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十五歳、中身は
しおりを挟む「コタロー君はいま何階層にいるの?」
「ん?今は十ニ層だよ」
「だよねー……って、昨日冒険者登録したばっかりじゃない!そんな深くに潜ったらダメでしょ!」
ギルドのお姉さんはマジで怒ってらっしゃる。
「いや、これでも今日は軽く流して来ただけですよ」
「はぁ、いくら黒の魔女のポーターしてたからって自分が強くなったわけじゃないんだからね?もっと命を大事にして」
「心配してくれてありがとうございます。でも大丈夫なんで」
俺もようやく十歳になり、ギルド登録をした。翌日から初級ダンジョンを攻略したらまずいかと思って十ニ層で止めといたんだが不味かったらしい。
「まぁ、生きて帰ったから良かったけど。じゃあ換金するわね。大量だからこれ持って待っといてね」
木札を渡されてギルド内のベンチに座る。
「おう。黒の魔女は今日はいないのか?」
髭もじゃの片目が潰れてるゴツいおっさんが話しかけてくる。
「今日からはひとりだよ」
「そっか、期待のルーキーなんだから早死にするなよ?」
「分かったよギルマス」
強面のおっさんはここのギルドマスターでマイケルっていう名前だ。なんだかんだで俺を気にしてくれている。
「で?今日は攻略してきたのか?」
「初日から攻略したらミルキーさんに怒られるから十ニ層まででやめといたよ」
ミルキーさんは受付のお姉さんだ。金髪で可愛らしい顔をしているギルドの看板娘。
「はっ!いまさらだな。さっさと攻略して中級に行ってこい」
「まぁ、急がなくてもダンジョンは逃げないしね。ゆっくりやるよ」
ルーが一緒じゃないからゆっくりやるさ。
「そうか。ならなんにも言わねーがな」
そう言ってギルマスは階段を上がっていく。
換金してもらい家に帰る。
「コタロー、今日は攻略してきたんだろ?」
「初日からするかよ!ミルキーさんにぶっ飛ばされるぞ!」
帰ったと思えばこれだ。
「はぁ?さっさと攻略してきなさい!別にギルドは関係ないでしょ!」
「関係あるっつーの!どこの十歳が初日からダンジョン攻略すんだよ!」
ルーから扱かれてたから初級ダンジョンなんかいつでも攻略できるが、そんなことして目立ちたくない。
「ふぅー、この根性無し」
「うっせー、若作り!」
「よーし、その喧嘩買った!」
「わ!たんま!ごめん!」
その後しこたまどつき回された。
「ごばんでぎまじだ」
「ご苦労!回復魔法はまだ禁止な!」
「ばい」
ボコボコの顔で飯を作りルーに差し出す。この女手加減をしらんのか!
「明日はダンジョン攻略してきな。その防具も明日買いにいってくるんだよ」
そういえばこの防具も小さくなってきたからな。
「ん!」
「なんだい?」
「金くれよ」
「それくらい自分で稼ぎな!攻略すればすぐだろう」
はぁ、ケチババアめ!
「なんか言ったか?」
「ケチ」
「あぁ?」
「じょーだんだよ」
ふぅ、悪口言うのも命懸けだ。
次の日は初級ダンジョンを攻略した。
もちろんミルキーさんには怒られた。
「長かった……」
俺は十五歳になった。
「おめでとう、コタローも立派な大人の仲間入りだねぇ」
「はっ!日本ではまだ義務教育中だぞ!てか、日本に返せよ」
「いまなら自力で帰れるだろ?あんたがいた頃とはちょっと変わってるだろうけど」
転移魔法で帰れるのか?
「ちょっと待て、こことあっちはどれくらい時間差があるんだ?」
「地球の十分の一の時間でこっちは動いてるから一年ちょいくらいじゃないか?」
十分の一か、それなら二十二歳まで待った方がいいか?
「はぁ、まぁそれなら二十二歳までまってから帰るか?いまから帰るか?……それよりなんか若くなってないか?」
ルーは俺と同じ歳くらいに見える。
「あぁ、ちょうどいい爺さんをみつけたからちょっとね」
「また犠牲者が出たのか」
「失礼な!ちゃんと同意の上よ」
本当かよ?まぁ、爺さんなら少しくらい若返っても問題はないだろ。
「んじゃ、俺はいくぞ?」
「行ってらっしゃい、また会いましょう」
「やだね!じゃあ元気でな!」
「お互いにね!」
ようやくあの地獄の日々から逃れられた。
ほんとによく生きてたよ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
コタロー 十五歳
レベル53
力 A+
体 B
速 A
魔 A-
運 C+
黒の魔女の弟子
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
んで、これが俺のステータス。
色々簡略化されてるから正直どうでもいいが強くなったと思う。
スキルなんかはちゃんとした教会でないと分からないらしいが、ルーが教えてくれたことは身に付いているからわざわざ見に行く必要もない。
まずはブラブラしながらミルキーさんに会いにいくかな。
『キャァァァァ!』
ん?これはテンプレの予感!
「今行くぞ!」
声のした方に森を抜けて行くとゴブリンの集団に囲まれた馬車が、
「って、ただのゴブリンじゃねーか。あれなら騎士達で大丈夫だろ」
木の影からそっと見守ると騎士が弱すぎる。
「あ…あっさり負けてるじゃねーか」
しょーがないから助けに入ってゴブリンを瞬殺する。あと騎士達に一応回復魔法をかける。
「か、辱い。ゴブリン如きに遅れをとるとは」
「本当だよ。ゴブリンだぜ?」
「面目ない」
騎士達はヨロヨロと起き上がる。
「まぁ、命あって良かったな。んじゃ」
「ま、待ってください!」
女の子の声がして振り向く。
「森を抜けるまでご一緒して下さいませんか?」
「はい、喜んで!」
いやぁ、テンプレ通りの可愛い女の子だ。
銀髪に大きな瞳に泣きぼくろ、お胸も立派なこと。着ているものも高級そうだ。
「シラン!デール!貴方達は何をやっているのです!それでも騎士ですか!」
「「すいません!」」
騎士達は頭を下げて震えている。
「帰ったらお父様に言って変えてもらわなきゃ」
「「「「……」」」」
あーぁ、そんな風に言ったらあかんのに。
「やめだ。お前らもやめるだろ?」
「当たり前ぇー、てかこいつだれよ?せっかくゴブリンに殺させようと思ったのに」
騎士じゃないならしょーがないよなぁ。
「え?何を言っているの?」
「お嬢様はわかってねぇな!ゴブリン如きにやられるわけねぇだろ?やられたフリだよ」
「おい、お前も運がねぇな」
俺に向かって剣を振ってくる騎士擬き。
ゴブリンにやられたフリして襲わせる気だったのだろう。これもテンプレ?
「避けるなこの!」
「いや、避けるだろ?そして反撃」
「うぐぁっ」
突きを避けて袈裟斬り。
「テメェ!」
振り上げたところを懐に入り腹を刺す。
「あと二人か」
挟み撃ちだが前の男の剣を弾き、背後の男を斬ると前の男を下から切り上げる。
「終了……さて、森を抜けるまでで?」
「いえ、できれば屋敷までお願いします。報酬は屋敷にて払います」
すこし震える声で、でも凛とした表情は崩すことなくお嬢様は声を出した。
「わかりました、コタローといいます。よろしくお願いします」
「シャイン・バレンシアです。シャインでお願いします」
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