60 / 66
小さき呪い
第五十九話
しおりを挟む
頭の中に不思議な声が響く。
『おいで おいで こちらへおいで』
上手く考えることが出来ない。
まるで霧の中にいるかのようだ。
霧の中で見えるのは1人の黒くずめの男が薔薇を差し出しながら私を導くかのように話しかけてくる。
あぁ、ここから出られるのかな?
ここから出て彼に会うことが出来るのかな?
この手を取って共に行けば彼を救える?
この歌に身を任せれば、、、、
「、、、、、、ズ! ローズっ!!!!!行くなっ!!!!」
でも、、、行かないと。もう自分のことしか考えられない娘でいるのは嫌っ!
「、、むっ!行かないでくれ!頼むっ!!!!!」
「?!」
気付けば涙が溢れていた。
背後から聞こえる愛しい人の声に胸が苦しくなる。
ゆっくりと振り返るとそこには横たわる自分の姿と自分を抱く愛しい彼の姿。
「、、、、リアム?それに、私?」
『やるべき事はある、しかし今ではないんだよローズ。お前は帰るべきところに帰りなさい。』
声のする方に視線を向けるとそこには白いマントを羽織った人がいた。顔はフードのせいで見えずただ優しい声がローズに語り掛けていた。
『さぁ、、、お前の行くべき道はあちらだよ。』
マントの人物は後ろの方を指し示す。
『耳をすましてごらん、お前を待つ者の声が聞こえるはずだ。』
そう言うと暖かい温もりに包まれ微睡んでいく。
「、、、、ない、、、すまない。」
うっすらと目を開けると苦しそうに自分の手を握るリアムの姿。
ひたすら「すまない」と言っているようで握られている手を握り返すとリアムも目を開ける。
その目からは涙がこぼれローズの頬に落ちる。
「り、、、あむ?泣いているのですか?」
「ローズっ、、、、」
力強く抱きしめるリアムに「苦しいです」
と訴えるが「もう少しだけ、、、」と言って暫くローズを離してやらなかった。
暫くするとシエルとテンプス領から急いで
帰ってきたノエルが部屋に飛び込んで来た。
「あなたたち、、、」
ノエルは泣き叫びながらローズに抱きつきシエルはその場で涙をグッと堪えようとそっぽを向きながら拳をにぎりしめる。
「な、みんな?」
「すまなかった。ローズ、、、」
「リアム?もう怒っていませんか?」
「あぁ、、、怒ってないとも。」
リアムはローズの温もりを確認しながら優しく強く抱きしめる。
「だが、、、、約束してくれ。もし、、また俺が我を失うようなことがあれば構わず逃げると。俺が何より辛いのはお前をこの手にかけること。獣の呪いよりも何よりも、お前を失うことが一番耐え難いんだ。」
「、、、分かりました。」
むかしむかし、ある村に狼の呪いを受けた男がいた。その呪いは小さいがとても強力で日に日に理性を保てる時間が短くなっていった。
ある日狼に変身し理性をなくした男は、自分の妻と子供を殺そうとした。
妻は子供を抱き抱えながら雪が降る森の中へと逃げていった。
『素敵なお話でしょ?呪いっていうのは相手を不幸にするための災厄さ。強力な呪いはすぐに相手を殺す力なんかじゃない。ジワジワと相手を苦しめる力を持つのが強い呪いってもんだ。呪いと世界の理というものは実に似ている。どちらも後世に多大な影響を及ぼすだろう?だからね、小さいからと言ってバカにしちゃあいけない。小さいからと侮っちゃあいけない。』
次回に続く!
『おいで おいで こちらへおいで』
上手く考えることが出来ない。
まるで霧の中にいるかのようだ。
霧の中で見えるのは1人の黒くずめの男が薔薇を差し出しながら私を導くかのように話しかけてくる。
あぁ、ここから出られるのかな?
ここから出て彼に会うことが出来るのかな?
この手を取って共に行けば彼を救える?
この歌に身を任せれば、、、、
「、、、、、、ズ! ローズっ!!!!!行くなっ!!!!」
でも、、、行かないと。もう自分のことしか考えられない娘でいるのは嫌っ!
「、、むっ!行かないでくれ!頼むっ!!!!!」
「?!」
気付けば涙が溢れていた。
背後から聞こえる愛しい人の声に胸が苦しくなる。
ゆっくりと振り返るとそこには横たわる自分の姿と自分を抱く愛しい彼の姿。
「、、、、リアム?それに、私?」
『やるべき事はある、しかし今ではないんだよローズ。お前は帰るべきところに帰りなさい。』
声のする方に視線を向けるとそこには白いマントを羽織った人がいた。顔はフードのせいで見えずただ優しい声がローズに語り掛けていた。
『さぁ、、、お前の行くべき道はあちらだよ。』
マントの人物は後ろの方を指し示す。
『耳をすましてごらん、お前を待つ者の声が聞こえるはずだ。』
そう言うと暖かい温もりに包まれ微睡んでいく。
「、、、、ない、、、すまない。」
うっすらと目を開けると苦しそうに自分の手を握るリアムの姿。
ひたすら「すまない」と言っているようで握られている手を握り返すとリアムも目を開ける。
その目からは涙がこぼれローズの頬に落ちる。
「り、、、あむ?泣いているのですか?」
「ローズっ、、、、」
力強く抱きしめるリアムに「苦しいです」
と訴えるが「もう少しだけ、、、」と言って暫くローズを離してやらなかった。
暫くするとシエルとテンプス領から急いで
帰ってきたノエルが部屋に飛び込んで来た。
「あなたたち、、、」
ノエルは泣き叫びながらローズに抱きつきシエルはその場で涙をグッと堪えようとそっぽを向きながら拳をにぎりしめる。
「な、みんな?」
「すまなかった。ローズ、、、」
「リアム?もう怒っていませんか?」
「あぁ、、、怒ってないとも。」
リアムはローズの温もりを確認しながら優しく強く抱きしめる。
「だが、、、、約束してくれ。もし、、また俺が我を失うようなことがあれば構わず逃げると。俺が何より辛いのはお前をこの手にかけること。獣の呪いよりも何よりも、お前を失うことが一番耐え難いんだ。」
「、、、分かりました。」
むかしむかし、ある村に狼の呪いを受けた男がいた。その呪いは小さいがとても強力で日に日に理性を保てる時間が短くなっていった。
ある日狼に変身し理性をなくした男は、自分の妻と子供を殺そうとした。
妻は子供を抱き抱えながら雪が降る森の中へと逃げていった。
『素敵なお話でしょ?呪いっていうのは相手を不幸にするための災厄さ。強力な呪いはすぐに相手を殺す力なんかじゃない。ジワジワと相手を苦しめる力を持つのが強い呪いってもんだ。呪いと世界の理というものは実に似ている。どちらも後世に多大な影響を及ぼすだろう?だからね、小さいからと言ってバカにしちゃあいけない。小さいからと侮っちゃあいけない。』
次回に続く!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在
唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話
中山加恋(20歳)
二十歳でトオルの妻になる
何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛
中山トオル(32歳)
17歳の加恋に一目ぼれ
加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する
加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる
会社では群を抜くほどの超エリートが、
愛してやまない加恋ちゃんに
振り回されたり落ち込まされたり…
そんなイケメンエリートの
ちょっと切なくて笑えるお話
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる