毒虫のリヴスコール

赤城ロカ

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 玄関のドアが開く音がした。俺はベッドで仰向けになってスマホでパズルゲームをしていた。何色ものブロックをフリックして色を揃えて消していくというゲームだ。その消えるときの破裂する演出や、爽快な音が病みつきになる。ため息が聞こえたが、俺は聞こえないふりをした。今日も気がつくと、昼過ぎに起きてケイコが仕事から帰ってきたいままでスマホをいじっていた。
 ケイコは最近、仕事が目一杯らしく、この一ヶ月でずいぶんとやつれていた。それでもケイコはいつも涼しい顔をして仕事へ出ていった。
 一か月前、八重洲口で待ち合わせてから、俺はケイコの家で過ごすことになった。実家には帰れない、と言うと、ケイコは、じゃあしばらくうちにいたら? と言ってくれた。それからの様子からしても、最近のケイコは疲れていた。
 ケイコとは高校からの付き合いで、いつもなにかと俺の世話を焼く。テストの日に俺が出題範囲を訊くと、ため息をついて、ちゃんと勉強してきなさい、と言いながら、ヤマを教えてくれた。卒業して、ケイコは美容師の専門学校へ、、俺はどこにでもある、誰でも入れるような大学へと分かれたが、なんだかんだとたまに飲みに行ったりしていた。
 ケイコといると心地よかった。それはいまでも変わらない。いつでも俺のそばにいてくれる、味方でいてくれる、そういう存在だ。
 シャクシャクという涼しげな音が聞こえてケイコのほうを見ると、コンビニで売っているシャーベットとソフトクリームの乗っかったパフェのようなものを食べていた。
「なに食べてんの?」
 ケイコはこちらを見向きもせず、テレビを見ながらそれを食べていた。
「俺のはないの?」
「ないわよ」
 シャーベットの食感がこちらにまで伝わってくるようで、たまらない気持ちになった。今日は特に暑かった。冷房の温度を二十度にしたほどだ。ケイコはバラエティ番組を見ながら、時折小さく笑って食べていた。ねえ、ちょっとちょうだいよと俺は言ったが、ケイコはテレビを見たままハハハと笑うだけだった。ねえ、一口でいいからさと言ってみるが、やはり声は届いていないようだった。俺は煙草を大きく吸い込み、紫煙をケイコに向かって吐いた。なにすんのよ、むせながらそう言った。
「ちょっとだけでいいから、それちょうだい」
 ケイコからアイスを取ると、俺は先がスプーン状になったストローでシャーベットをすくって食べた。ブルーハワイの爽やかな甘味が、これ以上にないほど気持ちよかった。上に乗っているソフトクリームもたまらない。そのままかきこむようにして頬張ってもケイコはなにも言わなかった。俺はケイコのそういうところが好きだった。
 アイスを返すと、俺はまたゲームに取り掛かった。フリックしてブロックの色を揃えるとほら、十五コンボ! 興奮して思わず声が上がった。横でケイコがなにか言っていたが、それどころではない。
「人の話を聞きなさいよ」
 スマホを部屋の隅まで投げられて、せっかくのコンボも空しく詰んでしまった。おい、ふざけんなよ。
「いい加減、仕事を探しなさいよ」
 ベッドから降りてスマホを拾う。俺は咥えていた煙草を消した。そしてケイコに、見つからねえんだよ、と呟いた。そんなわけないでしょ、とケイコは言う。探せばどこかしら見つかるでしょ。
 こっちに帰ってきてからの一ヶ月は本当に早かった。感覚的にいえば、仕事をしていたころの三ヶ月間が五年くらいだとすると、この一ヶ月間は一週間にも満たないくらいの感じだった。なにをするでもなく、時間が風のように通り過ぎていき、夜行バスから降りたときの安堵感だけが俺の身体のなかにあって、それはあまりにも優しく、あまりにも温かくて、できることならずっと抱きしめていたかった。が、ケイコはそれを許さなかった。
「だってまだ一ヶ月だよ」俺は煙草に火をつけた。「学生が半年や一年かけて見つかるかどうかなのに、中途採用じゃ、いくらなんでも厳しいだろ」
「わたしは一ヶ月も就活しなかったよ」
「そりゃ専門出たからだろ。そんなの、ほとんどエスカレーターじゃん」
 それ以上、ケイコはなにも言わなかった。
「ところでメシは?」
「わたし、先輩と食べてきちゃった」
 はあ? 思わず声が高くなってしまった。慌てて舌打ちをして誤魔化した。冷蔵庫を見ると牛乳と卵しかなかった。これじゃ、ホットケーキも作れねえじゃねえか。
「食ってくる」俺たちは互いに目を逸らさず、動くこともしなかった。「金ちょうだい」
 ケイコは自分の心の内の、なにか邪悪なものを追い出すようにため息をついて、バッグから財布を出すと、小さなうめき声のようなものを発した。
「どっかで食ってくるから、早く」
 ケイコが指でつまんでいる札を取った。ちょっと、と俺から取り上げようとするが、それを手で払って、サンダルを履いて外へ出た。千円やそこらでケチケチすんなよ、と札を見ると、福沢諭吉が俺を睨んでいた。
 昼間よりは幾分か過ごしやすくはなったが、それでもまだ蒸し暑かった。身体が一気に火照ってきている。コンビニの肉まんにでもなった気分だ。線路沿いを歩いて五分も歩くと駅前に出た。小さなロータリーがあって、放射状にいくつかの道が伸びていた。真ん中の道が商店街になっているのだが、あまり賑わってはなく、こぢんまりとしたところだった。俺は牛丼屋に入って瓶ビールを頼んだ。店はそれなりに混んでいたが、ビールはすぐに来た。グラスに注いで一気に飲(や)った。湿気が身体にまとわりつき、芯まで熱気にやられていた身体に染み渡る。最高な気分だった。客は仕事終わりの男だけだった。みんなそれぞれ疲れていて、俺がビールを飲んでいるのを一瞥して、また牛丼に取り掛かるのだった。俺は知らん顔をしてビールを飲んでいた。腹が減っていたので、半分ほど飲んだくらいで気持ちが良くなり、俺は牛丼の大盛りをつゆだくで頼んだ。それを待ちながらまた一杯、飲んだ。
 牛丼が来た。混んでいる時間に来たのが悪かったのか、肉が煮込みすぎていてパサパサだった。まあ、それでもうまいことはうまい。晩酌をしながら牛丼を食い、食べ終わるころには非常に満たされた気分だった。
店を出て、コンビニへ入った。商店街にコンビニ、というのはなんだか違和感を覚えるが、それでもこうして営業しているのだから、なにかしらの理由はあるのだろう。酒のコーナーへと向かった。瓶ビール一本じゃまるでシケた夜だ。俺はカナディアンクラブとソーダにきゅうりの一本漬けを買って、家へと向かった。商店街はもうすでに客は捌けていて、あとはただ眠るだけといった、健全である種満たされた雰囲気だった。
線路沿いを歩いていると電車が通り過ぎていった。急行新宿行き。車内にはそれなりに乗客がいた。俺はふんと鼻を鳴らして歩き続けた。
「ただいま」
 返事はなかった。ケイコは風呂から上がったばかりのようで、肌の手入れをしていた。コットンで顔を叩きながら俺のほうを向くなり、
「そんなものまで買ってきたの」
 とため息をついた。俺はキッチンできゅうりの一本漬けを切り、棚からロックグラスを出した。グラスに氷を入れてカナディアンクラブを注いだ。官能的な甘い香りが鼻をくすぐった。一口飲むと、まったりとした舌触りでありながら刺激的でもあり、そして艶美な香りが鼻を通っていった。もう一口飲んで、きゅうりの一本漬けを食べた。きゅうりのポリポリとした食感と清涼感、そして程よい塩気がいい仕事をする。ウイスキーとなると、やれチーズだ、チョコレートだ、ナッツだ、などと騒ぐものだが、俺にはきゅうりの一本漬けが最高だ。
「ケイコも飲むだろ?」
 風呂上がりの作業を終えたケイコは、うん、と言ってガラスのタンブラーを持ってきた。俺は氷を入れてウイスキーを注ぎ、ソーダを入れた。そしてマドラーの代わりに箸で一周、混ぜて渡した。
 グラスなどを持ってテーブルへ座り、二人で飲んだ。テレビはドラマがやっていた。俺はテレビを見ないので、内容はわからない。ケイコはそれを真剣に見ながらウイスキーソーダを飲んでいる。
「ロックが一番うまいよ」
 俺はロックグラスをケイコに渡した。ケイコはなにも言わずにそっと口をつけた。うわっと声があがって、すぐにグラスを俺に返した。俺はきゅうりを勧めた。ポリポリと食べていると、ケイコは確かにいいかもね、と言った。
 ケイコのスマホにメールが届いた。画面を見ているケイコの顔が少しほころんでいた。指を動かして返事を打っているのを見ていると、俊敏な指の動きが奇妙に思えてきて、俺は自分のスマホで適当に文章を打ってみたら、ケイコが特別早いわけではなかった。しかしそれはそれでなんだか気味の悪い感じがした。俺は自分のスマホを置き、返事を打っているケイコに誰なの、と訊くと、先輩、とだけ返ってきた。男なの? そうだけど、別にいいでしょ。
 俺はグラスのウイスキーを一気に飲み干して、ケイコを後ろから抱きしめた。ちょっとなんなの、と身を解こうとするのを、さらに強く抱きすくめ、髪に顔をうずめるようにして首筋にキスをした。やだ、ほんとにやめて、耳を甘噛みすると、ケイコは小さく悲鳴をあげた。胸を触ると、俺の手を払いのけようとしたので、もう片方の手でケイコの両手首を掴んだ。その拍子にケイコは仰向けになり、俺は覆いかぶさり、そのまま唇にキスをした。何度か強くキスをして、今度は舌を絡ませた。ケイコの艶かしい吐息が部屋にかすかにこだました。両手首を離してもケイコは体勢を変えなかった。仰向けのまま天井をぼうっと見るでもなく見ていて、俺がパンツを脱いだのにも気づいていないようだった。
 俺はケイコの身体にまたがり、髪を優しく撫でて、もう一度軽くキスをした。聞こえるか聞こえないかといった弱々しい声で、ケイコはやだ……、と俺の顔も見ずに言った。ケイコを抱き寄せて、起こした。ケイコの髪は乱れ、目はどこを見ているのかわからない。それでも俺のペニスを顔の前に出すと、一瞬の躊躇いを見せてから、それを咥えた。
 思わず口の中に出してしまった。むせこんだ勢いで、ケイコの口から精液と涎が混ざって垂れていた。それを見ていると理由はわからないが、妙な勝利感が俺の全身を駆け巡って、心の底から恍惚として、鳥肌が立つのを感じた。それはハンティングで獲物を仕留めたときと同じだな、とやったこともないのにそう思った。
 ケイコは精液と涎を、ティッシュを十五枚使って吐き出して、丸めて捨てると洗面所へと駆けていった。声にならない声で泣いているのが聞こえる。その合間に思い切りうがいをする音が聞こえてきた。煙草を吸いながらそれを聞いていると、さっきまでの嗜虐的な気持ちは失せて、言いようのない空しさだけが残り、急に金沢から夜行バスに乗ったときのことを思い出した。これは同じ空しさなのだろうか? ベッドに仰向けになって蛍光灯の光を見つめながら、ため息をついた。どちらでもいい。そんなことは関係ない。煙草を消すと、心がささくれだっていることに気がついた。なにをやってるんだ俺は。
 壁にマスキングテープで貼ってあるポストカードを見ながら煙草を吸ってケイコを待っていた。フリュスタンベール広場の写真、セーヌ通り、リュクサンブール公園など、いろいろ貼られている。ケイコは一度だけパリに行ったことがある。オミヤゲでエッフェル塔のキーホルダーをもらった。それは、俺のバッグについている。
 だんだんと蛍光灯の光が、俺の心に不安感をもたらすようになってきた。光が俺を責め苛むような感じがして、いたたまれなくなり、俺はケイコのところへ向かった。
 ケイコは洗面台の前で膝に顔をうずめていた。肩を揺らしているでもなく、声を出しているでもない。まるで死んでいるようだ。ケイコ、と声をかける。返事はない。もう一度声をかける。やはり返事はない。俺はしゃがんでケイコの髪を撫でた。ごめん、俺は呟くように言った。
思えばケイコが泣いたところを見たのはこれが初めてだった。いつも毅然としていて、怜悧さをたたえていて、感情的になることは少なく、たとえば専門のとき、課題が山積みでも表情ひとつ変えることなく粛々とこなし、美容師として働き出して、日常業務に加え、研修に練習にと、日々を忙殺されていても俺の前では小さく笑って、「充実してる証拠だよ」と言うのだった。理不尽なクレーム、理不尽な注文、理不尽な叱責にも耐えていた。決して、泣くことはおろか、弱音さえ吐かなかった。そのケイコがいま、泣いている。
もう一度、ケイコにごめんと言った。すると髪が揺れて、ゆっくりと顔があがった。ケイコ、と俺は呟く。ケイコは俺を見て、夏の終わりを告げる、祭りのあとのような、寂寥に満ちた微笑を見せた。俺はもう一度謝ろうとしたが、その表情を見た瞬間、頭に浮かんでいた言葉という言葉が、すべて砕け散って、口を開くことすらできなかった。結局、あう、あう、と言葉にならないまま、俺はケイコを見つめるだけだった。いや、正確にはケイコから目をそらすことができなかった。ケイコの幻のような微笑に射抜かれ、俺はなにも考えることができなかった。
 するとケイコはふっと笑い、柔和な表情を取り戻した。もういいよ、大丈夫だから。そしてケイコは立ち上がり、リビングへと戻っていった。
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