俺がBLゲームの主人公?勘弁してくれ

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潔癖

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「なにもなかったか」

『おう、なんもなかったよ』

ラックにアルバムを戻しながら振り返れば、いつも通り無表情のシリウスがたっていた。シリウスがネクタイを緩め腕時計をはずし、テーブルに無造作に置く。潔癖なシリウスにしては珍しい。


その一連の動作中もシリウスは俺から目を離さない。

悪魔に刻印されてから、ずっとこの調子だった。家にいるとシリウスから視線を感じるようになった。視線に気が付いて俺がシリウスを見てもシリウスは視線を外さないから隠す気はないみたいだけど、あからさますぎて少し居心地が悪い。

心配しているだけとも思えるけど、ほかに意図がありそうだ。

シリウスのブルートパーズの瞳の奥が爛々とひかり何かを伺っているような、そんな気配がある。

『な、なに?』

「食事に行くから用意しときなさい」

『わかった』

シリウスはトレードマークの白いスーツのジャケットを脱ぎ、俺の座っているソファにかけるとソファ近くにある開いていた窓を閉めシャワールームへ消えていった。


夜ベットとしてソファをかりているからか、外出するときをのぞいてソファ近くの窓は一日中あいている。夜風は部屋を傷めるとわかっていたけど、俺は夜風を肌に感じないとあまり眠れない。だから開けていた。


窓の外をみると灰色の雲が空に浮かびいつもより外が薄暗くなっていた。街行く人々もいつもより少ないように見える。


雨が降る前に夕飯すませてくるかとソファから立ち上がり、無造作に置かれたシリウスの抜け殻を拾い集める。ジャケットにネクタイ、腕時計。シリウスの寝室の定置にそいつらを片付け、軽く身だしなみを整えると俺はベッドに腰かけた。無駄に大きいベッド。シリウスが寝ている場所。

俺がここに来る前はゲーム主人公とシリウスが一緒に寝ていた場所。


コンフォーター掛け布団は人が使っているとは思えないほど皺なく整えられている。

俺が幼いころこの布団を独り占めして、シリウスによく怒られていたっけ。思い浮かんだ記憶に思わず口元が緩む。ゲーム主人公がシリウスとすごした記憶なのに、俺がすごしていたかのようにこうして記憶が蘇るのだから不思議だ。


ベッドに身体を倒せば、布団からシトラスミントのような石鹸の甘い香りが香った。顔をうずめると香りは強くなる。

(何のかおりだろう……そういえばシリウスが風呂上りにボディミストつけていたような)

潔癖なのになんでつけているんだろう。7歳の誕生日の時に香水を誕生日プレゼントにって強請って、シリウスが唯一買ってくれなかったことがあったな。俺に混ざった過去のゲーム主人公の記憶をさかのぼっていると、寝室のドアが開かれた。

布団にうずめていた顔をあげると、開かれたドアの前に腰にタオルを巻いたシリウスがたっていた。

『えっシリウス…?』

シリウスの髪からは雫が垂れている。普段ギリシャ彫刻のように白い肌が、シャワーを浴びた後だからか肌が艶々しく、うっすらと頬が赤くなっていた。逞しく引き締まった肉体。それを目にして何故か心臓が高鳴るのを感じた。

「…………」

『シリウス……、まだ髪が濡れてるけど』

シリウスは何も言わずに寝っ転がる俺の上に覆いかぶさってきた。

『ちょ…夕飯食べに行くんだろ!っ……』

シリウスを上からどかそうと肩を押したがピクリとも動かない。そればかりか俺の身体を跨ぐように、身体を動かしたシリウスの腰からタオルが落ち、その下を見てしまい俺はさっと視線をそらした。

(いやいやいや!!!なんで何にも履いてないの?!下の毛も金髪……)

『シリウス!?』

シリウスは俺の顔を覗き込むように、顔を近づけてきた。シリウスの髪から雫が俺の頬に落ちる。濡れた髪を片手で鬱陶しそうにかき上げて、シリウスはじっと俺の目を見てきた。顔ごと視線を逸らそうとすると俺の顔の横についていた手で強引に戻される。


『な、なに……』

ごくりと唾を飲むとシリウスが倒れこんできた。耳元にシリウスの息遣いを感じる。そして服越しに感じるシリウスの湯上りの温かい肌。視線から逃れホッとするのも束の間、服をめくるようにしてシリウスの手が俺の腹を撫でる。


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