SWS-ゴミクズスキルは万能すぎる。

あに

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第38話

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 夜は明け光が差し込む。

 俺は自分の部屋が酷い有様になっているのを見てため息をつくと冷蔵庫からコーヒーを取り出し、ベランダに出る。
 冷たい空気が気持ちいい朝だ。

 昨日はヒカル達が来て勉強しながらみんなで寝落ちしたみたいだ。

「おはよう…」
「ん?ヒカルか…おはよう」
「いい朝だな」
「そうだな」
 2人で朝日を見て俺のコーヒーをヒカルが取って飲み干す。
「なぁ、何かあったんだろ?聞かないけど、なんかあったらすぐに呼べよ?」
「…あぁ、わかった」
「ったく、絶対呼ばないくせに」
「ハハッ、まぁ、分かってるだろ?これでも強いからな」
 ヒカル達を巻き込む事はしたくないからな。

「居なくなるなよ?」
「あぁ。それは絶対だな」
「ならよし!お前ら起きろ!片付けよう」
「ん…なんでベランダから?」
「ね、眠い」
「なによ?もう」
 と3人も起き出す。

「とりあえず片付けたら喫茶店に行こうか?」
「おっ!大人だな!」
「朝飯食いたいだろ?」
「よし!起きた!」
「あはは、現金な奴」
 片付けをしてから外に出る。まだ肌寒く上に一枚羽織るものが必要な季節だ。

「あー、食った食った!」
「ヤス?食い過ぎだろ?」
「いや、美味かったからな、ついな」
 アンツで飯を食い、腹ごなしにショッピングモールをうろつく。
 

 隣のクラスには新しい人が来ていた。
 人数は3人、勇者と聖女と賢者らしい。
 もう入学式は終わって今学期からスタートなんだとか。

「今18歳らしいよ?私達より一つ下ね」
「へぇ、少人数の渡航者だったのか」
「そう見たいね。ニュースになってたわよ?」
 あぁ、多分見たな。
「大人もいなかった?」
「いたらしいけどそのままSWTOに入ったんじゃない?」
「それもそうか、もう一度学生する意味はないしな」
 大人だったらそれもありか。

 学生の本分は勉強、と言うがやはりみんな18を過ぎ思うことがあるようで、
「車の免許が欲しい!」
「あー、それな!実家に帰って車見たら欲しくなるよな」
「だろ?宇田先生に聞いてみよう!」

「そう言う事でここに来ました」
「ふむ、まぁいいでしょう。2年に上がると普通免許を取るために時間がもらえますよ?」
「そうなんですか?」
「ただ、赤点を取らないことが条件です」
「なーんだ、じゃあ」
「よくない!俺は赤点取りそうで怖いよ!」
 ヒカルはギリギリだからなぁ。

「とりあえず勉学に励んで下さい」
「「「「はい!」」」」
「はーい…」
 聞いて安心したので帰る。
 1人浮かない顔をしてるが、もう結果は分かってる。勉強するしかないのだ。

「みんなはいいよ!でも俺は」
「ほらほら、免許取るまで頑張るわよ!」
「だな、それしかないんだから」
「うー、だな」
 ヒカルはなんとかなるだろ?

 夜は一二三亭にラーメンを食べに行くと桜先輩達がいた。
「お疲れ様です」
「おっ、ヒカル達か!勉強頑張ってるか?」
「うー、桜先輩ぃー!」
 ヒカルが泣きついて、
「あぁ、そうだな。赤点とったやつは無理だぞ?」
「やっぱり?」
「っても、みんな勉強は頑張るからな?俺だってなんとか頑張って取ったぞ?」
 と免許証を見せてくる。
「「「「おぉー!」」」」
「あはは、普通免許とバイクの免許もとったからね!桜は頑張ったよ」
「だろ!」
 箕輪先輩に言われて胸を張る桜先輩。

 また近くの公園でみんなで話をする。
「あはは、入学式が2回もあるなんてな!」
「ですね、こんな頻度で渡航者がいるんですね」
「まぁ、SWSでもビックリしてるみたいだよ?かなり珍しいんじゃないかな?」
 そりゃそうだろうな。
 そんなに多いとSWTOも困るだろ。

「まぁ、全部で5人の渡航者らしいからね。そのうち3人が18歳で入学したみたい」
「へぇ、じゃあ2人はそのままなんですね」
「そだね、SWTOに入ってるはずだよ」
 と椅子に座る箕輪先輩が言う。
「まぁ、先生と喋ってみたけどいい感じの生徒らしいから良かったよ」
「へぇ、会ったら仲良くなれればいいですね」
「そうだね」
 夜も更けてきたので桜先輩達とは別れてコンビニに行く。
 ヒカルは車情報誌を買っていた。
 まぁ、モチベが上がるならなんでもいいがな!

 月は変わり5月、過ごしやすい季節になってきた。

 俺たちは相変わらず、勉強にダンジョンにと忙しい毎日を繰り返していた。
「よし!ダンジョン 50階層突破だな!」
「まぁ、これで一年生の間はダンジョンに来なくてもいいな!」
 アキの言葉にみんなビックリするが、まぁそう言うことはあるけど、
「な、まだ来るに決まってるだろ?」
「そうよ。車買うならお金貯めなきゃ!」
「そうだぜ!俺ら別に金持ちじゃねぇからな?」
「分かった、でもヒカルが勉強頑張るならな?」
「まぁ、それは絶対だな!」
 それにはだれも反対はしない。
「な!そ、それはや、やるよ!やってやる!」
「なら勉強もダンジョンも頑張ろうな!」
「「「「おー」」」」

「お、おー」

 ヒカルだけ声が小さいのはしょうがないが、せめて赤点は死守したもんだな。
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