悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

文字の大きさ
108 / 127
王宮内暗殺事件編

第82話 敗北者の顔

しおりを挟む
「よく来られましたね、クレアローズ様にお話しは伺っております。」

「おふたりの身は必ずお守り致します。アヤ様にいくつかお聞きしたいことが……」

 ノアが目配せをすると部下のひとりがカリムに手を差し出しその場から連れ出した。

「襲われた時、騎士団は何を?」

アヤ側妃は眉をひそめて顔を逸らすと離れたところで騎士と話しているカリムを見つめながら静かに口を開いた。

「騎士団はそもそも傍に仕えておりませんでした。当然です、わたくしたちの護衛に王国騎士団を寄越したのは同じ側妃であるミレーヌ様なのですから。」

その名前を耳にした途端ノアの表情が変わった。

ミレーヌ側妃

国王の寵愛を受けている側妃だが、身篭ったことはなくただ国王の寵妃として贅の限りを尽くしている。
そしてそのミレーヌ側妃の実家こそがガスパル家であった。
アルマの従姉妹にあたる。

「なるほど、まだ若いとはいえ未だに王の子を身ごもらないことに焦りを感じたのか。」

「そ、それは憶測です……しかし、警備の穴を開けたのは恐らくあの方かと。」

ノアは目を閉じ指を鳴らすと宮殿内の角や家具の隙間からゆらゆらと黒いモヤが目玉のようなものを取り出していく。
あまりのおぞましさにアヤ側妃は小さく悲鳴をあげるがノアは構わず再び指を鳴らして目玉を潰して消し去った。

「こ、これは……」

「護衛、もしくは監視のための魔術です。暗殺者の仕業、もしくは間者の仕業ですかね。」

「王国騎士団が護衛のために付けたものでは無いのですね?」

「えぇもちろん。何せ彼らは闇魔法を嫌いますから、いくら目先に利益があったとしてもこの方法は取らないでしょうね。でも奴らにとって邪魔な存在を一気に消し去るチャンスです、近いうちにまた襲撃するでしょう。」

不安そうに俯くアヤ側妃を横目にノアは短くため息を吐く。

「そんな顔してるからミレーヌ側妃に虐められるんですよ。」

図星だったのか更に黙りこくるアヤ側妃に他の騎士が慌ててノアの口を塞ぐ。

「師団長!自重してください!グランドマスターにも礼儀を弁えるようにと言われていたでしょう!」

「はいはい、わかってるって。ですがアヤ側妃、覚えておいてください。敗者だと思っている内は勝者にはなれません。守りたいものがあるのなら嘆くのではなく怒るべきです。それでは見回りに行ってきますので失礼します。」

そう言うとひとりの騎士を残して見回りに向かって行ったノアの背中を見つめるアヤ側妃。

「ご無礼をお許しください、少し・だいぶ?口は悪いですが師団長の言うことも間違っている訳ではありません。どうか毅然とした振る舞いでお過ごしください。」

「わかったわ、ありがとう……」



ノアは見回りながら辺りを睨みつけていた。

「師団長、先程の話は……」

「先日ベルファ殿下の元にミレーヌ側妃が訪れたらしい。誰が誰の元に暗殺者を送っているかなんて調べなくてもわかることだ。」





𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌌





しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

死に戻ったら、私だけ幼児化していた件について

えくれあ
恋愛
セラフィーナは6歳の時に王太子となるアルバートとの婚約が決まって以降、ずっと王家のために身を粉にして努力を続けてきたつもりだった。 しかしながら、いつしか悪女と呼ばれるようになり、18歳の時にアルバートから婚約解消を告げられてしまう。 その後、死を迎えたはずのセラフィーナは、目を覚ますと2年前に戻っていた。だが、周囲の人間はセラフィーナが死ぬ2年前の姿と相違ないのに、セラフィーナだけは同じ年齢だったはずのアルバートより10歳も幼い6歳の姿だった。 死を迎える前と同じこともあれば、年齢が異なるが故に違うこともある。 戸惑いを覚えながらも、死んでしまったためにできなかったことを今度こそ、とセラフィーナは心に誓うのだった。

転生ヒロインは悪役令嬢(♂)を攻略したい!!

弥生 真由
恋愛
 何事にも全力投球!猪突猛進であだ名は“うり坊”の女子高生、交通事故で死んだと思ったら、ドはまりしていた乙女ゲームのヒロインになっちゃった! せっかく購入から二日で全クリしちゃうくらい大好きな乙女ゲームの世界に来たんだから、ゲーム内で唯一攻略出来なかった悪役令嬢の親友を目指します!!  ……しかしなんと言うことでしょう、彼女が攻略したがっている悪役令嬢は本当は男だったのです! ※と、言うわけで百合じゃなくNLの完全コメディです!ご容赦ください^^;

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!

こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。 そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。 婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。 ・・・だったら、婚約解消すれば良くない? それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。 結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。 「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」 これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。 そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。 ※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。 ※本編完結しました。 ※後日談を更新中です。

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

「君は有能すぎて可愛げがない」と婚約破棄されたので、一晩で全ての魔法結界を撤去して隣国へ行きます。あ、維持マニュアルは燃やしました。

しょくぱん
恋愛
「君の完璧主義には反吐が出る」――婚約者の第一王子にそう告げられ、国外追放を命じられた聖女エルゼ。彼女は微笑み、一晩で国中の魔法結界を撤去。さらに「素人でも直せる」と嘘を吐かれた維持マニュアルを全て焼却処分した。守護を失いパニックに陥る母国を背に、彼女は隣国の軍事帝国へ。そこでは、彼女の「可愛くない」技術を渇望する皇帝が待っていた。

目覚めたら大好きなアニメの悪役令嬢でしたが、嫌われないようにしただけなのに全員から溺愛されています

月影みるく
恋愛
目を覚ましたら、大好きだったアニメの世界。 しかも私は、未来で断罪される運命の悪役令嬢になっていた。 破滅を回避するために決めたことはただ一つ―― 嫌われないように生きること。 原作知識を頼りに穏やかに過ごしていたはずなのに、 なぜか王族や騎士、同年代の男女から次々と好意を向けられ、 気づけば全員から溺愛される状況に……? 世界に一人しかいない光属性を持つ悪役令嬢が、 無自覚のまま運命と恋を変えていく、 溺愛必至の異世界転生ラブファンタジー。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

処理中です...