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番外編
二羽
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気がつくと車はすでに停まっていて、大きな施設のエントランスに横付けされているところやった。星司クンがトランクから取り出した車椅子を拡げている。星司クンは僕に気づくと微笑んで、シートベルトを外してくれた。
「立夏、疲れはありませんか?」
「おおきに。でも、大丈夫や。せっかくここまで来たのやさかい、今さら引き返せまへん」
自分でそう言いながら、僕の心は沈んどった。星司クンが片膝をついてそんな僕と目を合わせて優しう口を開く。
「大丈夫ですよ、立夏。俺は奥様のことも、大奥様のことも覚えています。おふたりとも立夏をとても大切に思っていました。ですが……、会わないことを決めるなら、それも貴方の選択だ。俺は立夏の意見を尊重します」
「……ありがとう、星司クン」
僕を元気づけるように重ねられた掌に、どうにか笑顔で応える。そうや、星司クンが隣に居ってくれたら、何があっても僕は大丈夫や。どんなことも受け入れられる。星司クンだけは僕を見捨てへんって知ってるから。
冷たい廊下を進み、指定された病室まで来たとき、ドアの前にはお父はんが立ってはるのに気がついた。自然と身体が強張り、喉がカラカラになって何も言えへんくなる。お父はんは僕たちをチラリと見ると、そのまま背中を向けてその場を離れていかはった。
袴に羽織の正装で、背筋もしゃんと伸びてはったのに、どうしてか前よりあの人のことが小さく見えた。ずっとずっと、怖ぁて直視もでけへんやったのに。なんでやろか。
「立夏、どうぞ」
「ウ、ウン……」
ノックをして返事を待つ。すぐに「どうぞ」と声がした。聞き慣れへん、女の人の声……。星司クンがドアを開くと、奥のベッドに上半身を起こした黒髪の女の人が、僕たちを見てはった。十年以上前の写真でしか見てこぉへんやった、お母はんによく似て……ううん、お母はんそのものやった。
「立夏……! 大きく、なったね……良かった。生きててくれて、本当に……本当に良かった……」
「お母はん……?」
涙に濡れた声が、耳に染み入っていく。そうや、お母はんはお祖母はんと違ぅて京言葉やおへんのやった。今ようやく、全てが元の位置に戻った気ぃがした。僕は立ち上がってお母はんのところまで歩いていった。
「お母はん……!」
「立夏! 顔を見せて…ああ……! ごめんね、力が足りなくて。ずっとつらい思いをさせたね」
「謝らんといて、僕こそ、僕のせいで……!」
「立夏のせいじゃない」
お母はんは僕の目をまっすぐ見て、そう言わはった。
「それだけは違うとハッキリ言える。私は私の意思で挑んで、負けたの。力不足だった。けど、今こうやって立夏が育った姿を見ることができて、あのときの自分の行動は間違ってなかったと確信したわ。立夏を失わなくて良かった……! 成功するなら、もう二度と目覚めなくても構わないと思っていたのに、今あなたを抱きしめられる……、これ以上望むことなんてない」
背に回される腕の細さと、意外なほどの力強さに、僕はただただ立ち尽くすことしかできへんやった。こんなにも僕のことを思うてくれていたやなんて、まるで知らんと僕は……! つくづく自分の心の弱さが嫌になる。
涙を流すことしかできやん僕たちを、星司クンだけが温かく見守ってくれていた。それからポツポツと、どっちともなく話し始めて、僕らの溝はすぐに埋まったように思うた。それと、お母はんは僕が当主を引き継いだことを知ってはった。その上で僕に、好きな道を進みなさいと言うてくれはったのや。
「お父さんがあなたに家業を託したかったのも理解するけど、あなたはまだ高校生なんだから」
嬉しかった。どうしたいとか、何をしたいとか、今まで誰も僕に聞いてくれたりせんやったもの。お父はんについては誤解があるようやけど、それ以外は純粋に嬉しうて、胸の辺りがくすぐったかった。
お母はんも僕も、長くおしゃべりすることはでけんやったから、また会う約束をしてお別れをした。次はきっと樹クンと来よう。病室を出たらずんと疲れがきた。
「星司クン、ありがとうな。おかげさんで、無事にお母はんとお話できました」
「はい、お手伝いができてよかったです。お疲れでしょう、すぐにホテルへ……」
星司クンの言葉と動きがピタリと止まる。僕らの目の前に、廊下の角から現れたのはお父はんやった。僕らが話し終えて出てくるのを、ずっと待ってたんやろか。
「何か、御用ですやろか」
「……いや、用はない」
スッと目線を逸らされる。同時に僕の背後からものすごい圧を感じた。いや、あかんて。ここは病院やで星司クン!
「せやったら、失礼させていただきます」
僕は車椅子を前に動かして、お父はんとすれ違うように向きを傾けた。ここから早く立ち去ることしか考えられへんやった。
「本当に八咫を継ぐつもりか」
背中にかけられた言葉は、問いかけやなかった、と思う。継ぐつもりかと言われても、すでにお父はんは当主の座を降りはったはず。なら、僕やのぅてフユに……? いや、フユが継ぐのにも反対しはったって聞いてるんやけどなぁ。
「すでに八咫を離れた貴方には関係ありません。これ以上、立夏につきまとわないでください」
「ほう、当主を呼び捨てか。傀儡だからか、それとも恋人気取りか?」
「……!」
「やめてください、ふたりとも。この場で騒ぎを起こしたないです」
険悪な雰囲気を感じて僕は言葉を割り込ませた。見えない電気がバチバチいうてる気がする。
「立夏。私はお前に謝らない」
「……はい」
「必要なものがあるなら奪いに来い。お前には、その権利がある」
「えっ」
それだけ言うと、お父はんはそのまま通り過ぎて行ってしまった。振り返っても、その背中に何て言うてええのかわからんくて、僕は目だけで追っかけていた。
「行きましょう、立夏」
星司クンが車椅子を押しながら言う。僕は頷くことしかでけんやった。お父はんの、あのひとの心がわからへん。お母はんと話せたことは嬉しかったんやけど、なんや、疲れてもうた。
「立夏。大丈夫です。もうあの男の好きにはさせませんから。必ず、貴方の前に膝をつかせてやります」
「星司クン、何考えてはるの? そないなこと、しやんでええよ。そんなんされても、なんも嬉しぅないし、なんや、考えただけで気分が悪ぅなるわ……」
「そう、なのですか……?」
当たり前やないの。なんでお父はんを土下座させなあかんのや。
「星司クン、僕はそないな感情なんて、あのひとに対して抱いてないよ? そりゃあ、ずっと怖かったし、星司クンが鬼になってもうたときには恨んだりもしたけど、もうそれも終わったことや」
「立夏……」
「もうなんも、関係ない。あのひとと僕の間には、なんの関係もあれへん。だってそうやん、あのひとは最初から、僕のことは見てへんやった。お母はんとの約束を守るために、僕を生かしてただけや。それがわかってもうたから、僕は」
「立夏。もう、結構です。貴方の気持ちは、わかりましたから……もう泣かないでください」
星司クンの指が、僕の頬に軽く触れる。ずっと下ばかり見てたせいで、星司クンがいつの間に正面に回ってきてたのかも気づかんやった。泣くつもりなかってんけど、あかんね。星司クンに心配かけてもうた。
「星司クン、ごめ……」
顎を持ち上げられる。謝る言葉は唇で塞がれた。誰もおらへん静かな廊下で、星司クンは僕を上から覗き込むようにキスをした。
びっくりするくらい長いキスやった。途中で逃れようとしても、掌で顔ごと固定されとって動かれんやった。指で引き剥がそうとしても無駄やったし。
「ん……うぅ……!」
「立夏。続きはまた、後にしましょう」
耳許で囁かれる低い声に僕の身体が無意識に震えた。これは、お誘いやんなぁ……。熱い頬っぺたを押さえている間に、星司クンは手際よぅ僕を車のシートに乗せて、車椅子を畳んでいた。
「立夏、疲れはありませんか?」
「おおきに。でも、大丈夫や。せっかくここまで来たのやさかい、今さら引き返せまへん」
自分でそう言いながら、僕の心は沈んどった。星司クンが片膝をついてそんな僕と目を合わせて優しう口を開く。
「大丈夫ですよ、立夏。俺は奥様のことも、大奥様のことも覚えています。おふたりとも立夏をとても大切に思っていました。ですが……、会わないことを決めるなら、それも貴方の選択だ。俺は立夏の意見を尊重します」
「……ありがとう、星司クン」
僕を元気づけるように重ねられた掌に、どうにか笑顔で応える。そうや、星司クンが隣に居ってくれたら、何があっても僕は大丈夫や。どんなことも受け入れられる。星司クンだけは僕を見捨てへんって知ってるから。
冷たい廊下を進み、指定された病室まで来たとき、ドアの前にはお父はんが立ってはるのに気がついた。自然と身体が強張り、喉がカラカラになって何も言えへんくなる。お父はんは僕たちをチラリと見ると、そのまま背中を向けてその場を離れていかはった。
袴に羽織の正装で、背筋もしゃんと伸びてはったのに、どうしてか前よりあの人のことが小さく見えた。ずっとずっと、怖ぁて直視もでけへんやったのに。なんでやろか。
「立夏、どうぞ」
「ウ、ウン……」
ノックをして返事を待つ。すぐに「どうぞ」と声がした。聞き慣れへん、女の人の声……。星司クンがドアを開くと、奥のベッドに上半身を起こした黒髪の女の人が、僕たちを見てはった。十年以上前の写真でしか見てこぉへんやった、お母はんによく似て……ううん、お母はんそのものやった。
「立夏……! 大きく、なったね……良かった。生きててくれて、本当に……本当に良かった……」
「お母はん……?」
涙に濡れた声が、耳に染み入っていく。そうや、お母はんはお祖母はんと違ぅて京言葉やおへんのやった。今ようやく、全てが元の位置に戻った気ぃがした。僕は立ち上がってお母はんのところまで歩いていった。
「お母はん……!」
「立夏! 顔を見せて…ああ……! ごめんね、力が足りなくて。ずっとつらい思いをさせたね」
「謝らんといて、僕こそ、僕のせいで……!」
「立夏のせいじゃない」
お母はんは僕の目をまっすぐ見て、そう言わはった。
「それだけは違うとハッキリ言える。私は私の意思で挑んで、負けたの。力不足だった。けど、今こうやって立夏が育った姿を見ることができて、あのときの自分の行動は間違ってなかったと確信したわ。立夏を失わなくて良かった……! 成功するなら、もう二度と目覚めなくても構わないと思っていたのに、今あなたを抱きしめられる……、これ以上望むことなんてない」
背に回される腕の細さと、意外なほどの力強さに、僕はただただ立ち尽くすことしかできへんやった。こんなにも僕のことを思うてくれていたやなんて、まるで知らんと僕は……! つくづく自分の心の弱さが嫌になる。
涙を流すことしかできやん僕たちを、星司クンだけが温かく見守ってくれていた。それからポツポツと、どっちともなく話し始めて、僕らの溝はすぐに埋まったように思うた。それと、お母はんは僕が当主を引き継いだことを知ってはった。その上で僕に、好きな道を進みなさいと言うてくれはったのや。
「お父さんがあなたに家業を託したかったのも理解するけど、あなたはまだ高校生なんだから」
嬉しかった。どうしたいとか、何をしたいとか、今まで誰も僕に聞いてくれたりせんやったもの。お父はんについては誤解があるようやけど、それ以外は純粋に嬉しうて、胸の辺りがくすぐったかった。
お母はんも僕も、長くおしゃべりすることはでけんやったから、また会う約束をしてお別れをした。次はきっと樹クンと来よう。病室を出たらずんと疲れがきた。
「星司クン、ありがとうな。おかげさんで、無事にお母はんとお話できました」
「はい、お手伝いができてよかったです。お疲れでしょう、すぐにホテルへ……」
星司クンの言葉と動きがピタリと止まる。僕らの目の前に、廊下の角から現れたのはお父はんやった。僕らが話し終えて出てくるのを、ずっと待ってたんやろか。
「何か、御用ですやろか」
「……いや、用はない」
スッと目線を逸らされる。同時に僕の背後からものすごい圧を感じた。いや、あかんて。ここは病院やで星司クン!
「せやったら、失礼させていただきます」
僕は車椅子を前に動かして、お父はんとすれ違うように向きを傾けた。ここから早く立ち去ることしか考えられへんやった。
「本当に八咫を継ぐつもりか」
背中にかけられた言葉は、問いかけやなかった、と思う。継ぐつもりかと言われても、すでにお父はんは当主の座を降りはったはず。なら、僕やのぅてフユに……? いや、フユが継ぐのにも反対しはったって聞いてるんやけどなぁ。
「すでに八咫を離れた貴方には関係ありません。これ以上、立夏につきまとわないでください」
「ほう、当主を呼び捨てか。傀儡だからか、それとも恋人気取りか?」
「……!」
「やめてください、ふたりとも。この場で騒ぎを起こしたないです」
険悪な雰囲気を感じて僕は言葉を割り込ませた。見えない電気がバチバチいうてる気がする。
「立夏。私はお前に謝らない」
「……はい」
「必要なものがあるなら奪いに来い。お前には、その権利がある」
「えっ」
それだけ言うと、お父はんはそのまま通り過ぎて行ってしまった。振り返っても、その背中に何て言うてええのかわからんくて、僕は目だけで追っかけていた。
「行きましょう、立夏」
星司クンが車椅子を押しながら言う。僕は頷くことしかでけんやった。お父はんの、あのひとの心がわからへん。お母はんと話せたことは嬉しかったんやけど、なんや、疲れてもうた。
「立夏。大丈夫です。もうあの男の好きにはさせませんから。必ず、貴方の前に膝をつかせてやります」
「星司クン、何考えてはるの? そないなこと、しやんでええよ。そんなんされても、なんも嬉しぅないし、なんや、考えただけで気分が悪ぅなるわ……」
「そう、なのですか……?」
当たり前やないの。なんでお父はんを土下座させなあかんのや。
「星司クン、僕はそないな感情なんて、あのひとに対して抱いてないよ? そりゃあ、ずっと怖かったし、星司クンが鬼になってもうたときには恨んだりもしたけど、もうそれも終わったことや」
「立夏……」
「もうなんも、関係ない。あのひとと僕の間には、なんの関係もあれへん。だってそうやん、あのひとは最初から、僕のことは見てへんやった。お母はんとの約束を守るために、僕を生かしてただけや。それがわかってもうたから、僕は」
「立夏。もう、結構です。貴方の気持ちは、わかりましたから……もう泣かないでください」
星司クンの指が、僕の頬に軽く触れる。ずっと下ばかり見てたせいで、星司クンがいつの間に正面に回ってきてたのかも気づかんやった。泣くつもりなかってんけど、あかんね。星司クンに心配かけてもうた。
「星司クン、ごめ……」
顎を持ち上げられる。謝る言葉は唇で塞がれた。誰もおらへん静かな廊下で、星司クンは僕を上から覗き込むようにキスをした。
びっくりするくらい長いキスやった。途中で逃れようとしても、掌で顔ごと固定されとって動かれんやった。指で引き剥がそうとしても無駄やったし。
「ん……うぅ……!」
「立夏。続きはまた、後にしましょう」
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