魔女の弟子ー童貞を捨てた三歳児、異世界と日本を行ったり来たりー

盾乃あに

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黒の魔女の恐怖

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「サンダーボール」
 俺の放った魔法でファングボアが痺れて動けなくなる。
「っせや!」
 スティールソードで首を斬りつけファングボアは痙攣し力尽きる。

 あれから五年が経つ。
 ルーからの訓練は相変わらずキツいが、ようやく俺も一人でやれる事が多くなった。
「肉取って来たぞー」
「よくやった。良い子だ」
「子供扱いするなよ!もうアラサーだぞ」
「八歳だろ?」
「身体はな!」

 身体は八歳だが、中身はもう二十七だぞ。
 
 昼食にファングボアのステーキを食っているとルーが一息ついて話し出す。
「さて、ファングボアも倒せるようになってきたし。ダンジョンにでも行ってみようか?」
「おぉ!ようやく冒険っぽくなって来たな!」
 これまでは剣術と魔法の稽古に近くのモンスター狩り、魔導脈の拡張はきつかったなぁ。

「まぁ、初級ダンジョンだし、死ぬことはないだろうが気を抜くと痛いしっぺ返しをくらうことになるぞ?」
「いままでも死にそうになったことが何回もあったが?」
「そりゃ稽古だから死ぬことはなかっただろ?ダンジョンは手加減なしだぞ?」
 それもそうか、なんだかんだでルーも手加減してくれてたしなぁ。
「ダンジョンは午後から、午前中はいつも通りだからな?」
「は?魔導脈もまだやるのか?」
「当たり前だろ?十五歳までは続けるぞ」

 ようやく終わったと思ったのにこれだよ。やってられねぇな。

「っと、あんま気にしててもいけねぇな。ダンジョンって近くにあるのか?」
「少し遠いから私が連れてってやる。最初は私もついて行くからな」
 
 食休み後にルーの転移魔法で初級ダンジョンへ。
「スッゲェ!ここが街かよ」
「ここはスタンヴェールってダンジョン街さ、栄えてるのはダンジョン産業が活発だからだよ」

 道行く人はエルフ、ドワーフ、ケモ耳、もちろん人間もいる。カラフルな防具やゴツい大剣など見ていて飽きない。

「うっし!ダンジョンにレッツゴー!」
「待て、まずはダンジョン用の道具を買いに行くに決まってるだろ。裸で行けるほどダンジョンは甘くないぞ?」
「はーい!んで?何買ってくれるの?」
「初心者装備と自動マップ、あとは水に携帯食料なんかだな」

 初心者装備は革の防具にスティールソード、革の盾だった。自動マップは羊皮紙の四隅に小さな魔石が付いていてダンジョン内で作動させるとマッピングしてくれる優れものだ。八歳には大きめのリュックには水筒と携帯食料。

「うん、なんとか様になったようだね」
「まぁ、動きにくいのはしょうがないか。んじゃあらためてレッツゴー!」
「はぁ、さっさと行くよ」
 ノリが悪いなぁ。

 街の真ん中に小高い山があり、階段を登るとゲートがある。それを潜るとダンジョンに入れるらしい。

 初級 ノリスダンジョン一層。
 このダンジョンはノリスダンジョンと言って初めて最下層を突破した人の名前がつけられるらしい。ここを突破したノリスさんって有名みたいだ。

「せやっ!」
 洞窟型のダンジョン内は、思ったより明るく見通しはいい。一層は出てくるのもスライム、ゴブリンだけとのことで気負いせず進む。
「ん?なんだこれ?」
「スライムゼリーだね、そう言うのをドロップ品って言ってギルドで買い取って貰うんだよ」
「あぁ、だからこんなデカいリュックなのか」
「しっかり稼いでいけるように頑張りな」
「おう!」

 自動マップを見ながら、時折出てくるモンスターを倒し、ドロップを拾う。
「今日はお試しで二層への階段で折り返して帰るよ」
「えぇー、スライムとゴブリンだけじゃねぇかよ」
「んなこと言ってると足元掬われるよ」

 順調に二層の階段を見つけ、折り返してダンジョンを出る。
「ギルドに売りに行くのか?」
「まぁ、そうするかね。本当は十歳からしか登録できないんだが、私のギルドカードで売ってあげる」
 
 街の大通りを歩いて行くと剣と盾の看板が見えてくる。冒険者ギルドがここらしい。
 中に入ると右側の壁には雑に貼られた依頼書があり。左側には食堂のようなもの、正面はカウンターになっている。
「売りに来た」
「はい、それではこちらにお出しください」
 受付のお姉さんがカゴを置くので、そこにドロップ品を入れていく。

「スライムゼリーにゴブリンの魔石ですね。ゼリーが20に魔石が21で全部で5150ルビーですね」
「それでいい」
「ではギルドカードを」
「ん」
「ひっ!……す、すいません。そ、それではこれが5150ルビーです」
 カードを見るなり怯えるお姉さん。そんなに黒の魔女ってのは怖いのかね?
「ありがとさん」
「ありがとうございます」
 お姉さんはペコペコと頭を下げていた。

「なぁ?ルーはなんであんなに怖がられるんだ?」
「ん?私には分からないよ。しいて言えば王様を半殺しにしたくらいさ」
「いや、ダメだろ」
「いいんだよ、自分が若返るために私を殺そうとしたんだからね」

「あ、あぁ、自業自得ってやつね」
 それでも国王を半殺しはまずいでしょ。
 
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