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日本に帰郷
しおりを挟む森を抜けてスタンヴェールに到着。
「今日はこの宿にします。明日の朝にはここに集合なさってください」
執事のサザンさんに言われ、同じ宿にチェックインし街をぶらつく。
「ギルドにでも顔出すか」
「あら!コタロー君!」
「ミルキーさん久しぶりです」
初級ダンジョンを攻略後、中級も攻略すると他の街に移り上級の攻略をしていたから久しぶりにこの街のギルドにやって来た。
「お、コタロー」
「ギルマスも久しぶりです」
いつ見てもイカちぃおっさんだ。
「さっさと上級にいっちまいやがって」
「すいません」
「だっはっは、いいってことよ。お前が顔出さないからミルキーが心配してたぞ」
「ギ、ギルマスぅー」
ミルキーさんは顔を真っ赤にしている。
「まぁ小さい頃から知ってるしな」
「そ、そうですよ!コタロー君もたまには顔出しなさい!」
「うっす」
こう言うのがいいんだよ、ほっこりしてさ。今日の騎士擬きみたいな悪人だけじゃないんだよな。
「んで?なんでこの街に来たんだ?」
俺は経緯を話し、ここだけの話にしてもらった。
「なんだそりゃ、バレンシアっていやぁ子爵様だぜ。そんなとこの騎士がねぇ」
「へぇ、シャインって偉いとこの子だったんだな」
「まぁ、シャイン・バレンシアは三女だから継承権もないし、そんなとこを狙われたんだろうな」
へぇ、ギルマスともなると色々知ってるんだな。
「まぁ、お前がいれば子爵領まで安全だな」
「俺としては他にも雇って欲しいもんですがね」
「人数がいるとどうしてもな、ギルドにも依頼しないとなると急ぎのようだし」
まぁなんとかなるでしょ。
ギルマス達と別れ、食料や不足している品を補充していく。ルーに教えてもらったアイテムボックスはとても便利だ。
翌朝は天気も良く、旅日和だ。
「シャインは寝れたのか?」
「えぇ。キチンと寝ないと疲れてしまいますから」
「そうか!バレンシア子爵領までよろしくな」
「はい、頼りにしてますわ」
途中にある村々で二泊し、ようやくバレンシア子爵領に入ると騎士が出迎えてくれ、俺は最後尾になる。
「この度は娘のシャインを守ってくれ、感謝する。報酬をここに」
「はっ!」
「ほかに要望はあるか?」
貴族ってのはこんなもんなのかねぇ。
「いいえ、ありません」
報酬さえもらえりゃこっちはどうでもいいや。
「コタロー!」
「シャイン様?」
屋敷を出ようとするとシャインが寄ってくる。
「様はいらないわ。貴方、私の専属護衛にならなくて?」
「は?いやいや、俺はこう言う旅がしたいだけですのでお断りさせて頂きます」
断られると思ってなかったのか、ポカンと口を開けるシャイン。
「じゃ、失礼します」
「ま、待って!専属なのよ?」
「はい、だから私はノーと言いました」
「あ、あ、あとで言ってきても知らないんだからね!」
「はい、それでは」
可愛らしいけど、世間知らずは嫌だしなぁ。後ろで癇癪を起こしてるが気にせず館を後にする。
さてこれからどうするか?
そうだ、日本に帰ろう!
別に二十二歳まで待つ必要がどこにあったのか?まぁ、身分証などは使えないが、帰ってみてから考えればいいし、俺がどうなってるかも確認とらないとな。
「転移」
「おぉ!あの公園だ!」
ビックリして固まっている子供を無視して公園を出る。
「やばいやばい、そりゃだれかいるよな」
それにしてもこのビル群や狭い空が懐かしく感じる。
「くぅー、帰ってきたぞ!」
小さな声でそう叫ぶと、とりあえずどうするかを考える。アイテムボックスからあの時着てた服を取り出してトイレで着替える。
「ブカブカだけどしょーないか」
ベルトを締め上げ、シャツを中に入れる。
財布の中には二万五千はあるし、カードもある。
「とりあえず服だな。次にスマホの充電っと」
ウニクロで服と靴を買い、コンビニで充電器を買う。スマホの電源を入れると着信履歴やらメールやらが溜まっていた。
「うぉっ!まだ繋がってるな。親父が払ってくれてたのか?……会社はクビみたいだな。まぁ、これはしゃーないか」
スマホが繋がっているだけありがたい。とりあえず親父に電話しておこう。
「こんのバカ息子がぁーー!」
スマホを耳から遠ざけておいてよかった。口だけ寄せて話をする。
「心配かけてごめん。俺も連絡の取りようがなかったんだ」
「なぁにがじゃ!どうにかして連絡くらいせんかぁ!」
まだまだ勢いよく喋る親父。
「で?いま何処におる?」
「いま?いまは元会社の近くにおるけど」
「家はそのままにしてあるから住む場所はある!用事を済ませたらそっちにいくけん待っとれ!」
“プツッ、ツー、ツー”
「言いたいこと言って切られたわ。でもアパートもそのままならありがたい!」
電車に乗りアパートに帰ると郵便ポストはチラシでいっぱい。
「はぁ、懐かしの我が家だ」
鍵を開け、ドアを開くと少し埃っぽいが片付けられている。中に入り窓を開けて空気の入れ替えをする。
「ようやく帰って来れた」
テーブルには手紙が一つ、親父からだった。
『心配しとる。連絡しろ。 父』
久しぶりに涙が止まらなかった。
風呂に入り、冷蔵庫にあったビールとコンビニで買ったツマミを取り出す。
「十五だが、中身は三十四歳だ」
ビールを飲んでみる。
喉を通り胃が焼けるような刺激がクセになる。
「っカァー!やべっ!ちょっと酔ってるし」
久しぶりのビールは効きすぎる。
テレビをつけるとちょうど昼のニュースをやっていた。ビールを飲みながらゆっくり流していると、
『ダンジョン速報です。A級の流川ハンターが埼玉の第五ビルダンジョンを攻略しました。中継が……』
「……は?うぉっち!」
俺はビックリしすぎてビールを溢してしまった。てか、ダンジョン?俺がいない一年で何が起きた?!
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