悪役令嬢の心変わり

ナナスケ

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王宮内暗殺事件編

第84話 ミレーヌ側妃

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お茶会がそろそろお開きになろうかというその時、思いがけない客人が姿を現した。
花のようなピンクの髪に同じ色の瞳、その目には自信という感情が宿っており。
周りに愛想を振りまくその姿はそこら辺の男性ならつい応えてしまうだろう魅力。

だが彼女の愛を手にできるのはこの国の王のみ。

側妃、ミレーヌ・ディシュタイン。

「ミレーヌ様!本日はご都合が悪いと伺いましたが起こしくださったのですね!」

「えぇ、風の噂でアヤ様がいらっしゃっていると伺ったものですから。」

ミレーヌと目が合い思わず目を逸らすアヤの元に素早く歩み寄っていく。

「心配したんですよ、曲者に殺されかけたって聞いて!もうお加減はよろしいんですか?まだ別宮でお休みになっていた方がよいのでは?」

クスクスと嘲笑しながら心配するふりをするミレーヌにアヤの表情は曇っていくばかり。

「カリム殿下もそろそろ別宮を出てどこかの騎士団にご入団される年頃になって参りましたし、おひとりで過ごされるのにはとても心細いことでしょう!あ、でもカリム殿下は闇属性だから王国騎士団には入れないのかな?」

クスリと笑みをこぼすミレーヌの前にノアが現れアヤの手を取る。

「妃殿下、そろそろお暇致しましょう。おや、これはこれはミレーヌ側妃殿下ではありませんか。護衛も付けずにお越しになったのですか?」

不敵な笑みを浮べるノアを前にしてミレーヌは不満そうな表情で苦言を漏らす。

「一介の騎士がこのわたしに声をかけないでよ。わたしはアヤ側妃に話してんのよ、引っ込んでなさい!」

「これは失礼致しました、ですがアヤ妃殿下はもう別宮にお戻りにならないといけませんので。」

ノアは「さぁ、妃殿下。」と手を差し出すとその手を取りふたりはその場を後にした。
アヤをエスコートする姿を見てほかの令嬢たちは感嘆の声を上げていた。

「モンフォーヌ卿にお会い出来るなんて!」

「紳士的なのにどこか野性的なところがあって……あの影のある表情も素敵ですわ!」

「アストルム騎士団の方々は何故あんなにも美しい方がいらっしゃるのかしら!」

「今魔術学園には騎士団の方々がお揃いなのでしょう?勉強など身に入りませんわよね!」


その様子を得意げに見守るヒナは我に返りカリムに手を差し出した。

「殿下のお母さまもお帰りになるようですしわたしたちも帰りましょう。」

「お前も帰るのか?」

「はい、もうこちらには用はないので。」

「そうか。」

ヒナの手を取りふたりも帰りの馬車の元へと向かう。
ヒナが馬車に乗り込むのをエスコートするカリムをアヤとノアが見守っていた。

「まぁ、あの子がわたし以外の人をエスコートするなんて。素敵だわ。」

「殿下も男として成長しているということですね。もうひとりの公女様に続いて、全く……マスターが泣きますよ。」





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