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第五章 守護者とコアと中年冒険者

ダンジョン運営と中年

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 さてあの核兵器はどうなったのか?

 答えは、汚染は無くなったがモンスターは進化してしまっていた。

 政府はギルドと共同で、軍隊と冒険者をダンジョンに入れ、駆逐して行くらしいが敵が強すぎる。
 死人が何百人と出て、遺族への対応や軍関係者、冒険者などのケアにも四苦八苦しているようだ。

 イギリスはストーンヘンジ、エディンバラ城など、何処も名所なので、国も冒険者も頑張っているようだし。

 アフリカはナミブ砂漠に大きなダンジョンがあるらしいが、それよりも野生の動物に変異しているものがいるらしく、住民は危険だろう。 
 だが金になるのか、密猟も盛んに行われていて、密猟者とモンスターの戦いになってるそうだ。

 ロシアはウラジオストックの空港にダンジョンが出来たらしいが、他にも空港があるのでなんとかなっている。
 あとは郊外に出来てるダンジョンも、軍が指揮して鎮圧しているらしい。

 など、ほかの国も色々あるようだが、これといって核兵器以外大きな事件がない。
 国がきちんと動いてるところは大丈夫だと思うが。

 日本はネットや電気なども使えるので問題はないかな。

 いまは愛媛の二十層まで行ったがランクAのモンスターが出てきた。

 ランクSSSとかまであったらきついなぁ、まぁ、レベルはみんな上がって来てるし、ランクBなら一人でも行けるくらいにはなっている。

 愛媛ダンジョンの奴は何を考えてあんな変則的なことをしてるんだ? コアの内包ポイントが分からないから、ランクAを出して、あとどれくらい余裕があるのかが問題だ。

 ……みんな今居ないから、ちょっと見てくるかな。

 愛媛ダンジョン二十層。
 二十一層に降りて探索するとスライムか、やっぱポイントないんじゃないか?

 二十二層、スライム?
 二十三層、
 二十四層、
 全部スライム、もしかして二十層に全部つぎ込んだ感じか?

 やだなーいくの、まぁしょーがない、ステータス解放して扉を開けると

 ダンジョンの壁、ミリアのとこと同じ感じだな。
 でも誰もいない?


「イタッ!」

 右耳を引っ張られた。

 ん? 妖精?

『なんで人間がここまで来れるのよ!』

「勝てたから?」

『キイイィィ! ……もういいわ、どうにでもして頂戴!』
 と床に大の字になって叫ぶ。

「とりあえず話をしないか?」

『へッ? コアを壊しに来たんじゃないの?』
 キョトンとする妖精。可愛いな。

「まぁ甘いものでも食べて、話さないか?」
 といつものずんだ餅を取り出して渡す。

 直ぐに食いつき、
『うまぁーい! これまだある? 置いて行きなさいよ』

 強気だなぁ、
「てかなんであんなモンスターの配置にしたの?」

『ん? ングッ! コアと話して私が弱いからよ。 
 人間が強くてもここまで来れないように』

 だからあんなへんな配置だったのか。

『つーかあんた! 普通はランクAとか倒せないでしょ! 頭おかしいんじゃないの! また考えないと行けないじゃない』
 飛びながらプンプンと怒ってる。

「それだけど、ふつうにしたら? 低階層は弱いモンスターで深くなるにつれて強くなるように」

 妖精は腕を組んで、
『そーしたらレベル上げながら下に来るだけでしょ! ゆっとくけど私戦えないからね!』

 そんな言われても、
「せめてランクAをやめて最初から段々と強くした方が人はくるんじゃないかな? 人が来た方がポイントは貯まるんだよね?」

 んー、と考える妖精。
「俺帰るからコアとよく話し合いなよ、二十四層は隠蔽しといてあげるよ、これる人間いないと思うけどね……あ、ずんだ餅ここに置いとくね」

『またきなさいよね! お茶くらいならだしてあげるから!』
 ツンデレってやつか? 

 しょーがないから手を振って帰った。



 愛媛ダンジョンから帰ってきた俺は、美羽にしこたま怒られた、正座2時間は辛いよ。

 アイツらも、後ろの方で隠れて見てやがる、覚えとけよ。

「次、一人で行きたい時は私を連れてくように! 分かった?」

 了解して、ようやく許してもらったが、今の美羽ではダンジョンはきついだろ。
 練習用ダンジョンが出来ればそこで一緒に潜ってもいいが。

 正座で痺れた足を伸ばしていると、
「カズト、明日東京のダンジョン行かない?」

 東京か、秋葉原は行ってみたいが、ダンジョンだからな。

「急にどうしたんだ?」

「検索してみたんだけど、みんな私より弱いみたいなの。
 だからカズトがいれば私も行けるかな? って」

 へー、けっこう情報がでてるんだな。

「それなら電車でゆっくり行こうか? 久しぶりに夫婦で」

 美羽は飛び跳ねて喜んでいる。

 ……2人ほど機嫌の悪いコアがいるが。

 みんなに言って、悪いけど今日・明日は休みにしてもらい、二人で東京ダンジョンにデート? に行くことになった。

 次の日、
「駅弁買わなきゃ、どれがいい?」

「んー、んじゃこれで」

「少し頂戴ね! 私これで」
 と普通に2人で電車乗るのも千葉以来かぁ。

 それにしても人の目が気にならなくなってきたな。
 やるべき事があるからかな? 他の人を気にしても仕方ないしな。

 外の流れていく風景を見ながら駅弁を食べていると、

「うまっ!」
「あっ!」
 俺の弁当から残しておいた昆布巻きが!

「さっきからまたなんか考えてたでしょ! デートなんだから私を見なさい!」
 と怒られたが、昆布巻き一つで機嫌が良くなるなら安いもんだ。

「悪い悪い、んじゃその卵焼きちょーだい」

「ダメー! これは別のこと考えてたバツでーす!」
 と久しぶりにキャッキャとする。

 乗り継いで秋葉原、コスプレなのか冒険者なのか分からないな、ガラの悪そうなのが冒険者か?

「さっきから歩きにくいのだが」
 とベッタリくっつく美羽、

「髪切ってイケメンになったから、マーキングしとかないとね?」

 髪切っただけで女が寄ってくれば、ノセなんかすぐ切るよ。

 とここがギルドか、雰囲気が全然違うな。

 ポスターがベタベタ貼ってある扉から中に入ると、
「おかえりなさいませぇー!」


 入るとこ間違えたと思って一回外に出るが、間違いなくギルドだ。
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