SWS-ゴミクズスキルは万能すぎる。

あに

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第45話

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 あとは鈴音さんに任せ、一度部屋に帰る。

 もう夜になっているが腹は減らないのでもう一度シャワーを浴びる。
 服を着替えてソファーに座る。

 今日は初めて目の前で人が死んだ。
 
 2人とも俺を狙い、俺が殺した。
「はぁ、…俺が何したってんだ?」
 
 ただ仲間を守るので精一杯だった。

 いや、怒りに任せて力を使ったのは初めてだ。

 だがこれで俺を狙う理由は無いよな?
 あの忍者の敵討ちに来るとは考えにくいし、
 SWTOに入ったら『Drop』と戦うのか?

 ふぅ、考えるだけで頭が痛くなるな。

 はぁ、明日が休みなのが幸いだな。
 やばいな…寝てしまう………


 目が覚めるとまだ夜明け前だ。
 やはり何もする気が起きないな。

 そのままベッドに潜り込みゴロゴロと朝日が昇るのを見てゆっくりと起きる。

“ティロリロリラン”
『今日、グラウンドにこれますか?』
 鈴音さんからだ。
「今から行きます」
 朝日が昇るグラウンドに行くと、だいぶ片付けられているがまだ昨日の傷跡は残っている。

「おはよう」
「おはようございます」
 鈴音さん1人だな。
「今から五美君のその左腕を教えてもらいたい」
「は?」
 左腕を教えるとは?

「まずは昨日の腕を見せてもらえないか?」
「はぁ」
 左腕をワーム・ビーストの腕に換える。
「それは何の腕なんだ?」
「ワーム・ビーストの素材でできた腕ですね」
「だから伸び縮み出来るのか」
「はい」
「他には?」
「は?全部見せるんですか?勘弁してくださいよ」
 いったい何本あると思ってるんだ。

「分かった、それと最強の腕はなんだ?」
「決められないですね」
「よく使うのはその腕だけか?」
「いや。ドラゴンの腕とか」
「それも見せてくれ」
 俺はレッドドラゴンの腕に換える。
「他には?」
「うーん、これですか」
 俺はレッドドラゴン・ヘッドに換装する。
「は…はぁ、凄いな」
「まぁ、そうですね」


「はぁ、規格外だな」
「仕方ないですよ、これが俺の生きるって事でしたから」
 この左腕があったから生きてこれたんだ。

「そうか………そうだな。よし!帰っていいぞ!」
 鈴音さんはそう叫ぶ。
「な、呼んでおいてそれは…まぁいいですけどね」
「あはは、そうだな小遣いでもやろうか?」
「いりませんよ、俺の方が持ってるだろうし」
「な!何て生意気な!まぁ、小遣いくれてもいいぞ?」
「やらないですよ!…あははは」
「あはははは!少しは元気が出たようだ。あまり今回のことを引きずるなよ?」
「あはは、引きずるに決まってるでしょ?クラスメイトが死んだんです。でもありがとうございます」
 俺は頭を下げる。
 そうだな、引きずるんじゃなくて忘れない。
 臼井は最後にちゃんとみんなの事を仲間だと思ってたんだからな。

「うん、君は優しいから上手く心のバランスを取るようにな!」
「うーん、はい!わかりました。あ、臼井は今どこにいるんですか?」
「…今日家に帰る。別れを惜しむのなら今日の午前中までに保健室に来い」
「…分かりました」

 俺はすぐに野間と吉田に連絡を入れる。

 すぐに来るそうなので俺も保健室に行く。
 臼井は棺に入っていた。
「…君が気に病むことはありません。全ての責任は私にあります」
 宇田先生がそう言うが、
「先生は悪くないでしょう?あんまり人の責任を奪わないでください」
「…そうですね、一緒に背負いましょう」
「…」
 野間達が来ると好きだったものを持ってきたようで先生に渡している。
 吉田は帽子を深く被り涙を流していた。
 俺は先に保健室を出る。
 原因の俺がいたんじゃ何も言えないだろうからな。

「五美!!お前のせいじゃないから!」
「野間…」
「俺たちが忘れたせいだ!だから、だからお前は悪くないから!」
「…ありがとう」
 俺は校舎を後にする。



 スマホを見るとヒカル達からメールが来ていた。
 他愛のないメールもどこか優しい気がする。

「よっ!待ったか?」
「いーや、今みんな来たところだ」
「今日はどうする?」
「はい!私行きたいところがあるの!」

 と言って来たのは図書館だ。
「なんで図書館?」
「ん?色々と勉強が捗るかなってね」
「そうか?ヒカルは図鑑とか読みそうだが」
「え!読んじゃダメなの?」
「「「「はぁ」」」」

 とりあえずアキの持って来た小テストのようなものをみんなでやる。
「いや、アキ!なんでこんな」
「静かにしなさい!図書館よ?」
「くっ!」
 はぁ、これが狙いか。

 クラスメイトと仲良く図書館で勉強。
 出来ることなら臼井とも仲良くしてみたかったな。

 できた小テストをもう一度見直してアキに渡す。
 外を見ると新緑がきれいだな。

 夕方まで勉強をして、今日はマンションに帰る。

「スズ!元気なかったけど大丈夫か?」
「…ハハッ、そう言うところは敏感なんだな」
「俺たちはお前の味方だからな!」
「恥ずいから…いや、ありがとうな!」
「んじゃおやすみ!」
「あぁ、おやすみ」

 

 5月の終わり頃、快晴の中臼井勇気ウスイユウキの葬儀は行われた。

 参列者には宇田先生が代表して行ったらしい。
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