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悪の魔導師にオシオキ!
最終話 ★
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ピアスが凶悪そのものの笑顔を向けると、麗筆は表情を固くして身をすくめた。ピアスはその腕を取り引き倒して、割り開いた脚の間にあるまだ縮こまったソレをパクリと咥え込んだ。
「あぁっ、や……ちょっと!」
暴れる脚を抑え込み、殴ろうとしてくる手首を掴んで、ピアスは唇を、舌を、動かし続けた。
「や、やめて……嫌ぁ……」
なかなか反応しない麗筆のソレも、しつこくしつこく弄んでやればやがて血が通ったのか上を向いてくる。小ぶりなソレがしっかり勃起したのを確かめ、ピアスは麗筆の体を裏返しにひっくり返した。
そしてその左手に繋がっている腕輪の鎖、その先にもう一つ、同じ環を手早く取りつける。これで手錠の完成だ。後ろ手に押さえつけていた麗筆の右手に、カシャンと拘束具が嵌まる。
「ッ!!」
すっかり大人しく、ピアスのなすがままになっていた麗筆の体が抗議するように跳ねた。それを無視して同じく懐から取り出した瓶の中身を麗筆の白い双丘の間に垂らしていく。
「んぅ!」
「さて、そろそろいいかな~」
「待って……」
羽枕の間に埋もれていた頭を持たげて麗筆が弱々しく囁いた。
「何をするつもりなんです……」
「なにって? 挿れるんだけど、今から」
「そんな、何言って……」
「力抜いて……ってか逆に出すときみたいにした方が楽だぜ。そんじゃ、もういい?」
「だ、男女の場合でも、入れる前に解すと聞きますけど!? まさかいきなりなんて……それにこんなところ……」
「俺は気にしないね。それに、今回は事情が違うもんなぁ。……もしかしなくても初めてだよな? 痛いぜ、せいぜい啼き喚けよ! オラ!」
「あっ、うぅ……!」
蕾を抉じ開けるどころの話ではない、むしろ裂けよとばかりに硬く太くなったモノがねじ込まれていく。秘められた処女地を力任せに開拓される痛みに麗筆は歯を食い縛った。まるで尾のある獣のように後ろから貫かれ貪られ、麗筆は吐き気をこらえるだけで精一杯だった。
「うぅっ……く……!」
「頑張るね~。俺としてはもっと泣かせたいんだけどな。……あ~、あんまし握りしめない方がいいぜ、拳」
泣き声を抑える麗筆に、ピアスは優しく話しかける。だがそれを聞いている余裕など麗筆にはなかった。彼にできることは、自分を荒々しく串刺しにした男が腰を振り続けるのを、早く終われと念じるだけ……。
だが、そんな死んだような反応では、やはり面白くない。ピアスは膝立ちに体勢を整えると、痛みで再び萎縮していた麗筆のソレをゆるっと掌で包み込み、腰を振るのに合わせて刺激し始めた。
「あ……やだ、それ……やめてください……」
「え~? そう言わずに俺と一緒に気持ち好くなろうぜ、レイヒさん」
「嫌です…はな、して……!」
「いいね、締まる。可愛いよ、レイヒさん」
「だまれ……! くぅ……」
「段々好くなってきた? ほら、もっと声聞かせてよ」
「………………っ!」
「意地っ張り!」
「はうっ! や……あぁッ」
「そろそろイきそう? イきたい?」
「…………」
声を出すまいと耐える麗筆をピアスは嘲笑った。掌の中のモノはもう完全に熱を取り戻している。弾けるのも時間の問題だった。
「あ……あぅ……んっ!」
揺すぶり続けてどれくらい経ったか、麗筆から甘く鼻にかかった声が漏れ始めていた。ピアスはリズミカルに一定した腰振りをしていたのを、徐々に早めていった。それに従って麗筆のソレを握り込むピアスの手との摩擦も早く強くなる。
「は……あぁっ、んっ……んっ!」
麗筆の呼吸が乱れて、まさにイク寸前、無情にもピアスの手が麗筆の根元をぎゅうっと押さえ込み、射精を妨げた。
「あああっ……!?」
麗筆の細い悲鳴が上がる。必死でその拘束から逃れようとするも両手は体の後ろ、そしてピアスの腕はビクともしなかった。
「あ……ぁ…………ふぁ……」
高まりに高まった波が引いていく。射精できなかった苦しさと、発散しそこなった熱が麗筆の体の中で暴れ回っている。煩い心臓の鼓動を聞きながら、麗筆はくんにゃりと顔からベッドにのめり込んだ。
(痛い……苦しい……。出せなかったのに、まだ、熱が引かない……)
そう、射精できなかったというのに、いやできなかったからか、麗筆のソレはまだ張りつめたままなのだ。ズクン、ズクンと脈打ち、刺激が、快楽が欲しいと涙を流している。
麗筆が生まれて初めての苦しみを味わっている中、さっき射精したばかりのピアスは余裕の表情だった。まだ勃たせたままのペニスは深く麗筆の中に埋まっている。それを一度引き抜き、ピアスは麗筆をうつ伏せから仰向けに変えた。
麗筆の可愛らしい性器をしごいていた手には、ほんの少し精液が付いていた。塞き止めるのに間に合わなかった分の雫だろう。己の掌をペロリと舐め、ピアスは麗筆の小ぶりなソレの根元を、懐から取り出した紐でぎゅうっと縛った。
「痛っ!? な、なに……!?」
「いや~、ほら、次もまた上手く止められるかわかんないんでェ? ちょっと紐で縛らせてもらいましたわ」
「は……? 言ってる意味がわからないです……ほどいて……苦しいです!」
息も絶え絶えな中、麗筆がキッと睨め上げると、白い魔導師の脚に手をかけた膝立ちの男はニヤリと嗤った。
「だぁからぁ、オシオキだって、最初から言ってるじゃないスかぁ~。レイヒさんが泣いて詫びを入れるまで止まらないんですって! 苦しくって当たり前、これも拷問なんだから」
「え……。じゃあ、初めからそのつもりで……?」
「うん、そうスね」
言葉を失う麗筆をピアスのギラギラした三白眼が見下ろしていた。血に飢えた獣のような目。裂けたように広がる口からは尖った歯が覗いている。麗筆はその表情を何度も見たことがあった。そう、それは『影の騎士団』の仕事の中で。獲物をいたぶる彼の顔を。
「…………ぁ」
「あ?」
「ごめん…なさい……」
「…………」
後ろ手に拘束され、無理やり勃起させられ男に犯され、今もまた脚を割り開かれて今度は前から凌辱されようとしている状態で、麗筆は初めて心からの謝罪をした。
「ごめんなさい、許してください……。本当に、もう、しないので……許してください」
闇色の瞳から透き通った雫が浮かび上がり、上気した頬へとこぼれ落ちていく。その真摯な謝罪を聞いたピアスは、
「ん~、まだ理性が残ってるからダ~メ!」
「そんなぁ! あっ、やめ、やめて! いやだぁっ!」
容赦なく麗筆を犯した。勢いよく貫かれ、麗筆は悲鳴を上げて白い喉を晒した。
「おおっ、いいね。今の泣き顔サイコーに可愛い!」
「あうっ! は……ぁぅ! 抜い、て…くださ……」
「苦しい? 苦しいよな? すぐ好くなるよ。……その後がキツいけど」
「やだ……やだぁ! ピアス君!」
何度も何度も、絶頂寸前まで高められても射精はさせてもらえず、快感の後は死にたくなるほどの苦しみの波が襲ってくる。時に激しく、時に歯痒いほどゆっくりと責められ、麗筆は泣いて許しを乞うばかりだった。
だというのに、いつまで経ってもこの苦しみは終わらない。一瞬がまるで永遠のように感じられる絶望の中、麗筆はピアスによって口内を舌で嬲られ、いやらしい言葉を覚えさせられ、本当に理性が焼き切れる一歩手前までこの拷問は続けられた。
「お願い……イカせて、くださ……ぃ…」
「しょうがないかぁ。これ以上やったら壊れちゃいそうだしなぁ~」
「ごめん…なさい……」
「ん~。ほら、レイヒさん、イってもいいよ」
「…………ごめ……なさ…」
「ありゃ。だめか、意識がほぼ飛んでる。……んじゃ、最後は一緒にイこうぜ」
「んぅ……」
ピアスは麗筆の口に舌をねじ込むと、腰を動かし始めた。だらしなく開いたままの麗筆の唇から唾液と共に滴るのはか細い嬌声だ。
「あっ…あ……はぁ……」
「いいよ、ほら。俺も、もう……ッ!」
「あうぅっ!」
ピアスが中に注ぎ入れると同時に、麗筆もようやく許された解放の時を迎えていた。この苦しみもやっと終わると安堵した瞬間を狙ってか、敏感になっている先端をごしごし擦られ、麗筆はたまらず絶叫を上げた。
「は…ぁ……あああああぁぁあっ!?」
限界をとうに超えていたせいか、麗筆はそのまま意識を失ってしまった。
その後、目が覚めた時には麗筆の身体も部屋もすっかり清められていた。腕に魔封の拘束具はなく、切り裂かれた衣服も新しいものが置かれていた。もちろんピアスに壊された実験道具も新品だ。
ただ、麗筆自身はボロボロだった。精神の不調かその後三日ほど魔術はさっぱり使えず、回復すらままならないため仕事も休んだ。腫れぼったい目と傷だらけの腕ではどこへも行けず、いやそもそも歩くことが困難だったこともあり団長への謝罪は遅くなってしまったのだった。
こうして悪の魔導師は鳴りを潜め、今度こそ信頼される魔導師として一歩一歩足場を固めていくことになる麗筆だったのだが。……ここに問題がもう一つ。
「レイヒさ~ん!」
「ひいっ!? ぁ…あ……ご、ごめんなさい! ごめんなさいごめんなさい、許して……」
「お~ぅ……」
ピアスを前にすると麗筆は反射的にしゃがみこんで「ごめんなさい」を繰り返す人形と化してしまうのであった。そんな彼らが元の関係に戻るには、まだほんの少しだけ時間が必要だった。
■■END■■
「あぁっ、や……ちょっと!」
暴れる脚を抑え込み、殴ろうとしてくる手首を掴んで、ピアスは唇を、舌を、動かし続けた。
「や、やめて……嫌ぁ……」
なかなか反応しない麗筆のソレも、しつこくしつこく弄んでやればやがて血が通ったのか上を向いてくる。小ぶりなソレがしっかり勃起したのを確かめ、ピアスは麗筆の体を裏返しにひっくり返した。
そしてその左手に繋がっている腕輪の鎖、その先にもう一つ、同じ環を手早く取りつける。これで手錠の完成だ。後ろ手に押さえつけていた麗筆の右手に、カシャンと拘束具が嵌まる。
「ッ!!」
すっかり大人しく、ピアスのなすがままになっていた麗筆の体が抗議するように跳ねた。それを無視して同じく懐から取り出した瓶の中身を麗筆の白い双丘の間に垂らしていく。
「んぅ!」
「さて、そろそろいいかな~」
「待って……」
羽枕の間に埋もれていた頭を持たげて麗筆が弱々しく囁いた。
「何をするつもりなんです……」
「なにって? 挿れるんだけど、今から」
「そんな、何言って……」
「力抜いて……ってか逆に出すときみたいにした方が楽だぜ。そんじゃ、もういい?」
「だ、男女の場合でも、入れる前に解すと聞きますけど!? まさかいきなりなんて……それにこんなところ……」
「俺は気にしないね。それに、今回は事情が違うもんなぁ。……もしかしなくても初めてだよな? 痛いぜ、せいぜい啼き喚けよ! オラ!」
「あっ、うぅ……!」
蕾を抉じ開けるどころの話ではない、むしろ裂けよとばかりに硬く太くなったモノがねじ込まれていく。秘められた処女地を力任せに開拓される痛みに麗筆は歯を食い縛った。まるで尾のある獣のように後ろから貫かれ貪られ、麗筆は吐き気をこらえるだけで精一杯だった。
「うぅっ……く……!」
「頑張るね~。俺としてはもっと泣かせたいんだけどな。……あ~、あんまし握りしめない方がいいぜ、拳」
泣き声を抑える麗筆に、ピアスは優しく話しかける。だがそれを聞いている余裕など麗筆にはなかった。彼にできることは、自分を荒々しく串刺しにした男が腰を振り続けるのを、早く終われと念じるだけ……。
だが、そんな死んだような反応では、やはり面白くない。ピアスは膝立ちに体勢を整えると、痛みで再び萎縮していた麗筆のソレをゆるっと掌で包み込み、腰を振るのに合わせて刺激し始めた。
「あ……やだ、それ……やめてください……」
「え~? そう言わずに俺と一緒に気持ち好くなろうぜ、レイヒさん」
「嫌です…はな、して……!」
「いいね、締まる。可愛いよ、レイヒさん」
「だまれ……! くぅ……」
「段々好くなってきた? ほら、もっと声聞かせてよ」
「………………っ!」
「意地っ張り!」
「はうっ! や……あぁッ」
「そろそろイきそう? イきたい?」
「…………」
声を出すまいと耐える麗筆をピアスは嘲笑った。掌の中のモノはもう完全に熱を取り戻している。弾けるのも時間の問題だった。
「あ……あぅ……んっ!」
揺すぶり続けてどれくらい経ったか、麗筆から甘く鼻にかかった声が漏れ始めていた。ピアスはリズミカルに一定した腰振りをしていたのを、徐々に早めていった。それに従って麗筆のソレを握り込むピアスの手との摩擦も早く強くなる。
「は……あぁっ、んっ……んっ!」
麗筆の呼吸が乱れて、まさにイク寸前、無情にもピアスの手が麗筆の根元をぎゅうっと押さえ込み、射精を妨げた。
「あああっ……!?」
麗筆の細い悲鳴が上がる。必死でその拘束から逃れようとするも両手は体の後ろ、そしてピアスの腕はビクともしなかった。
「あ……ぁ…………ふぁ……」
高まりに高まった波が引いていく。射精できなかった苦しさと、発散しそこなった熱が麗筆の体の中で暴れ回っている。煩い心臓の鼓動を聞きながら、麗筆はくんにゃりと顔からベッドにのめり込んだ。
(痛い……苦しい……。出せなかったのに、まだ、熱が引かない……)
そう、射精できなかったというのに、いやできなかったからか、麗筆のソレはまだ張りつめたままなのだ。ズクン、ズクンと脈打ち、刺激が、快楽が欲しいと涙を流している。
麗筆が生まれて初めての苦しみを味わっている中、さっき射精したばかりのピアスは余裕の表情だった。まだ勃たせたままのペニスは深く麗筆の中に埋まっている。それを一度引き抜き、ピアスは麗筆をうつ伏せから仰向けに変えた。
麗筆の可愛らしい性器をしごいていた手には、ほんの少し精液が付いていた。塞き止めるのに間に合わなかった分の雫だろう。己の掌をペロリと舐め、ピアスは麗筆の小ぶりなソレの根元を、懐から取り出した紐でぎゅうっと縛った。
「痛っ!? な、なに……!?」
「いや~、ほら、次もまた上手く止められるかわかんないんでェ? ちょっと紐で縛らせてもらいましたわ」
「は……? 言ってる意味がわからないです……ほどいて……苦しいです!」
息も絶え絶えな中、麗筆がキッと睨め上げると、白い魔導師の脚に手をかけた膝立ちの男はニヤリと嗤った。
「だぁからぁ、オシオキだって、最初から言ってるじゃないスかぁ~。レイヒさんが泣いて詫びを入れるまで止まらないんですって! 苦しくって当たり前、これも拷問なんだから」
「え……。じゃあ、初めからそのつもりで……?」
「うん、そうスね」
言葉を失う麗筆をピアスのギラギラした三白眼が見下ろしていた。血に飢えた獣のような目。裂けたように広がる口からは尖った歯が覗いている。麗筆はその表情を何度も見たことがあった。そう、それは『影の騎士団』の仕事の中で。獲物をいたぶる彼の顔を。
「…………ぁ」
「あ?」
「ごめん…なさい……」
「…………」
後ろ手に拘束され、無理やり勃起させられ男に犯され、今もまた脚を割り開かれて今度は前から凌辱されようとしている状態で、麗筆は初めて心からの謝罪をした。
「ごめんなさい、許してください……。本当に、もう、しないので……許してください」
闇色の瞳から透き通った雫が浮かび上がり、上気した頬へとこぼれ落ちていく。その真摯な謝罪を聞いたピアスは、
「ん~、まだ理性が残ってるからダ~メ!」
「そんなぁ! あっ、やめ、やめて! いやだぁっ!」
容赦なく麗筆を犯した。勢いよく貫かれ、麗筆は悲鳴を上げて白い喉を晒した。
「おおっ、いいね。今の泣き顔サイコーに可愛い!」
「あうっ! は……ぁぅ! 抜い、て…くださ……」
「苦しい? 苦しいよな? すぐ好くなるよ。……その後がキツいけど」
「やだ……やだぁ! ピアス君!」
何度も何度も、絶頂寸前まで高められても射精はさせてもらえず、快感の後は死にたくなるほどの苦しみの波が襲ってくる。時に激しく、時に歯痒いほどゆっくりと責められ、麗筆は泣いて許しを乞うばかりだった。
だというのに、いつまで経ってもこの苦しみは終わらない。一瞬がまるで永遠のように感じられる絶望の中、麗筆はピアスによって口内を舌で嬲られ、いやらしい言葉を覚えさせられ、本当に理性が焼き切れる一歩手前までこの拷問は続けられた。
「お願い……イカせて、くださ……ぃ…」
「しょうがないかぁ。これ以上やったら壊れちゃいそうだしなぁ~」
「ごめん…なさい……」
「ん~。ほら、レイヒさん、イってもいいよ」
「…………ごめ……なさ…」
「ありゃ。だめか、意識がほぼ飛んでる。……んじゃ、最後は一緒にイこうぜ」
「んぅ……」
ピアスは麗筆の口に舌をねじ込むと、腰を動かし始めた。だらしなく開いたままの麗筆の唇から唾液と共に滴るのはか細い嬌声だ。
「あっ…あ……はぁ……」
「いいよ、ほら。俺も、もう……ッ!」
「あうぅっ!」
ピアスが中に注ぎ入れると同時に、麗筆もようやく許された解放の時を迎えていた。この苦しみもやっと終わると安堵した瞬間を狙ってか、敏感になっている先端をごしごし擦られ、麗筆はたまらず絶叫を上げた。
「は…ぁ……あああああぁぁあっ!?」
限界をとうに超えていたせいか、麗筆はそのまま意識を失ってしまった。
その後、目が覚めた時には麗筆の身体も部屋もすっかり清められていた。腕に魔封の拘束具はなく、切り裂かれた衣服も新しいものが置かれていた。もちろんピアスに壊された実験道具も新品だ。
ただ、麗筆自身はボロボロだった。精神の不調かその後三日ほど魔術はさっぱり使えず、回復すらままならないため仕事も休んだ。腫れぼったい目と傷だらけの腕ではどこへも行けず、いやそもそも歩くことが困難だったこともあり団長への謝罪は遅くなってしまったのだった。
こうして悪の魔導師は鳴りを潜め、今度こそ信頼される魔導師として一歩一歩足場を固めていくことになる麗筆だったのだが。……ここに問題がもう一つ。
「レイヒさ~ん!」
「ひいっ!? ぁ…あ……ご、ごめんなさい! ごめんなさいごめんなさい、許して……」
「お~ぅ……」
ピアスを前にすると麗筆は反射的にしゃがみこんで「ごめんなさい」を繰り返す人形と化してしまうのであった。そんな彼らが元の関係に戻るには、まだほんの少しだけ時間が必要だった。
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