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黒い翼
しおりを挟む「これとこれ、どっちが良いと思う?」
服を二つ持ってきて聞いてくるカグヤ。
「ん?カグヤなら白が似合うんじゃないか?」
「んー、こっちかぁ。……両方買ってくる」
と行ってしまう。
「なら聞くなよな」
女の買い物はついてくるもんじゃないな。
さっきからヒナやミオも同じ感じだ……。
どっちが良いと聞かれても俺には違いがわからん。
「シオンは買わないのか?」
「んー、僕はあとでズボンが欲しいです。難燃性の丈夫なやつが」
「ふーん、そっか」
シオンは俺と一緒に待っている。
二人でベンチに座りながら喋りながら待っていると、ようやく買い物が終わったようだ。
「お待たせ!久しぶりに服を買ったわ!」
「良い服が買えました」
とミオやカグヤがキャッキャしている。
待たされる方の身になって欲しい。
「次はシオンの服な?」
「え!買ってないの?行くわよシオン」
「ぼ、僕は」
「いいからいいから」
とまた服を選びに行くようだ。
何時間待つんだ?
そのあとは俺の服も見繕って買わされ、最後に作業着屋で俺とシオンの作業着も買う。
「これで終わりか?」
「え?家具が見たいんですけど」
「……行くか」
「やった!」
とヒナがジャンプして喜ぶ。
家具がメインで服はついでだったようだ。
もうかれこれ2時間はいるぞ?
腕時計を見ながらため息をつく。
ようやく全ての買い物が終わったのでマンションに帰ると、門の前に男達がいる。二、三十人はいるか?
「なんだあいつら?」
「さぁ?」
車で入っていき、駐車場に車を停めて門に俺たちが向かう。
「お前ら誰の許可があって俺たち『黒い翼』の管轄にクラン立ててんだ!」
と金髪マッシュでピアスをつけた男が俺たちに向かって叫ぶ。
「ん?誰かに許可がいるのか?」
それは初耳だが?
「ここ墨田区は俺たち『黒い翼』が先にクランをつくってんだよ!こっちに挨拶も無しにクラン立ててんじゃねぇ!さっさと他に行くんだな」
と言う。だが、そんなことは知らん!
「あー、悪いが、お前たちのことは知らん。どこにクランがあるんだ?」
「あぁ?テメェ舐めてんのか!おい!やれ!」
と仲間に合図すると『朱』の看板を取ろうとしているので、止めようとするが一足遅かった。
「ガッ!?」
と吹き飛ぶ男。
「何?あんたらの承諾を貰う必要なんてないでしょ?」
カグヤが男を投げ飛ばしていた。
「健太郎!……お前ら、俺の仲間に手を出しやがって!覚悟はできてんだろうな!」
「は?あんたらこそ看板に手を出してタダで済むと思わないことね」
カグヤも他のみんなも血の気が多いな。
「た、大将、あれカグヤですよ?」
「あん?……なんでカグヤが?」
「私のことは知ってるみたいね。ここは『朱』、私達のクランよ!」
そういうとカグヤ達は腕を組んで『黒い翼』?の男達の前に立つ。
俺は置いてけぼりだ……。
「か、カグヤがいたからってなんだ!俺たちは先にこの墨田区にクランを立ててるんだ!出て行くのはお前らだろ!」
と金髪の男は後退りしながらそう叫ぶ。
カグヤが俺の方を見てくる、やっと俺の出番のようだ。
「あー、悪いがもう立てたんだ。別にお前たちに危害は加えないし、別にクランがあっても構わないだろ?」
俺は前に出て男の前に立つと、
「テメェがクランリーダーか?クランにも暗黙の了解ってもんがある。礼儀も知らないのか?」
「ん?あぁ、初めて作ったからな。そんなのあるって知らなかったんだ」
まぁ、クランが乱立しているのだから、いちいちそんなこと気にしてなかったな。
「チッ!墨田区は俺達『黒い翼』が仕切ってんだ!挨拶も無しに勝手してんじゃねーぞ!」
ふむ、古参という事か……だが、ただそれだけのこと。
「悪いがクランを移す気はないし、先に作ったからなんなんだ?」
「ショバ代を寄越せ!ここでクランがやりたきゃ俺らのいう通りにするんだな!」
「……悪いことは言わない。そんなもん払う気はないし、ギルドに申請は通してあるからな」
クランはギルドに申請して認められれば誰でも作れる。
こいつらがなんと言おうと、こちらは正規の手順を踏んできているのだからな。
「お前、組合は知ってるか?ここは『黒い翼』の管轄で通ってんだ。組合にも入ってないお前らはクランを潰すか、俺らの下につくか選べ!」
ととんでもないことを言い出す。
まず、組合ってなんだ?
「悪いが組合?初耳だな」
「チッ!お前らみたいなのがいるから組合があるんだよ!ただクラン立てれば良いってもんじゃない。これで分かったろ?どっちか選べ」
さすがに怒鳴ることは無くなったようだが、
「それ関係あるか?悪いけど組合に入るつもりもないし、別に自由だろ?」
クランなんてのはパーティーの集まりだ。
わざわざ組合に入るメリットが感じられない。
「は?『栄光』を敵に回すつもりか?」
「なんで『栄光』が出てくるんだ?」
「組合は『栄光』が作った。クランの乱立を調整してる。……もういい、これは上に報告する。せいぜいいきがってればいい」
と言って男達は帰って行く。
「はぁ、組合なんてのは知らんな。カグヤは知ってたのか?」
「『栄光』ねぇ?詳しくはないけど、あまり良い噂は聞かないわね。外面はいいみたいだけど」
カグヤがそう言うからそうなのだろう。
まぁ、一度会ってみないとわからんな。
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