合成師

あに

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オーダーメイド

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 マー坊は真剣に悩んで、
「そうか、ならこれかな?」
 とポリカーボネートの全身防具だ。
 1着100万とかなりお値打ち。

 上位ランカーはそれなりのお金を出してオーダーで作ってもらってるそうだ。
 まぁ、ポリカーボネートではそこまで防御力を過信できないだろうしな。
 デザインはそこそこかっこいいのだけど。
 黒っぽい半透明なのも少しダサい。
 一応試着するので待っていると、
「ど、どうだ」
 腕を曲げたり屈伸したりしている。
 まぁ見た目的に悪くはない。
「動きやすいか?」
「まぁ、それなりだな。慣れればいいけど」
 そっか、まぁ俺が作った方がいいな。
「じゃ、それ8着ね?」
「お、おう!」
 まぁ800万で買えるんだから余裕だろ。

 買って店を出ると、俺のマジックバッグに入れる。
「まぁ、工賃は1億でいいや」
「分かった、期待してるよ」
 と言って街をまた歩いてまわる。

 色々と見て周りそろそろ時間なので店のほうに行くと、ちょうどタクシーから降りてくるツネがいた。
「よ!」
「ん?あ、おお、マー坊も一緒かよ」
「休みだったからな」
「そっか、じゃあ入ろうぜ!」
 店の中に入ると凄く涼しくて気持ちがいい。
 やはり夏の街を歩いて回ると汗が半端ないな。
 ボックス席に案内されるとおしぼりを持ってきた店員に生を6つ頼んで、おしぼりで顔まで拭く。
「はぁ、暑かったな」
「だな、今年の夏は暑いらしいぞ?」
「去年もそんな話題じゃなかったか?」
 と例年の温暖化は深刻だ。

「「「カンパーイ!」」」
 とグラスを当てると一気に飲み干す。
「クハァー!!」
「冷たい!美味い!」
「はぁ、これはやめられないな」
 としみじみと言うツネだが、
「で!なんで?」
「あ、おう、それがーー」
 俺はかいつまんで話をする。
 まぁ、本当に軽く話をまとめる。

「なんだよそれ、お試しから本決まりが早いな」
「仕方ないだろ?カグヤがちょっと可哀想になったのもあるけど、どうせパーティーは組んだ方がいいとは思ってたのもあるし」
「いいなぁ、そんな出会い方してみたいぞ」
 まぁ、ネットで募集したマー坊はまた別だ。

「そっか、でもよかったな!パーティー組んでないのは心配だったし」
「だな、ソロは十分堪能しただろ?」
「まぁな」
 ソロを堪能かぁ。まぁ、言われればそう言うことかもな。
「パーティーは増やすのか?」
「まだ今んところ考えてないな」
「そっか、2人きりだからって襲うなよ?」
「あはは、そんな事したら氷漬けにされるだろ?」
 と笑い、心配してくれる仲間がここにもいるのが嬉しいな。

「まぁ、あっちも他の仕事があるし、俺も俺の時間が欲しいから毎日潜ったりはしないからな」
「そっか、今日もニュースに出てたしな」
「だな、ランクあげると大変だぞ?」
 とマー坊は星4だったな。
「星4はどうなんだ?」
「なんとかいま30階層を突破したけど、敵が強い」
「まぁそれはそうだな。武器はまだ大丈夫か?」
「おう!ちゃんと手入れはしてるからな」
「そっか、レベル上げて慎重にな?」
「ん?でももうあがらねーぞ?」
「おぉ、限界の100になったのか?」
「だな、ここからどうしようか考えてるとこだ」
 そうか、俺もその内レベル100になるだろうしなぁ。

「これは秘密なんだが、どこかに限界突破する方法があるらしい」
「へ?本当か?」
「まぁ、『閻魔』の愛内に聞いた話だからな」
「へぇ、その方法は教えてくれなかったのか?」
「そりゃ、知れ渡ったらランカーとしては困るだろ?」
「それもそうか、じゃあまずは限界突破しないとな?」
「だな、ちょっと光が見えたな」
 と言って2杯目も飲み終わりおかわりを注文する。

「あ、防具はどうだったんだ?」
「あー、それがさ、良すぎて売れないらしい」
「ん?どう言う事だ?」
 とマー坊が聞く。
「ルカが持ってきた防具を店で売ろうと思ったが、社長から飾るのも禁止されたんだわ」
「へ、へぇ」
「まぁ、マー坊には作るから心配するな」
「な、まぁマー坊ならいいけど、あんまり良すぎると防具屋が出てくるらしいぞ?」
「ん?なんでだ?切磋琢磨すればいいのに」
 なんでも防具屋だけが防具を売る時代じゃないだろ?

「防具屋には協会があって、ほとんどがその加盟店で、協会は武器屋と仲が悪いんだわ」
「まぁ、わからんでもないが」
「防具屋だってそりゃなんとかしたいわけよ?防具職人だってレベルを上げるのに必死らしい」
「そっか、だからオーダーメイドか?」
「そう、少ない防具職人がなんとか作り上げるオーダーメイドは、一応下の職人に教えられるらしいけど、素材がないからな」
 ん?素材かぁ。
「武器屋に置いてるミスリルは?」
「そりゃ、独自の採掘方法がある。それは開示できないがな」

 それはそうか、飯の種だしな。
「そう言うわけで防具屋を敵に回すから、あれは当分倉庫の中だな」
「そっか、オーダーメイドの防具も見てみたいけどな」
「星5は殆どがオーダーメイドだろ?『氷剣姫』もそうだろ?」
「ん?あいつは普通の革鎧だったぞ?」
 だから作ったんだし、
「あぁ、多分怪我した時に壊れたんだな」
「そうかもしれないな」

 まぁ、カグヤとマー坊には俺が作るから安心だな。
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