魔女の弟子ー童貞を捨てた三歳児、異世界と日本を行ったり来たりー

盾乃あに

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召喚者

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 さぁ、どうするべきか、決まってるのは帰りたい人だけは帰してやる。だけなんだよなぁ。
「さっさと帰して勇者召喚がなかったことにするとか?」 
「それも無理ね。あの光は私のところでも感じたもの。赤の魔女ならすぐに分かることだわ」
 八方塞がりかよ。

 しょうがないからちょっと様子見して、帰りたい人だけ集めるか。
「聖教国にいってくる」
「危ないよ、私も行く」
「いや、一人の方が逃げられるからユフィは待っててくれ」
「う、くれぐれも気をつけてね」
『転移』

 俺はさっきの柱の裏に転移した。
「今回の勇者達は大丈夫かよ?使えそうなのが三人だろ?」
「バカ!声が大きい、それに全員が恩恵を受けてるんだ、何かしらに使えるはずだ」
 人を人と思ってないな。

 俺は隠れながら裏庭に出た。
「一旦休憩だ。それまでに体力を回復しておけ」
 皆んな汗だくで木剣を握っている。
 そんな中に俺は溶け込んでいく。
「はぁ。はぁ。キツイですね」
「はぁ、これくらいでへばってちゃ魔王に勝てませんよ」
 こいつははずれだな。

「はぁ。ようやく落ち着いてきましたね」
「わ、私はこんなところいやです」
 泣き出す女の子の肩を抱くふりをし、そっと小声で話す。
「俺は助けに来た、日本に返すことができる。どれくらい日本に帰りたいひとがいる?出来れば手を貸して欲しい」
 彼女はビックリした顔をしたが、目に力が戻っている。
「それじゃあ、夜にここで待ってるから、帰りたい人を連れてきてくれるか?」
「はい!」
「バレない様にな!」
 俺はバレない様に人の影に隠れて転移する。

 転移した場所は儀式のあった場所。
「これが魔法陣か、石板に書いてあるたわけの様だな」
 代わりの石板があると厄介だな。
 俺は隠れながら城内を調べ始める。
 地下に宝物庫があったのでその中に転移する。 
「どんだけ溜め込んでんだよ。白金貨をこんなにみたのは初めてだぞ」
 かなり溜め込んでいる。そうじゃなくてある物を探していた。
「やっぱりあったか、これで石板は全部か」
 やはり予備の石板と召喚の魔導書がセットで置いてあった。アイテムボックスに入れて宝物庫をあとにする。
 召喚の儀式の石板はあとにしないとバレてしまうのでギリギリだな。

 俺は錆猫の居眠り亭に行き、酒場を夜中使わせてもらえる様にお願いする。
「いいよ、どうせ夜中はみんな寝てるだろうからね」
 これで準備万端だ。

 夜中にまっているとポツポツと人が集まってきた。
「本当に日本に帰れるのね?」
「ああ、これで全員か?」
 十二名しかこの場所にはいない。
「後の子達は勇者組と呼ばれていて私達とは格が違うみたいなの」
「そういうことか、ならさっさと転移するぞ」
 一人を掴み転移で錆猫の居眠り亭に飛ぶ。
「ここは一時的にあそこから逃げ出すための場所だから、次来た人にも教えてあげてくれ。俺は行くから」
 十二往復して全員が錆猫の居眠り亭の酒場に集まった。
「そしてここから日本に帰すから、ちょっと休ませてくれ」
 初めてこんなに連続で転移を使ったので疲れが半端ない。

「私達はあちらでどの様にしたらいいですか?」
 あぁ、拉致られたから騒ぎになってる可能性があるな。
「まだそんなに時間は経ってないから知らんふりをするだけでいいと思うぞ」
 こちらと十分の一の時間差があることを伝える。こちらでは夜だがあちらではまだ昼間だろう。

「よし、一人目日本に帰るぞ」
「はい!」
 順番はさっきと一緒にしているので文句を言う奴はいない。
『転移』
 見慣れた場所に感動で涙を流す女の子。
「ちかくで誰かに見つかるとヤバいから見張っててくれないか?」
「わかりました!」
 二人目、三人目と順調に転移させ、最後の一人を日本に連れ帰ると全員が抱き合って喜んでいた。
 とりあえずはみんなの連絡先を聞いといて何かあればすぐ連絡してくれと言い別れる。

 あとは転移して召喚の儀式で使った石板だけだな。
『転移』
 石板をアイテムボックスに入れてすぐに逃げる。

「ただいま」
「おかえり。コタロー疲れてるみたいね」
 内心ボロボロになった気分だ。
「転移の使いすぎよ、一日は使わない方がいいわよ」
 ルーに言われて頷くと椅子に腰掛ける。
「帰りたいのが十二名だけなのは驚いたよ」
「そんなもんよ、自分が特別だと勘違いした人間ってのは達が悪いわ」
 そうなのか。そうかもしれないな。俺もどっちかと言うと特別な方だしな。自重しよう。

「あとはどうしようか」
「無視でいいんじゃない?魔法陣も持ってきたんでしょ?なら勇者を大切に育てると思うわ」
「あぁ、赤の魔女はどうなんだ?攻撃を仕掛ける方なのか?」
「仕掛けたりしないわよ?あっちから攻めてくるんだもの」

 聖教国をぶっつぶしたくなるな。

「なら一時は安全なわけだな。あはは、疲れたよ」
「大丈夫?」
「可愛い彼女で良かったじゃないか」
「まあな!」
 こう言う時の彼女の温かさが本当に嬉しい。

「だれかしら?」
 壁に向かって喋るルー。
「これは失礼をしました。私は赤の魔女様の使いです」
「へぇ、部屋まで入ってきていいと誰が言ったのかしら?」
「も、申し訳ありません」
 ガタガタと震える男。
「まぁいいわ、で?なんの用?」
「これ以上の勇者への干渉をやめて頂きたくお願いに参りました」
 汗をかいている男は早くここから逃げたいのだろう。少し早口になっている。

「私に指図する気?」
「いえ、そんなことは、赤の魔女様の伝言ですので」
「はぁ、まぁいいわ。赤の魔女に伝えてちょうだい。私は私のやりたい様にやるだけだと」
「し、承知しました」
 男はすぐに消えていった。

「良かったのか?赤の魔女と仲悪くなるんじゃないのか?」
「もともと良くないわよ?それに指図されるの大嫌いなの」
 黒の魔女も大概だなぁ。
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