはずですよ?それに、昔に比べて王国騎士団は随分とだらしなくなったようで……」
じろりと王国騎士団を睨みつけるノアに皆が気まずそうに視線を逸らしていく。
今王国で蔓延している麻薬の取り引き。
つい最近も王国の貴族が秘密裏に違法取引している事が判明し厳粛に取りしまわれたばかりだった。
その貴族のひとりに王国騎士団の者がいた。
「未成年の騎士が集まってなんの役に立つというのだ。」
「あなた方よりは役に立つと思いますが?」
「なんだと?!」
今にも掴みかかりそうなバッカスの荒らげた声を女性の声が遮った。
「そこまでだ。」
凛とした佇まいに誠凛な声、そして王国を象徴する赤色の豪華なドレスを着た女性が眉をひそめてその場を鎮めた。
「王妃陛下……」
直ちにその場にいた全員が膝をつき頭を垂れた。
「バッカス副団長、そなたの上官には撤退するように命じたはずだが命令が届いていないのか?」
「しかし!」
「そなたら王国騎士団には本宮に戻り警護に戻れと申したのだ。側妃と王子の警護はアストルム騎士団に命じた、わかったらすぐに下がれ。」
「か、かしこまりました。」
なんとも言えない表情でバッカスは騎士団を連れてその場を去っていく。
ノアはその時兄のフォンとすれ違いざまに視線を交し口元をニヤリとさせていた。
「王妃陛下、アストルム騎士団第十三師団ただいま参上仕りました。」
「よく来たな、そなたらの上官から手紙を受け取った時は目を疑ったが我が息子の命を一度守っている。疑いの余地はなかろうと考えたのだ、その期待を裏切るでないぞ?」
その姿はブランディーヌ王女と似ているものの威厳のある顔つきはまさに女王に相応しいものだった。
「はっ!お任せ下さい。」
クレアローズ王妃、ベルファ・アルベルト・ブランディーヌの母親であり国の母たる唯一の存在。
寛容にもアヤ皇女を側妃として迎え入れた女性。
その後も荒波を立てることなく静かに王宮にて王子たちを育て国を導いた聡明さにダリアは買っていた。
「王妃殿下、お手を煩わせてしまい申し訳ございません。」
「かまわぬ、よもや誇り高き騎士があのようにだらしないとは情けなくて声も出ぬわ。アヤ側妃には話をしてある。」
「しかし、妃殿下をあのような者たちに守らせるなど些か不安を感じますが。」
「これこれ、刺々しい物言いをするでない。こちらは王国騎士団に任せよう、同じようなヘマをするほどあの団長は愚かでは無いはずだからな。」
「かしこまりました、王宮まで使い魔に護衛させましょう。」
「なるほど、全くアストルム騎士団はいちいち有能さを見せつけてくれる。頼りになる娘を持ったな、アレは。」
「お褒めの言葉光栄でございます。」
頭を下げ王妃を見送ると別宮にいるアヤ側妃のもとへと向かった。
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