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王宮内暗殺事件編
第83話 溢れ者同士
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アヤ側妃主催のアフタヌーンティーパーティ。
13歳となったカリムも社交界に顔を出し始めていたため彼も参加していた。
だがディシュタイン人とは違う肌の色、瞳の色を好奇の目に晒されるため本人は参加を嫌がった。
しかし母の強い頼みとあって仕方なく参加することとなった。
(アルベルト兄上は魔術学校だし、ベルファ兄上もクロウリー公爵の娘に夢中だし。噂話の好きな女共に付き合わなければいけないなんて。この間の暗殺事件からいっそう騒がしくなったし……)
カリムの予想通り煌びやかなドレスを着た令嬢や夫人が視線だけチラリと見てはコソコソと談笑するの繰り返しをしていた。
中には同い年くらいの令嬢も参加しており感情さまざまにカリムを見ていた。
「みてあの肌の色、セーレム人は皆ああいう肌色らしいわよ。」
「まぁ!だから王族の血が流れているにも関わらず闇魔法なんて使うのね。」
わざわざ聞こえるように話す令嬢に拳を強くにぎりしめている。
(好きで生まれてきたわけじゃない!こんなところ、兄上たちがいなければ母上を連れて直ぐに出ていってやるのに!)
「あら?ご令嬢方は闇魔法がお気に召されませんか?」
陰口を叩いていた令嬢たちが怪訝そうに振り返るとそこにはヒナ・クロウリーの姿があった。
今まで陰口を叩いていた令嬢たちは驚きはするものの相手がヒナだとわかりすぐに嘲笑を浮かべて嫌味を口にしていた。
「誰かと思えばヒナ嬢ではありませんか。残念でしたわねぇ、平民の出だから神殿にも門前払いされて更には伯爵家のご令嬢が姉として幼女に迎え入れられたのだからさぞかし大変な思いで過ごされていることなのでしょうね。」
険悪な雰囲気にカリムや周りの貴族たちが不安そうに見守る中、ヒナも構わず笑みを浮かべると片手を上げながら目の前にいる令嬢に続ける。
「これから大変な思いをされるのはそちらではなくて?ザルム姫君。」
「は?何を言って!」
「教養のない文句を殿下に聞かせないでくださいな、人の見た目など違って当然でしょう。貴女の家門もセーレムとの取引で成り立っていること知らないのですか?それに闇魔法はわたしの姉、ダリア・クロウリーが得意とする魔法です。誰であろうとお姉様を侮辱することは許しません!」
ヒナの言葉とともにヒナの背後からノアが率いる騎士たちがゆっくりと歩み寄ってくる。
青ざめた令嬢たちはそのまま逃げるように去っていった。
「ヒナお嬢様も団長に似てきましたね~」
「そうですか?お兄様の方が威厳があると思いますが。」
「皆さんの力を借りないと追い払えない未熟者ですよ。それより、アヤ妃殿下が不安そうにこちらを見ているので安心なさるよう伝えてください。」
「承知致しました。」
アヤ皇妃の元に向かうノアを見送るとヒナはカリムに視線を向けると歩み寄りケーキが乗った皿を差し出した。
「初めまして、カリム殿下。ケーキはいかがですか?」
「……何が狙いだ?」
「狙い、ですか?」
「俺なんかに音を売ったって何にもならないぞ。それとも兄上たちに媚びを売りたいのか?」
「あに、うえ。アルベルト殿下の事ですか?そんな、あの方はダリアお姉様に夢中ですから。」
「お姉様?それじゃあお前は……」
「はい、クロウリー公爵家が三女。ヒナ・クロウリーでございます。」
「……そんな奴がなんで俺に。」
「不愉快な言葉が聞こえてきたので止めたまでです。」
優しく微笑むヒナにカリムは目を見開いた。
ヒナから皿を受け取るとケーキをひと口食べると少し表情が和らいでいた。
(確かこいつも母親が平民で、公爵家に引き取られたばかりの時は大変だったって母上が。)
自分と似た境遇、いやそれ以上に風当たりの強い環境で過ごしたであろうヒナの心の強さに感心していた。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹🌌
13歳となったカリムも社交界に顔を出し始めていたため彼も参加していた。
だがディシュタイン人とは違う肌の色、瞳の色を好奇の目に晒されるため本人は参加を嫌がった。
しかし母の強い頼みとあって仕方なく参加することとなった。
(アルベルト兄上は魔術学校だし、ベルファ兄上もクロウリー公爵の娘に夢中だし。噂話の好きな女共に付き合わなければいけないなんて。この間の暗殺事件からいっそう騒がしくなったし……)
カリムの予想通り煌びやかなドレスを着た令嬢や夫人が視線だけチラリと見てはコソコソと談笑するの繰り返しをしていた。
中には同い年くらいの令嬢も参加しており感情さまざまにカリムを見ていた。
「みてあの肌の色、セーレム人は皆ああいう肌色らしいわよ。」
「まぁ!だから王族の血が流れているにも関わらず闇魔法なんて使うのね。」
わざわざ聞こえるように話す令嬢に拳を強くにぎりしめている。
(好きで生まれてきたわけじゃない!こんなところ、兄上たちがいなければ母上を連れて直ぐに出ていってやるのに!)
「あら?ご令嬢方は闇魔法がお気に召されませんか?」
陰口を叩いていた令嬢たちが怪訝そうに振り返るとそこにはヒナ・クロウリーの姿があった。
今まで陰口を叩いていた令嬢たちは驚きはするものの相手がヒナだとわかりすぐに嘲笑を浮かべて嫌味を口にしていた。
「誰かと思えばヒナ嬢ではありませんか。残念でしたわねぇ、平民の出だから神殿にも門前払いされて更には伯爵家のご令嬢が姉として幼女に迎え入れられたのだからさぞかし大変な思いで過ごされていることなのでしょうね。」
険悪な雰囲気にカリムや周りの貴族たちが不安そうに見守る中、ヒナも構わず笑みを浮かべると片手を上げながら目の前にいる令嬢に続ける。
「これから大変な思いをされるのはそちらではなくて?ザルム姫君。」
「は?何を言って!」
「教養のない文句を殿下に聞かせないでくださいな、人の見た目など違って当然でしょう。貴女の家門もセーレムとの取引で成り立っていること知らないのですか?それに闇魔法はわたしの姉、ダリア・クロウリーが得意とする魔法です。誰であろうとお姉様を侮辱することは許しません!」
ヒナの言葉とともにヒナの背後からノアが率いる騎士たちがゆっくりと歩み寄ってくる。
青ざめた令嬢たちはそのまま逃げるように去っていった。
「ヒナお嬢様も団長に似てきましたね~」
「そうですか?お兄様の方が威厳があると思いますが。」
「皆さんの力を借りないと追い払えない未熟者ですよ。それより、アヤ妃殿下が不安そうにこちらを見ているので安心なさるよう伝えてください。」
「承知致しました。」
アヤ皇妃の元に向かうノアを見送るとヒナはカリムに視線を向けると歩み寄りケーキが乗った皿を差し出した。
「初めまして、カリム殿下。ケーキはいかがですか?」
「……何が狙いだ?」
「狙い、ですか?」
「俺なんかに音を売ったって何にもならないぞ。それとも兄上たちに媚びを売りたいのか?」
「あに、うえ。アルベルト殿下の事ですか?そんな、あの方はダリアお姉様に夢中ですから。」
「お姉様?それじゃあお前は……」
「はい、クロウリー公爵家が三女。ヒナ・クロウリーでございます。」
「……そんな奴がなんで俺に。」
「不愉快な言葉が聞こえてきたので止めたまでです。」
優しく微笑むヒナにカリムは目を見開いた。
ヒナから皿を受け取るとケーキをひと口食べると少し表情が和らいでいた。
(確かこいつも母親が平民で、公爵家に引き取られたばかりの時は大変だったって母上が。)
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